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79話 新しい人生
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――バジル様からカトレア夫人に、王宮女官のお話をいただいた数日後。
カトレア夫人が、私とデイジーに話があるというので、私たちは向き合って座っています。
「いつでも良いというから、来週から離宮で働くことにしたの」
カトレア夫人のその言葉に、デイジーは驚きの声をあげました。
「え?! 来週?!」
カトレア夫人は、バジル様から持ち掛けられた王宮女官の話を即決しました。
そして来週からもう、離宮に移り、あちらで働き始めるつもりであることを私とデイジーに告げました。
「そ、そんなに急に?!」
この急な予定にデイジーは衝撃を受けたようで、悲愴な顔をしました。
しかしカトレア夫人は、野望に燃えるような眼差しで言いました。
「だって結婚を考えているなら早いほうが良いでしょう? 一日も早く女官の経歴が欲しいのよ」
「……」
デイジーは、母であるカトレア夫人がいなくなることに戸惑っているようですが。
新しい人生に踏み出そうとしているカトレア夫人を、引き留めることは憚られたのでしょう。
不安そうな顔をしながらも了承の返事をしました。
「わ、解ったわ……。母さんの新しい人生を応援している」
「ありがとう、デイジー」
カトレア夫人は明るい笑顔を浮かべました。
「私もデイジーのことをいつでも応援しているわ。口の上手い男に騙されちゃダメよ。結婚相手はしっかり選びなさいね」
「……うん……解ってる」
「デイジーは社交界一の美女で、頑張り屋で、私の自慢の娘ですもの。きっと良い人に出会えるわ」
「うん……」
母と離れることになり少し落ち込んだのか、元気がなくなったデイジーを、カトレア夫人は励ましました。
そしてカトレア夫人は私を振り向いて言いました。
「リナリア様、デイジーをよろしくお願いします」
「ええ、任せてください」
初対面のときには、私に疑惑の目を向けて来たカトレア夫人ですが。
今ではすっかり私の事を信用してくれています。
「それで、話は少し変わりますが、リナリア様、私……」
カトレア夫人は、少し表情を曇らせて切り出しました。
「お父様に……、セージ・エンフィールドにきちんとお別れをしたいのです。あの人、次はいつ帰ってくるのかしら?」
「そういうことなら呼びにやりましょう。大体の居場所は解ります。それから……そうですね……」
私は少し考えました。
「そういうお話なら、ガジュマル叔父様に来てもらいましょう。お父様がもし駄々をこねたりするようだったら、ガジュマル叔父様に言ってもらうのが一番ですから」
◆
「ははははっ……!」
私がカトレア夫人の事情を話すと、ガジュマル叔父は笑い出しました。
不機嫌そうな顔をしていることが常で、あまり笑わない叔父が、珍しく声を上げて大笑いしました。
「それは良い! 凄く良い! 面白い!」
ひとしきり笑い転げると、叔父は楽しそうに私に言いました。
「ぜひお手伝いさせてくれ。いや、呼ばれなくても絶対に見に行く」
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不安そうな顔をしながらも了承の返事をしました。
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「うん……」
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「リナリア様、デイジーをよろしくお願いします」
「ええ、任せてください」
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今ではすっかり私の事を信用してくれています。
「それで、話は少し変わりますが、リナリア様、私……」
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