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35話 倍返し
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「エンフィールド公爵令嬢、私が証言いたします!」
小娘は私に言いました。
「それにダリア嬢が他のご令嬢のドレスを汚したのは、今回が初めてではありません。他にも被害者がいらっしゃいます!」
なるほど。
ダリアさんがあんなことをしたのは、勝手知ったる我が家であったがゆえに甘えが出ての行動かと思っておりましたが。
常習犯で慣れていたという理由もあったのですね。
客人のドレスを汚すのも、その汚れたドレスで主催者の前に出るのも、いわば宣戦布告のようなものです。
家に戦えるだけの力がない下位の者が出来ることではありません。
ウィード公爵の娘で王太子の婚約者であるダリアさんに攻撃されたら、下位の者たちは撤退して泣き寝入りするしかなかったのでしょう。
ダリアさんは今まで成功体験を積んでいて自信をつけていたがゆえに、勝利を確信して私たちに嫌がらせをして来たのですね。
この小娘は、国王陛下の甥バジル様と我がエンフィールド公爵家の側に付けば、ウィード公爵に一矢報いることができると考えたのでしょうか。
ダリアさんの嘘を崩すための大切なカードですから、もちろん庇護しますが。
「う、嘘よ!」
泣きべそをかきながらダリアさんが小娘の発言を否定しました。
「ミモザは嘘を吐いているわ!」
小娘はミモザという名なのですか。
ダリアさんと因縁のある娘なら、夜会に招待しなければよろしかったのに。
ウィード公爵夫妻は、ミモザという小娘とダリアさんとの関係を把握していなかったのかしら。
「どちらが嘘を吐いているのか、調査する必要がありますね」
バジル様がきりっとしたお顔で言いました。
「私が責任を持って調査しましょう」
「……!」
「……っ!」
バジル様のその言葉に、ミモザは喜びの表情を浮かべ、ダリアさんは醜く顔を歪めました。
二人のその顔を見たら、調査をされて不都合なのはどちらなのか解るというもの。
遠巻きにして私たちの様子を見ている野次馬たちが、小声でヒソヒソ囁き始めました。
「ウィード公爵、この件は私から国王陛下に……」
バジル様が毅然とした態度でウィード公爵にそう言いかけた、そのとき。
「デイジー! リナリア!」
人垣の中から、私たちの父エンフィールド公爵がまろぶように飛び出しました。
「なんて酷い姿だ! 可哀想に! ウィード家の娘にやられたのか!」
父は身も蓋も無いことを叫び、私たちとウィード公爵の間に割り込みました。
「ウィード公爵! こんな酷いことをして恥ずかしくないのか!」
「エンフィールド公爵、言いがかりは止してくれたまえ」
ウィード公爵は顔色を変えずにそう言い、父を躱そうとしました。
ですが父は、先の事を考えて駆け引きができるような人ではないのです。
「君の娘はいつもデイジーのことを睨んでいたらしいな! デイジーが美人だから、嫉妬したのだろう!」
父はさらに露骨なことを言いました。
ダリアさんがデイジーに嫉妬していたことは事実ですが。
本当に身も蓋もないです。
「ウィード公爵! 君の娘はとんだ阿婆擦れだな! 君は一体、娘にどういう教育をしたのだ!」
え? お父様……?
お父様が、娘の教育についておっしゃいますの?
どの口で?
私は少々気が遠くなりかけました。
先程までこの場の主導権を握るかと思われていたバジル様も、父が露骨にウィード公爵を攻撃し始めたせいなのか、唖然として言葉を失っていらっしゃいます。
「倍返しだ!」
父は物凄い剣幕で叫びました。
「今後ウィード公爵領の者は、我がエンフィールド公爵領の通行料は倍額だ! 覚悟しておけ!」
小娘は私に言いました。
「それにダリア嬢が他のご令嬢のドレスを汚したのは、今回が初めてではありません。他にも被害者がいらっしゃいます!」
なるほど。
ダリアさんがあんなことをしたのは、勝手知ったる我が家であったがゆえに甘えが出ての行動かと思っておりましたが。
常習犯で慣れていたという理由もあったのですね。
客人のドレスを汚すのも、その汚れたドレスで主催者の前に出るのも、いわば宣戦布告のようなものです。
家に戦えるだけの力がない下位の者が出来ることではありません。
ウィード公爵の娘で王太子の婚約者であるダリアさんに攻撃されたら、下位の者たちは撤退して泣き寝入りするしかなかったのでしょう。
ダリアさんは今まで成功体験を積んでいて自信をつけていたがゆえに、勝利を確信して私たちに嫌がらせをして来たのですね。
この小娘は、国王陛下の甥バジル様と我がエンフィールド公爵家の側に付けば、ウィード公爵に一矢報いることができると考えたのでしょうか。
ダリアさんの嘘を崩すための大切なカードですから、もちろん庇護しますが。
「う、嘘よ!」
泣きべそをかきながらダリアさんが小娘の発言を否定しました。
「ミモザは嘘を吐いているわ!」
小娘はミモザという名なのですか。
ダリアさんと因縁のある娘なら、夜会に招待しなければよろしかったのに。
ウィード公爵夫妻は、ミモザという小娘とダリアさんとの関係を把握していなかったのかしら。
「どちらが嘘を吐いているのか、調査する必要がありますね」
バジル様がきりっとしたお顔で言いました。
「私が責任を持って調査しましょう」
「……!」
「……っ!」
バジル様のその言葉に、ミモザは喜びの表情を浮かべ、ダリアさんは醜く顔を歪めました。
二人のその顔を見たら、調査をされて不都合なのはどちらなのか解るというもの。
遠巻きにして私たちの様子を見ている野次馬たちが、小声でヒソヒソ囁き始めました。
「ウィード公爵、この件は私から国王陛下に……」
バジル様が毅然とした態度でウィード公爵にそう言いかけた、そのとき。
「デイジー! リナリア!」
人垣の中から、私たちの父エンフィールド公爵がまろぶように飛び出しました。
「なんて酷い姿だ! 可哀想に! ウィード家の娘にやられたのか!」
父は身も蓋も無いことを叫び、私たちとウィード公爵の間に割り込みました。
「ウィード公爵! こんな酷いことをして恥ずかしくないのか!」
「エンフィールド公爵、言いがかりは止してくれたまえ」
ウィード公爵は顔色を変えずにそう言い、父を躱そうとしました。
ですが父は、先の事を考えて駆け引きができるような人ではないのです。
「君の娘はいつもデイジーのことを睨んでいたらしいな! デイジーが美人だから、嫉妬したのだろう!」
父はさらに露骨なことを言いました。
ダリアさんがデイジーに嫉妬していたことは事実ですが。
本当に身も蓋もないです。
「ウィード公爵! 君の娘はとんだ阿婆擦れだな! 君は一体、娘にどういう教育をしたのだ!」
え? お父様……?
お父様が、娘の教育についておっしゃいますの?
どの口で?
私は少々気が遠くなりかけました。
先程までこの場の主導権を握るかと思われていたバジル様も、父が露骨にウィード公爵を攻撃し始めたせいなのか、唖然として言葉を失っていらっしゃいます。
「倍返しだ!」
父は物凄い剣幕で叫びました。
「今後ウィード公爵領の者は、我がエンフィールド公爵領の通行料は倍額だ! 覚悟しておけ!」
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