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01話 かわいそうな欲しがり妹
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私の妹デイジー・エンフィールドは、黄金の髪に紫水晶の瞳。
令嬢の中の令嬢と称えられ、社交界の華と謳われていますが。
実は平民育ち。
ほんの一年前までは、図太い欲しがり妹でしたの。
◆
私は公爵家の長女リナリア・エンフィールド。
生粋の貴族の娘です。
ある日、私にデイジーという義妹ができました。
デイジーは父が平民の愛人に生ませた庶子なので、血縁上は異母妹です。
一夫一妻制の我が国において、婚外子は認められません。
家族とするには養子縁組が必要になります。
そして父の庶子デイジーは、エンフィールド公爵である私の父の養女となったので、私の義妹になりました。
ですが……。
「お姉様のドレスちょうだい!」
デイジーは、少し様子がおかしな子でした。
私より一つ年下のデイジーは、エンフィールド公爵家の紫の瞳に、愛嬌のある可愛らしい顔立ちをした、はっとするような可憐な美少女なのですが。
どうにも様子がおかしいのです。
いえ、彼女は、今まで平民として暮らしていたのですから、貴族とは多少の常識のずれがあっても仕方がないのかもしれません。
「デイジー、私のドレスは私のものよ。貴女のものではないわ」
「リナリアお姉様のドレスはぜんぶ私が貰うわ。お父様が良いって言ったもの」
デイジーは誇らしげにそう言いました。
「お父様が……?」
おかしな話に、私は眉を顰めました。
しかしデイジーはまるで自分が優位に立っているかのように、可憐な美貌に得意気な色を浮かべて答えました。
「そうよ。リナリアお姉様のドレスを貰っても良いかお父様に聞いたの。そしたら『リナリアのドレスなら好きなだけ持っていけば良い』ってお父様が言ったの。だからリナリアお姉様のドレスはぜんぶ私のものよ!」
「……」
私は一瞬、絶句してしまいました。
あまりにも酷い話でしたので。
「デイジー、貴方……」
私はおずおずと真実を口にしました。
「虐待されていたのね……」
「へ?」
デイジーはきょとんとした顔をしましたが、すぐに私に言い返して来ました。
「虐待なんかされてないわよ。私はお父様に愛されてますよーだ。お姉様と違って」
状況を解っていないらしいデイジーは、小鳥のように愛らしい仕草でクスクスと私を嘲笑いました。
「変なことを言って私とお父様を喧嘩させようとしても無駄ですよーだ。お姉様はお父様に愛されてないから、私に嫉妬してるんでしょ!」
「あのね、デイジー……」
平民育ちで無知ゆえに、蔑まれていることに気付かず、さも得意そうにしている哀れな道化、デイジーに、私は教えてあげました。
「古着をもらって喜ぶのは使用人よ」
「へ?」
「お父様が、私のドレスをデイジーに与えると言った、ということは、つまり『デイジーにはリナリアの古着で充分』と言ったのよ」
「……お、お姉様は、私にドレスを取られたくなくて、そんなこと言ってるんでしょ。古着だなんて嘘吐いても無駄ですから。こんな綺麗なドレスが古着のわけないじゃない。見れば解るわよ!」
「私が袖を通したものだもの。ぜんぶ古着よ」
「どこが古着よ!」
「あのね、デイジー……」
無知で哀れなデイジーに、私は貴族の常識を教えてあげました。
「ドレスは仕立てるものよ。自分のサイズを計って、自分にぴったりのサイズで仕立てるの。私のドレスは私のサイズで作られているから、デイジーには合わないでしょう?」
令嬢の中の令嬢と称えられ、社交界の華と謳われていますが。
実は平民育ち。
ほんの一年前までは、図太い欲しがり妹でしたの。
◆
私は公爵家の長女リナリア・エンフィールド。
生粋の貴族の娘です。
ある日、私にデイジーという義妹ができました。
デイジーは父が平民の愛人に生ませた庶子なので、血縁上は異母妹です。
一夫一妻制の我が国において、婚外子は認められません。
家族とするには養子縁組が必要になります。
そして父の庶子デイジーは、エンフィールド公爵である私の父の養女となったので、私の義妹になりました。
ですが……。
「お姉様のドレスちょうだい!」
デイジーは、少し様子がおかしな子でした。
私より一つ年下のデイジーは、エンフィールド公爵家の紫の瞳に、愛嬌のある可愛らしい顔立ちをした、はっとするような可憐な美少女なのですが。
どうにも様子がおかしいのです。
いえ、彼女は、今まで平民として暮らしていたのですから、貴族とは多少の常識のずれがあっても仕方がないのかもしれません。
「デイジー、私のドレスは私のものよ。貴女のものではないわ」
「リナリアお姉様のドレスはぜんぶ私が貰うわ。お父様が良いって言ったもの」
デイジーは誇らしげにそう言いました。
「お父様が……?」
おかしな話に、私は眉を顰めました。
しかしデイジーはまるで自分が優位に立っているかのように、可憐な美貌に得意気な色を浮かべて答えました。
「そうよ。リナリアお姉様のドレスを貰っても良いかお父様に聞いたの。そしたら『リナリアのドレスなら好きなだけ持っていけば良い』ってお父様が言ったの。だからリナリアお姉様のドレスはぜんぶ私のものよ!」
「……」
私は一瞬、絶句してしまいました。
あまりにも酷い話でしたので。
「デイジー、貴方……」
私はおずおずと真実を口にしました。
「虐待されていたのね……」
「へ?」
デイジーはきょとんとした顔をしましたが、すぐに私に言い返して来ました。
「虐待なんかされてないわよ。私はお父様に愛されてますよーだ。お姉様と違って」
状況を解っていないらしいデイジーは、小鳥のように愛らしい仕草でクスクスと私を嘲笑いました。
「変なことを言って私とお父様を喧嘩させようとしても無駄ですよーだ。お姉様はお父様に愛されてないから、私に嫉妬してるんでしょ!」
「あのね、デイジー……」
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「へ?」
「お父様が、私のドレスをデイジーに与えると言った、ということは、つまり『デイジーにはリナリアの古着で充分』と言ったのよ」
「……お、お姉様は、私にドレスを取られたくなくて、そんなこと言ってるんでしょ。古着だなんて嘘吐いても無駄ですから。こんな綺麗なドレスが古着のわけないじゃない。見れば解るわよ!」
「私が袖を通したものだもの。ぜんぶ古着よ」
「どこが古着よ!」
「あのね、デイジー……」
無知で哀れなデイジーに、私は貴族の常識を教えてあげました。
「ドレスは仕立てるものよ。自分のサイズを計って、自分にぴったりのサイズで仕立てるの。私のドレスは私のサイズで作られているから、デイジーには合わないでしょう?」
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