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04話 エンフィールド公爵
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「お父様とお話がしたいの。お父様が帰宅なさったら私に知らせて」
私はデイジーのために、仕立て屋と家庭教師の手配を使用人に命じました。
そのついでに、父と話がしたい事を家令に伝えておくように言いつけました。
私の父、エンフィールド公爵は、デイジーの実父であり養父です。
私がデイジーの世話をするにあたり、当主である父に一応伝えておく必要があります。
まあ、文句の一つや二つ、言ってやるつもりなのですが。
すると、なんとその夜、家令が私に父の帰宅を告げました。
「お嬢様、旦那様がお帰りになりました」
「まあ、珍しいこともあるのね」
あまり家に帰宅することのない父ですが、今日は帰って来たようです。
◆
「おや、リナリアか? 久しぶりだね。変わりないかね?」
「ええ、おかげさまで。お父様もお元気そうですわね」
父に会うのは一か月ぶりくらいでしょうか。
私は二言三言の挨拶を交わすと、さっそく本題に入りました。
「お父様、どうしてデイジーを虐待なさるの?」
「やぶからぼうに何を言うんだ。流行の遊びかい?」
「私は真面目な話をしていますのよ」
私は少し憤慨しながら言いました。
「デイジーに私の服を与えたでしょう」
「ああ、そのことか。服くらいいくらでもあげれば良いじゃないか」
「どうしてデイジーに新しい服を仕立ててあげないんですの?」
「好きなものを仕立てるだろう」
「誰が、デイジーに、服を仕立ててあげるんですの?」
「仕立て屋だろう?」
「誰が仕立て屋を呼ぶんですの?」
「使用人が呼ぶだろう」
「誰が使用人に指示を出しますの?」
「母親がやるだろう」
「母親?」
エンフィールド公爵夫人だった私の母は、私が十歳のときに流行り病で他界しました。
以来、我がエンフィールド公爵家には女主人がいません。
親族たちは父に再婚を勧めましたが、父は再婚を拒否して現在に至ります。
「デイジーのお母君ですか?」
私の母は故人ですので、この会話で母親といえば、デイジーの母しか思い当たりません。
「そうだ」
「デイジーのお母君も我が家にいらしているんですの?」
王都のエンフィールド公爵邸はそこそこの広さがあります。
客人が滞在していても、私が会おうと思わなければ、顔を合わせることはありません。
そもそも父と顔を合わせることが稀ですから。
「うむ。デイジー一人では不安だろうからな。母親も一緒に来てもらった」
「デイジーのお母君は、平民でいらっしゃるのよね」
「ああ、そうだ。不服かね?」
「たとえ平民でも、お父様のお客様であれば、一人や二人や十人くらい、いくらでも滞在なさっていただいて結構ですけれど。でも、お父様……」
私は父を見据えて言いました。
「平民のお母君に、デイジーの支度が整えられますの?」
「支度くらいできるだろう」
「デイジーは服の一枚も仕立ててもらっていなかったんですのよ?」
「ははは……。リナリア、私をかついでいるのかね?」
父は『その手には乗らないぞ』とでも言いたげに、余裕の笑みを浮かべました。
「服くらい、いくらでも仕立てられるだろう。カトレアだって服を着ているんだぞ?」
いきなり、知らない女性の名が出てきました。
「お父様、カトレアさんとは、どなたですか?」
私はデイジーのために、仕立て屋と家庭教師の手配を使用人に命じました。
そのついでに、父と話がしたい事を家令に伝えておくように言いつけました。
私の父、エンフィールド公爵は、デイジーの実父であり養父です。
私がデイジーの世話をするにあたり、当主である父に一応伝えておく必要があります。
まあ、文句の一つや二つ、言ってやるつもりなのですが。
すると、なんとその夜、家令が私に父の帰宅を告げました。
「お嬢様、旦那様がお帰りになりました」
「まあ、珍しいこともあるのね」
あまり家に帰宅することのない父ですが、今日は帰って来たようです。
◆
「おや、リナリアか? 久しぶりだね。変わりないかね?」
「ええ、おかげさまで。お父様もお元気そうですわね」
父に会うのは一か月ぶりくらいでしょうか。
私は二言三言の挨拶を交わすと、さっそく本題に入りました。
「お父様、どうしてデイジーを虐待なさるの?」
「やぶからぼうに何を言うんだ。流行の遊びかい?」
「私は真面目な話をしていますのよ」
私は少し憤慨しながら言いました。
「デイジーに私の服を与えたでしょう」
「ああ、そのことか。服くらいいくらでもあげれば良いじゃないか」
「どうしてデイジーに新しい服を仕立ててあげないんですの?」
「好きなものを仕立てるだろう」
「誰が、デイジーに、服を仕立ててあげるんですの?」
「仕立て屋だろう?」
「誰が仕立て屋を呼ぶんですの?」
「使用人が呼ぶだろう」
「誰が使用人に指示を出しますの?」
「母親がやるだろう」
「母親?」
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以来、我がエンフィールド公爵家には女主人がいません。
親族たちは父に再婚を勧めましたが、父は再婚を拒否して現在に至ります。
「デイジーのお母君ですか?」
私の母は故人ですので、この会話で母親といえば、デイジーの母しか思い当たりません。
「そうだ」
「デイジーのお母君も我が家にいらしているんですの?」
王都のエンフィールド公爵邸はそこそこの広さがあります。
客人が滞在していても、私が会おうと思わなければ、顔を合わせることはありません。
そもそも父と顔を合わせることが稀ですから。
「うむ。デイジー一人では不安だろうからな。母親も一緒に来てもらった」
「デイジーのお母君は、平民でいらっしゃるのよね」
「ああ、そうだ。不服かね?」
「たとえ平民でも、お父様のお客様であれば、一人や二人や十人くらい、いくらでも滞在なさっていただいて結構ですけれど。でも、お父様……」
私は父を見据えて言いました。
「平民のお母君に、デイジーの支度が整えられますの?」
「支度くらいできるだろう」
「デイジーは服の一枚も仕立ててもらっていなかったんですのよ?」
「ははは……。リナリア、私をかついでいるのかね?」
父は『その手には乗らないぞ』とでも言いたげに、余裕の笑みを浮かべました。
「服くらい、いくらでも仕立てられるだろう。カトレアだって服を着ているんだぞ?」
いきなり、知らない女性の名が出てきました。
「お父様、カトレアさんとは、どなたですか?」
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