恩恵沢山の奴隷紋を良かれと思ってクランの紋章にしていた俺は、突然仲間に追放されました

まったりー

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3章 商品チート

43話 返り討ち

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「良くお越しくださいました」


ゴルトンに到着したウチたちリイル商会のメンバーは、商業ギルドの職員と握手を交わし、お店に丁度良い物件を探して貰い、ウチは物件の内容を見てニンマリですよ。
中央広場からは離れるけど、お手頃な価格と広さがあり、ウチは了承したんだよ。


「良かったです、それでは契約書を持ってきますね」
「はい、よろしくお願いしますわよ~」


職員がいなくなり、後ろに控えるウチの部下のエンリクがボソッと伝えて来て、ウチも感じていて了承したよ。
それは天井からの視線で、ウチたちの会話を聞いてる悪い奴らだったんだよ。


「アルエルさん、職員もグルでしょうか?」
「それはまだ分からないわよエンリク、でもその可能性もあるから警戒だわよ」
「了解です」


エンリクが他の部下にも小声で話をして、ウチたちは警戒して職員を待ち、持って来た書類を読んでサインをするのを少しためらったよ。
でも、職員がどうして?っと思う前にサインをして、ウチは笑顔の職員もグルなのが分かって、お店を金貨2枚で買ったんだよ。


「これで契約は終了です」
「それは良かったわよ、それと露店でも商品を出そうと思ってるんだけど、何処か良い場所はあるかしら?」
「それでしたら、港の方がよろしいと思いますよ」


許可もギルドカードを持っていれば要らないそうで、それは何よりとウチはにこやかに了承したんだわよ。
そして、お店に到着して品物を並べていると、道の向かいなどから視線を感じたんだわよ。


「これは、相当警戒されてるねよ」
「アルエルさん」
「分かってるわよエンリク、お前は港で準備をしてくるんだわよ」
「了解です、後で合流しましょう」


この店に並べているのは、何処でも手に入る鉄装備までで、敵が乗っとる気でいるから出している商品なんだわよ。
どこの誰かを調べる為にエサとして店を構えたけど、監視の目の数を考えると相当大きな敵なのが分かったわよ。


「一筋縄ではいかないのかも知れないけど、ウチはリイル様から任されてる以上、負けるわけにはいかないわよ」


こっちには王族の書印もあるし、上手く掛かってくれる事を祈ったけど、そいつらは次の日にノコノコ来たんだわよ。
警戒もしないで、責任者であるウチのレジに来て、証書を突き出してきたんだわよ。


「この店は、我らジェイクサー商会の物だ、早々に退去しろ」
「そうですか、それじゃあさようならだわよ」
「えっ!ちょっ」


ウチたちは、その場をすぐに離れ港に向かったわよ。
抵抗もしなかったからか、店に来た男たちは茫然としていたね。


「あははは、あいつらの顔見ましたかアルエルさん」
「傑作だったわよねイースン、これで商業ギルドにも仕掛けられるし、言う事なしだわよね」
「はい、ジェイクサー商会をしらみつぶしですね」
「そうだわよ、全ての商品を牛耳ってやるわよ」


メインの品物は、港で出してる露店に置いていて、そこは露店と称した大きな船の店だったんだわよ。
ウチたちが港に到着すると、エンリクが手を振って来て、行列が出来ていたわよ。


「早速繁盛しているわよねエンリク」
「当然ですよアルエルさん、何せリイル様の品物ですからね」
「そうだわよね、さぁ売りまくるわよ」


ウチたちは、船の中に乗り込み、港に出している露店の数を増やしたんだわよ。
そして、そこにも奴らは来たけど、今度は引くことは無いんだわよ。


「お前たち、その商品は我々の物だ、返せ」
「おやおや、変な事を言わないでおくれだわよ、これはウチたちがこの船で運んで来て、ここで売る為の品だわよ」
「だから、あの店の品は全て」
「何を言ってるの、あそこの店とこっちは違うわよ、あんたの持ってる書面にも書いてあるんだわよ」


そんなバカなっと、男は読み直しているけど、本当のそう書いてあり、店の品と括られていたんだわよ。
土地がジェイクサー商会の物だから、上に建てられてる店もそいつらの物と言うのを逆手に取ったんだわよ。


「さぁ分かったらとっとと帰るんだわよ、こっちは商売しているんだわよ」
「く、くそっ!覚えてろ」


男たちが退散していき、ウチたちは普通に商売を進め、その日は大繁盛を納めたわよ。
そして次の日に来たのは、商業ギルドで契約に携わった男だったわよ。


「あんたは確か、シャシャルダさんだったかしら、どうしたのかしら?」
「どうしたではありませんよアルエルさん、ここで商売をするのは、あの店があるからでしょう、どうしてお店とこちらとで品物が違うんですか」
「どうしてって、何処で何を売るかなんてこちらの勝手じゃない?」


向こうでは武器を売り、こちらではリイル様の食料を売ろうと考えていたと説明し、とても繁盛していると喜びの言葉を伝えたわよ。
でも、シャシャルダはかなり焦っていて、船の停泊は許可してないと言って来たわよ。


「そうなのかい?」
「そうですよ、これは領地を管理しているテマルロイ伯爵様もお怒りで、直ちに商品を没収するように言ってきています」
「シャシャルダさん、これは露店だわよ、見て分かるかしら?」


ウチたちの用意した船は、港に乗り上げる形をしていて、船でありお店だったわよ。
だから海から入って来ていないし、停泊の許可は要らないと言ってやったわよ。


「あんたは言ったんだわよ、港で露店を開くのはギルドカードがあれば良いってね、だからこうして商売をしているんだわよ」
「なっ!?」
「分かったら、言いがかりをつけないでくれるかしら、こっちは忙しいんだわよ」
「こ、後悔しますよ」


シャシャルダが怒って立ち去り、まさか領主まで絡んでいるとは思わなかったと、ウチたちは呆れてしまったわよ。
その場にいた客たちも心配して来たけど、問題ない事を説明して、迷惑を掛けたお礼に2割引きにしたわよ。


「アルエルさん、戻りました」
「お帰りエンリク、それで首尾はどうだったかしら?」
「はい、街の半分以上がこちらに付きました」
「そう、それは何よりだわよね」


事前にエンリクを走らせ、街の店を回ってこちらに付くように呼び掛けてもらったわよ。
ある人がウチたちのバックにいる事をチラ付かせたら、二つ返事だったと笑っていたけど、次の日に来た奴はそうもいかなかったわよ。


「わしゃ~ここの領主だがのう、お主たち、処刑じゃ」


兵士たちを沢山連れて来たのは、ここの領主でブクブクに太った男だったわよ。
見るからにやり手ではないそいつは、手を上げ兵士に合図をする構えだけど、簡単に来てくれてウチたちはニンマリだわよ。


「随分早急だわねあんた、今の状況分かってるのかしら?」
「ふぉっふぉっふぉっ、何を言うかと思えば、分かってないのはそっちじゃがのう」
「そうかしら?こっちは何も悪い事はしていない、それなのにこんな事をしたら、処罰されるのはそっちだわよ」
「ふぉっふぉっふぉっ、伯爵であるわしゃの指示なのじゃ、その時点でお主たちが悪なのじゃよ」


そう言って笑って来たけど、それならこっちも権力を見せる事にしたわよ。
書面を二つ見せて、ウチは高々と宣言したわよ。


「ウチたちは、ラインハット国の第一王子、セバール様からの依頼でここに商売をしに来たのだわよ」
「「「「「なっ!?」」」」」
「そしてもう一つ、それを許可したのが第8王女様のベルーナ様で、船の停泊許可も姫様から貰っているのだわよ」


これが国同士の契約で、伯爵の出る幕ではなく、許可もいらなかったことを教えたわよ。
これでも力づくとなれば、ラインハット国との問題になり、伯爵が責任を取らされると宣言したわよ。


「そ、それだけは勘弁してくれ」
「あらあら、ウチは先ほど言ったわよ、こっちは悪くないのにそれで良いのかってね、それなのにあなたはなんて言ったのかしら?」
「そ、それは」
「もう遅いのよ伯爵、あなたとその仲間たちは、ベルーナ様の名の元に処罰を下されるわよ」


バーバルナ様が行う準備をしていて、ここの領主であるこの男は直ぐに変わる事になっていて、こいつはまんまと罠に嵌ったわよ。
商業ギルドにも責任を取らせる流れを作り、冒険者の次にこんな事があったので、大規模な調査をする事が決まっているわよ。
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