異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!

まったりー

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1章 占い異世界生活

17話 遠征に向けて

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「分かっていた事だが、今回は無理そうだな」


朝の市場に来たアタイは、とてもガッカリして食品店を見て回り、遠征を延期にしても良いと結論を出していた。
それを聞き、アタイのクランで補佐官をしてるティーナも、頷きながら同意をしてきた。


「ですがアジーネ様、前回も前々回も進んでおりません」
「分かってるよティーナ、今回はどうしても進みたい」
「それでしたら、あの件を検討してください」
「それかぁ~」


唸りながらも、アタイはそこに手を付ける事に抵抗を持っていた。
それは、最近噂の占い師の事で、そいつの手を借りようというモノだ。


「運も必要ですよアジーネ様」
「それは分かるが、それに頼りきりと言うのもな」
「他の冒険者の生存率が上がっていますから、是非お願いします」


結果が既に出ているから、ティーナは勧めてくるわけだが、アタイは運に任せる事が嫌なんだ。
まるで、アタイたちの力では進めないと認めてる様で嫌だし、鎧の色を変えたり、髪型を変えるも嫌だ。


「それに、ピンクの鎧を勧められたらどうする、アタイは嫌だぞ」
「良いじゃないですか、とても似合いますよ」
「お前ならそうだろうが、アタイみたいなゴツイ女が似あうわけないだろ」


そんな事はないとティーナは言ってくるが、アタイは周りの目が気になってしまう。
占いでその色が言われるとは限らないが、言われたらお終いなんだ。


「だからって、クラン全体で許可が出ないのは困ります」
「それなら希望者だけにしてかまわない、アタイはしないぞ」
「リーダーがしないのに、許可を出しても誰も行きません」


そう言って、ティーナはアタイに占いを受けさせたがっている。
頑なにアタイはいかないが、冒険者の噂は気にはなってて、今回の遠征はそれが必要な気もしていた。


「食料も少ない今回は、長期には入ってられない・・・仕方ないのだろうか」


店を見ても、ほとんどの食材は無くなっていて、店も少なかった。
それでも店を出しているのには訳があり、みんなそれに期待していた。


「年に1回しか来ないが、森で溜め込んだ肉を持ってくる獣人たち、そろそろ来てくれるだろうか」
「毎年この季節には来ますからね・・・ですけど、今年はみんな狙っていますから、ちょっと難しいかも知れませんよ」


ティーナが視線を向ける先には、屋台の者たち以外の客がいて、それぞれが屋台を見ないでアタイたちが見ていた方角を気にしている。
そっちの方角から訪れるだろう者たちが待ち遠しいからで、丁度その者たちが来たのは騒ぎだしたんだ。
その者たちの姿はまだ見えないのに、来たんだと直ぐに分かったぞ。


「すごい歓声だな」
「え、ええ・・・獣人を歓迎する街なんて、ここだけではないですか?」
「ダンジョン都市ならそうだろう」


獣人は強い事で有名だが、食費が大変だからPTには勧誘はしない。
小食のエルフか、酒を与えれば済むドワーフが人気だが、アタイたち人族はそうもいかない。


「食料が少ない今、ここはあいつら頼りだ」
「そうですね、急ぎましょうアジーネ様」


何処に店を広げるのかは分からないが、人の集まる場所に向かえば良いわけだから、その場所は簡単に分かった。
しかし、アタイたちの戦いはここからで、食料の値段を上げるセリが始まる。


「っと思ってたんだが、値段を記載できる獣人とはな」
「驚きですねアジーネ様」


料金が決まっていて、店には行列が出来ていた。
しかも、獣人たちは量を沢山用意していて、説明してる獣人が安心させていたんだ。


「そう言えばティーナ、獣人の数も多いな」
「そうですね、いつもはネコ族だけなのに、リッス族にポンポ族がいます」
「それぞれ店を開いてるし、これは想像以上に期待できるぞ」


ネコ族の店は生肉を出していて、リッス族は乾燥させた肉で、ポンポ族は野菜を用意していた。
しかも、収納魔法持ちが要るのか、食材が減る事がなかった。


「いったいどれだけ持って来たんだ?」
「すごいですね、これなら遠征も平気そうです」
「いや、それよりも勧誘したいな」


収納魔法のレベルが高いのが分かり、それだけでも勧誘する価値があると考えた。
ティーナは反対してくるが、アタイの勘は告げていたんだ。


「強さも十分だろう」
「しかしですねアジーネ様、彼らはギルドカードを持っていません」
「それなら持たせればいい、試験なんて絶対合格できるだろう」


冒険者ギルドは、実技と筆記の試験があり、大抵は筆記で落ちるんだ。
しかし、値段を書けて文字と計算も出来てる獣人たちだから、絶対に合格する。


「あれは、普通の獣人じゃないぞティーナ」
「そうかもですが、新人には変わりありません」
「それなら後衛を任せれば良い、収納魔法だけでも十分だ」


その内戦力になると、ティーナを説得したんだが、店の獣人に声を掛けてアタイは逆に断りたくなった。
何故なら、獣人たちが出して来た条件がアタイの嫌なモノで、占いを受けろという条件だったからだ。


「ど、どうしてお前たちがそんな条件を出す」
「ちょっとした知り合いでな、ここに来る時に商売が上手く行くか占ってもらったんだが、そこでの答えがその条件だった」
「占いなんて、所詮気持ちの問題だろう」
「あのお方の占いはそうじゃない、そのおかげで肉もこれだけ取れたし、あんたのクランが全滅する未来も教えてもらったぞ」


獣人の男から驚愕な事を知らされ、アタイとティーナは言い返せなかった。
何となく、今回は失敗すると感じていて、それでもダンジョンに挑む恐怖があったんだ。


「オレたちも命が大切だ、死ぬと分かってるのに行くわけがない」
「じゃ、じゃあアタイたちが占いを受ければ良いのか?」
「それだけじゃダメだぞ、しっかりと結果を反映させてくれ」


つまり、アタイたちに鎧の色や髪型を変えろという事だ。
その程度の事で死なないのなら普通はそうするだろうが、アタイはそれでも嫌だった。


「アタイたちが気を付ければ良いだけだろう、そんな注意をされれば可能だと言える」
「それがダメなんだ、あのお方の占いは未来を変える為の物で、それをしなければ必ず当たる」
「そ、そんなバカな!?」


それでは予言だと、アタイは占いじゃない事を指摘した。
しかし、獣人の男は頷いて来て、1枚の紙を見せて来たよ。


「これは?」
「それがオレの占い結果だ、読み上げて見ろ」
「物々交換ではなく銀貨1枚の値段を付ける?」
「それだけではないですよアジーネ様、彼らは革手袋をしています」


爪を隠せと紙には書かれていて、それが商売に影響しているのが店を見て分かった。
鋭い爪を見せられたら、引っかかれる怖さがあり、品物にも傷がついてしまう。


「いつもオレたちの店には人が集まるんだが、買う者がなかなか声を掛けてこないのが普通だった」
「まぁ、品を見てからこちらも対価を出す準備をするからな」
「そうだ、それが今回は直ぐに買い付けが始まった」


占いのおかげと言ってくる獣人は、ほんとにその占いを信じているのが伝わって来たぞ。
そこまで言われれば、アタイも死にたくはないし、占いを受ける事を約束した。


「滞在期間の間だけの契約だな」
「ああ、冒険者ギルドには話を通しておくから、試験はしっかりと頼むぞ」
「分かったぞ、オレはネコ族のチージルと言う」
「アタイはアジーネだ【灼熱の咆哮】クランのリーダーをしてる、こっちは補佐官のティーナだ」


自己紹介をして、遠征にはチージルと他数名が参加を約束してくれた。
出発は半月後で、アタイは失敗を覚悟していた遠征が一変して楽しみになったぞ。
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