かわいそうな欲しがり妹のその後は ~ 王子様とは結婚しません!

柚屋志宇

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38話 掃討戦

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「お前の弟はデイジーの敵、ドラセナの味方だろう!」

 父は声を張り上げてアイヴィー王子殿下を糾弾しました。

「違う! 断じて!」

 アイヴィー王子殿下が必死に否定していると、第二王子シスル殿下があたふたとしながら父の前に出ました。
 そして宣言しました。

「エンフィールド公爵、私もドラセナ侯爵令嬢と婚約破棄します! 国王陛下に奏上します!」
「本当か?」
「は、はい!」
「その言葉に二言はないだろうな」
「はい! 必ず婚約破棄します!」

 シスル王子殿下のその宣言に、ドラセナ侯爵は顔面蒼白になりました。

 王家との間に確執が生じれば、ドラセナ侯爵はウィード公爵側に付いてエンフィールドを敵に回すかしら?
 それともエンフィールドに土下座して許しを乞うのかしら?

 私が淑女に育て上げたデイジーを「平民」と貶してくれたドラセナ侯爵令嬢アイリスさんが、今どんな顔をしているか見物したいものです。
 アイリスさんがここにいらっしゃらなくて残念。

 私はさらに追撃しました。

「お父様、カポック伯爵令嬢はオークリー公爵令息ルピナス様と、クテナンテ伯爵令嬢は騎士オレガノ様と婚約しているのよ」

「私の可愛いデイジーの周りにたかってるクソガキどもの婚約者か!」
「そうよ」
「モテない男どもがよってたかって、婚約者を使い、裏で手を回してデイジーを虐めたのだな! 絶対に許さん!」

 父はポンポン沸騰する薬缶のように激怒しました。

「おい、オークリー公爵家の小僧! オークリー公爵家にも倍返しだ! 覚悟しろ!」

 父はオークリー公爵令息ルピナス様をビシッと指さして言いました。

「エンフィールド公爵! 私も婚約破棄します!」

 ルピナス様は情けない表情で狼狽えながら父に訴えました。

「ピオニーが悪女だとは知らなかったんです! ピオニーの悪事を知りましたからには婚約破棄します!」
「その言葉に二言はないだろうな!」
「はい! 我がオークリー家は、カポック伯爵の娘ピオニーの悪事とは無関係です! 必ずや婚約破棄いたします! 縁を切ります!」
「もし婚約破棄できなかったら、お前、修道院へ行けよ? さもなくば倍返しだ」
「か、必ずや婚約破棄いたします! どうか修道院も倍返しもお許しください!」

 ルピナス様から婚約破棄の言質をとると、父は次に騎士オレガノ様を攻撃しました。

「おい、騎士!」
「は、はい……!」
「お前はどこの家の息子だ」
「わ、私は、ポトス男爵が次男オレガノ・ポトスです」
「ポトス男爵か」

 父は眼光を鋭くしました。

「よし、潰す」
「え、ちょ、待っ……!」
「たかが男爵家の小倅こせがれが、エンフィールドに盾突きおって。男爵家など潰してやるわ! 騎士もクビにしてやる! 覚悟しろ!」
「ま、ま、ま、待ってください! エンフィールド公爵! 私もエリカと婚約破棄します! 私は無関係です!」
「ちゃんと婚約破棄するんだろうな?」
「はい、誓って!」
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