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80話 別れの時
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「ガ、ガジュマル……! どうしてここに……?!」
カトレア夫人がエンフィールド家を出る前日。
私はガジュマル叔父様と相談して、カトレア夫人がエンフィールド公爵セージ・エンフィールドに別れを告げるための場を設けました。
私とデイジー、そしてガジュマル叔父が立ち会いました。
私の叔父ガジュマル・エンフィールドは、父の実弟で、実業家でもありますが、事実上エンフィールド領の管理をしている有能な人です。
ちゃらんぽらんで口先だけの父とは正反対で、真面目で口数はあまり多くなく仕事が出来る人です。
ガジュマル叔父を恐れている父は、叔父の姿を見るやいなや顔色を変えました。
「ガジュマル、い、一体、何の用だ……?!」
父っは怯えの表情を浮かべ、挙動不審になりながらガジュマル叔父に問い掛けました。
そんな父に、ガジュマル叔父は悠然とした態度で答えました。
「私の用事ではない」
「で、では、何故……?!」
「リナリアから相談を受けたんだ」
「リナリアが?!」
「兄上に、カトレア夫人から話があるらしくてね。それで私が、話し合いの立ち合いを頼まれた」
ガジュマル叔父は針のように鋭い視線で、父を見据えて言いました。
「カトレア夫人の話を聞いてやってくれるね?」
「あ、ああ、うむ……。解った。聞こう」
父は顔を強張らせて頷きました。
ガジュマル叔父はにっこりと微笑を浮かべました。
普段あまり笑顔を見せない叔父が微笑むと、何となく凄みのようなものがあります。
叔父の笑顔に、父がびくっと身を縮めました。
「カトレア夫人、さあ、兄上に何でも言ってやれば良い。私が立ち会い人です」
ガジュマル叔父にそう促され、カトレア夫人は頷くと、父の前に立ちました。
「セージ・エンフィールド、貴方とお別れしようと思うの」
カトレア夫人が毅然とした態度でそう言うと、父は面食らったように目を見開きました。
「なっ……、何と?」
キョトン顔をしている父に、カトレア夫人はもう一度言いました。
「貴方と、お別れ、しようと思うの!」
「ど、どうしたんだ。何があったのだ? 何か問題があったのか?」
「問題だらけよ!」
カトレア夫人は怒気を露わにして声を荒らげました。
「貴方、他にも愛人がいるんでしょう! 何が『愛しているのは君だけ』よ! 私の事ずっと騙していたでしょう!」
「そ、そ、それは、愛している人には幸せになって欲しいから……」
「言い訳になってないわよ!」
「カ、カトレア、な、何を怒っているんだ。何があったんだ……」
「貴方がずーっと浮気してたのよ!」
「浮気なんてしてない! 愛している!」
「後から後から、よくもそんな嘘が吐けるわね! 何人に同じこと言っていたのよ!」
怒れるカトレア夫人は破壊神のような形相で、右手を大きく振りかぶりました。
「この、スケコマシ!」
力強く振り下ろされたカトレア夫人の右手が、父の頬に直撃しました。
――バッチーン!
「きゃんっ!」
平手打ちされた父が、細い悲鳴を上げました。
カトレア夫人がエンフィールド家を出る前日。
私はガジュマル叔父様と相談して、カトレア夫人がエンフィールド公爵セージ・エンフィールドに別れを告げるための場を設けました。
私とデイジー、そしてガジュマル叔父が立ち会いました。
私の叔父ガジュマル・エンフィールドは、父の実弟で、実業家でもありますが、事実上エンフィールド領の管理をしている有能な人です。
ちゃらんぽらんで口先だけの父とは正反対で、真面目で口数はあまり多くなく仕事が出来る人です。
ガジュマル叔父を恐れている父は、叔父の姿を見るやいなや顔色を変えました。
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そんな父に、ガジュマル叔父は悠然とした態度で答えました。
「私の用事ではない」
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「リナリアが?!」
「兄上に、カトレア夫人から話があるらしくてね。それで私が、話し合いの立ち合いを頼まれた」
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「カトレア夫人の話を聞いてやってくれるね?」
「あ、ああ、うむ……。解った。聞こう」
父は顔を強張らせて頷きました。
ガジュマル叔父はにっこりと微笑を浮かべました。
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叔父の笑顔に、父がびくっと身を縮めました。
「カトレア夫人、さあ、兄上に何でも言ってやれば良い。私が立ち会い人です」
ガジュマル叔父にそう促され、カトレア夫人は頷くと、父の前に立ちました。
「セージ・エンフィールド、貴方とお別れしようと思うの」
カトレア夫人が毅然とした態度でそう言うと、父は面食らったように目を見開きました。
「なっ……、何と?」
キョトン顔をしている父に、カトレア夫人はもう一度言いました。
「貴方と、お別れ、しようと思うの!」
「ど、どうしたんだ。何があったのだ? 何か問題があったのか?」
「問題だらけよ!」
カトレア夫人は怒気を露わにして声を荒らげました。
「貴方、他にも愛人がいるんでしょう! 何が『愛しているのは君だけ』よ! 私の事ずっと騙していたでしょう!」
「そ、そ、それは、愛している人には幸せになって欲しいから……」
「言い訳になってないわよ!」
「カ、カトレア、な、何を怒っているんだ。何があったんだ……」
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「後から後から、よくもそんな嘘が吐けるわね! 何人に同じこと言っていたのよ!」
怒れるカトレア夫人は破壊神のような形相で、右手を大きく振りかぶりました。
「この、スケコマシ!」
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「きゃんっ!」
平手打ちされた父が、細い悲鳴を上げました。
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