異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!

まったりー

文字の大きさ
15 / 29
1章 占い異世界生活

15話 領主に謁見

しおりを挟む
「お、お待ち下さい!」


アタシは間違った事は言っていないししていない、事前に準備した通りに話が通るはずだった。
しかし、今アタシは領主を焦って追いかけ、前に飛び出して止めたんだ。


「止めるんじゃない、ワタシを誰だと思ってる」
「領主代行のローグ様です」
「違うっ!代行ではなく、ワタシが領主なのだ!それなのに、どうして訳の分からん占い師の指示に従わなければならない」
「ですから説明したではないですか、彼の占いは当たるんです」


どうやらこいつは、占い師の占い結果を指図と思ったらしく、拒否してきたんだ。
今年の作物が不作だからいけないんだが、それにしてもまずい方向に向かっている。


「ワタシは自分の方策に自信がある、このままでいくんだ」


自らの方策を考えたばかりと言うのもあり、タイミングが悪かったんだが、こいつは現場の現状を理解してないのも問題だった。
こいつが考えてる方策は、他の領地のマネをしてるだけなのに気付いていない。


「それでは失敗します、あなたが考えてる方法では、民が混乱します」
「何を言うか貴様!麦が作れないのなら、家畜を殖やせば良い、当然だろうが」
「畑を耕した事しかない民もいるんです。いきなり他の事をさせても、まず上手くいきません」


これは、占い師の最悪の選択肢に向かっていて、このままでは領地は滅んでしまう。
こいつは、教えれば良いと意見を変えず、歩き出そうとして来た。


「お待ち下さい」
「どけっ!」
「いいえ退きませんっ!!生き物は、食料になるまでに時間が掛かります、麦を作っていかなければ、民たちは飢えてしまいます」
「麦がないなら、野菜を食せば良いだろう」


それもないから困ってるし、麦を作ってる民は買う事になる。
そんな金があるなら何も困っていないんだが、こいつは民の事を分かっていないんだ。


「はぁ~だから滅ぶわけだし、占い師の占いも信じないわけだ」
「何を1人で喋っている、さっさとどかないか」
「どきませんよ、ここであなたを通したら、占い師はここを去ってしまう」
「それがどうした、そんな奴がいなくても、このワタシがなんとかして見せる」


それが出来ないから困ってる訳だし、普通なら怒りが込み上げて来る内容だが、占い師のおかげで対策が分かっているから、こいつが間抜けに見えてきたよ。
貴族の社会では、こいつはなかなかに優秀と言われているが、補佐をさせずにいきなり領主代行は無理があった。


「先頭で任せたらこの程度か」


責任がのしかかると上手く指示が出来ず、誰かに聞いてからと言う流れは変わらないが、そこからの自分の考えが空回りしている。
しかも悪い事に、その手順で導き出した方法が間違っていても、その後の修正を拒んでくる始末だ。


「ローグ、自分で統治を始めて、失敗続きなのを理解しろ」
「なっ!?不敬だぞ貴様」
「そう言って、側近をクビにして来たんだろう?」


領主補佐には、教える者がいたはずなのに、こいつの横には護衛の兵士だけだった。
父親がいないのを良い事に、こいつは意見した者をクビにしてしまったんだ。


「そ、それの何がいけない、ワタシに指図をしたあいつらが悪い」
「お前が出した答えが、まったくの見当違いだっただけだろう、それのどこが不敬なんだ」
「な、なんだときさまっ!」
「領主の息子ローグ、お前は領主代行がどういった段階か分かっていない」


勉強する為に任せただけで、領主はこんな事をさせる為に託したわけではない。
それなのに、この半年で幹部のほとんどがいなくなっていて、占い師のおかげで何とか探せたんだ。


「しかもお前、引き継ぎもしなかったそうじゃないか、それでどうやって良い仕事が出来るんだ」
「な、何故それを!?」
「それも占い師のおかげだ、お前は父親の期待に応えられなかった」


潮時も占い師の占い通りで、ここまで来るとこいつには任せられない。
ここでアタシに止められて反省していれば、まだ何とかなったんだが、こいつは兵士を呼んでアタシを拘束しようとして来たぞ。


「父親が帰って来るまで、お前を部屋に監禁する」
「そうはいくかよ、お前たちそう言う訳だから、予定通りローグを拘束しろ」


ローグが兵士に命令したが、その直後にアタシが同じ指示を出し、兵士たちはアタシの指示に従ってローグを囲み始める。
本来こんな事はまずないが、占い師のおかげで事前の準備は完璧なんだよ。


「どうしたお前たち、首になりたいのか」
「ローグ、それを決めるのはお前じゃない、お前たち早く拘束して閉じ込めて置け」
「「「「「はい」」」」」


兵士たちがローグを縛り上げ連れて行くが、次期領主がいなくなったわけだから、今後がとても心配だ。
ダンジョンのある地域の領主は、狙ってる者が多いからこの後かなりの騒動が予想される。


「今の利益高騰を考えると、王族も出てくるかもしれないな」


やれやれっと、面倒がまた増えてため息しか出ない。
また占い師に頼るのが早いから、アタシは領主の館を後にしたんだ。


「それにしても、まさかほんとに幹部たちがいなくなってたとはな」


ギルドは領地運営に干渉できなかったが、ここまで酷いと介入も出来た。
時すでに遅しとなってもおかしくなかったが、占い師様様だ。


「幹部たちの半数が戻って来てくれたから良かったが、数名は外に流れたからその内噂になるかな」


それを武器に、他の領主がここを狙ってきて、王族も参加するとか最悪の展開が見えた。
不幸中の幸いは、ダンジョンに深く潜ってるクランやPTにローグが何もしてなかった事で、もしケンカにでもなっていたらと思うとゾッとしてしまった。


「あんな言い方をするローグでは、相手をイラっとさせるからな、占いで知ってたからアタシも抑えたが、まぁ無理もない」


アイツは、自分が一番偉いと勘違いしてて、それがかなりイラっとさせて来た。
ギルドマスターのアタシは、領主でも止められない地位にあるのに、それを分かってないとか切り捨てても問題ない程だ。


「まったく、頭が良いとか言ってたはずなのに、どうしてこんな事になってるんだ」


いくら評判が良くても、所詮学生の時の成績と言う事なんだと理解して、アタシは考えるのをやめ、後の事は本物の領主に任せる事にした。
アタシの次の仕事は、大規模な遠征に向けての準備で、足りない食料などの収集をどうするかだ。


「こんな事、占いに頼らないとやっていけないな」


アイツのせいで不作が続き、近くの村には無いのが分かっていて、商人が持って来る事を願うしかない現状だから仕方ない。
そう思ってあれの事を思い出し、もしかしたら何とかなるかもと期待したんだ。


「獣人の村から訪れる輸送隊、確かそろそろだったはずだ」


獣の肉や野菜と結構卸してくれる事で有名だから、もしかしたらと思ったんだ。
遠征会議で、そこまで待ってもらうのが良いと、アタシは歩く速度が上がったんだ。
少しは先が見えてホッとしたが、果たしてダンジョンの最前線が更新できるのかと不安は残ったな。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

俺は何処にでもいる冒険者なのだが、転生者と名乗る馬鹿に遭遇した。俺は最強だ? その程度で最強は無いだろうよ などのファンタジー短編集

にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
私が過去に投稿していたファンタジーの短編集です 再投稿に当たり、加筆修正しています

処理中です...