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2章 宣伝

20話 ダンジョン内との違い

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僕が森長になったと、ミャオサーさんに報告されてから1ヶ月が経ちました、ダンジョンの出口に作った村も、かなり大きくなって完成したと報告を受け、ちょっと嬉しさを浮かべて、生の鳥肉を串に刺します。


「シンジにゃんのおかげで頑丈な家が建ってるにゃよ、種族もやっと全部が揃ったのにゃ」

「種族の移動に1月も掛かるなんて、この森林って広いとは聞いていたけど、ほんとにすごいんだね」


銀のトレーに生の焼き鳥を並べ冷蔵庫にしまいます、そして作業を止めクロネオを膝に誘って最後の報告です。
点々と暮らしていた種族は、今ここに全て集めたそうです、みんなで一緒に暮らす事にして、森林では外敵がいなくなって動物も植物も増えるだろうっと、お母さんであるミャオサーさんが言ってたとお腹を見せて言ってます、食料支給も輸送しなくて良いならその方が楽だし良いことだらけだよ、悪い知らせもあったけど順調に来ているね。


「今のウチたちにゃら、森林の端から端まで2時間にゃ、普通はすごく時間がかかるにゃよ」

「すごいんだねクロネオたちは、これからも頼りにしてるよ」


膝の上でブラッシングをしながらクロネオを撫でます、やっと解禁してもらった僕の至福の時間だよ、ちなみにミャオサーさんやシロチーたちは解禁してません、外の情報は最近クロネオを経由して貰っていて、状況はだいたい掴めています、みんなはミントにブラッシングしてもらっていて嬉しそうではあります。
ちなみに森林の広さですが、クロネオたちは最高時速70キロで走れるそうです、途中疲れて速度が下がったり、木がじゃまをして真っすぐ走れないとしても、60から50くらいの速度を出していると仮定して森の広さを予想したんだ。
最低でも半径100キロから120キロと見てます、村に集まったモンスターたちは3000匹くらいになったそうだよ、みんな動物の姿をしている魔族です、ウサギとかカワウソと可愛いのもいます、カブトムシの様に硬そうな虫系や鳥もいて凄く触りたいです、ミントに禁止されていなければと涙を流しました。


「シンジにゃんの方がスゴいにゃ、トリ型モンスターに袋スライムを運ばせるにゃんて、頭が良すぎにゃ」


お腹を出し、そんなことをクロネオに言われました、最初はお腹を見せるのを躊躇っていたのに、ずいぶん慣れたねとクロネオのお腹をブラッシングしたんだ、とても良いです。
普通それくらい思いつくとは思っています、進化したミャオサーさんなら考えついただろうからね、これで外の支援も多く出来るようになったんだ。


「大きな荷物を担いで歩くよりは早いと思っただけだよ、みんなの生活が安定したら陸路も進めたいね、経験値の実験の方はどうなってるかな?」

「それにゃんだけど・・・やっぱりウチたちが特別みたいにゃ」


ミャオサーさんに頼んでいた実験の報告を聞いて、僕はやっぱりって思いました、どうやらそれほどうまくは行かないみたいです。


「じゃあクロネオたちが進化したのは、別の要因があるんだね」

「どうにゃろう?外の住民と違う事をウチたちは沢山してるにゃ、今にゃってシンジにゃんにブラッシングをして貰ってるにゃよ」


ゴロゴロとノドを鳴らしてクロネオがウットリして話しています、ミャオサーさんに詳しく聞いた方が良いかもしれないね。


「そう言った難しい話は、お母ちゃんに聞くと良いにゃ、ウチもそろそろご飯を食べるにゃ」

「あ!?」


クロネオがぴょんって起き上がり、ミントたちがいるテーブル席に走って行っちゃったよ、僕は声を発したけど、クロネオは気づかないで行っちゃいました。


「クロネオ、君のお母さんには僕は近づけないんだよ・・・やっと許可が下りる所だったのに、また進化しちゃったんだからね、だから君に聞いてたんだ、察してよね~もう~」


僕の目線の先にはその当人がいます、ゆっくり歩いてカウンター席に座ってすごく優雅です、ミャオサーさんは進化してスラッと背の高い女性になっているんだ、前も背は高かったけど、肩や腕に毛が生えツメも鋭く尖ってたから獣っぽさが残っていたんだ、でも今は耳や尻尾が獣の様にあるだけ、他は全部人にしか見えないんだよ。


「和服を欲しがったから着物を作って揃えたけど・・・すごく似合い過ぎたね」

「シンジ様、わたいの事が嫌いですかにゃん?」


潤んだ目でそんなことをいつもの様に言ってきます、ミントに許可されてないだけっていつも返すんだ、でも進化してからは違う問題も出て来てるんだよ。


「でしたら早く髪をブラッシングしてくださいにゃん」

「そそそ、そうだね」


唯一許可を貰っている髪だけを触ってブラッシングします、後ろに回って茶色と白の長い髪を触ると、ものすごく良い香りがするんだ、着物の袖から首筋が見えてかなりグッときます、とてもきれいでスタイルも良くて顔も整ってるからほんと困ります。
着物を作ったのは失敗でした、ミャオサーさんの色気が増してしまったんだよ、正直好みじゃないと言ったら嘘になるね、ハイエンダクラスになって、ここまで変わるとは思わなかったです、レジェンドになったら戻ってくれないかな?クロネオたちみたいにさ。


「痛かったら言ってくださいねミャオサーさん」


心の愚痴を止めて、ミャオサーさんの髪を丁寧に扱います、更に良い香りが漂ってくるけど無心で行います、後ろ向きのミャオサーさんのうなじから目が離せないけど、何とか無心です。


「シンジ様にして貰っているのに痛いわけありませんにゃん、それにいつまでもさん付けはイヤですにゃん、それでは報告しませんにゃんよ」


ミャオサーさんが後ろに倒れて僕に寄りかかってきました、ミントに気付かれないよう、直ぐに元の姿勢になるので良いですけど、僕はかなり動揺してしまうんだ、ここは落ち着かなければいけません。
ミントがこれを見て、学習したら大変です、こんな風に迫ってきたら、もう取り返しが付かないからです。


「分かりましたよ、ミャオサー報告をお願いね」

「もうっ!言い方がそっけないにゃん・・・まぁ呼んでくれたので良いにゃんよぉ~」


最後の方がちょっと猫なで声だったのを「そうですね」っと、軽く返して報告を聞きます。


「食事で得られる経験値がダンジョン内に比べて10分の1ですか」

「そうですにゃん、しかも料理はシンジ様が作ったものでもダメにゃん、ダンジョンから外に出すと、下がってしまう様ですにゃん」


ミャオサーの報告を聞き少しがっかりです、でも同時に良かったとも思っています、経験値が下がるのであれば、外の売り込みにも料理が使えます、さすがに魔王様に献上するのに食材だけではつまらないですからね。


「じゃあ陸路の交易は、魔族以外も対象に入れましょう、レベルが上がらないのなら驚異にはなりません」

「魔族領に回り切ってからですにゃんね、空からの輸送で援助出来る魔王領と違い、他の大陸には空からは行けませんにゃん、単体であれば調査をしてますにゃんがそれ位にゃんね、しばらくすればここに来る種族が外からも来て増えるにゃん、その種族に長距離を飛べる種族がいる事を願いますにゃん、すでにここに向けて移動をしてる種族がいるとも聞いてるにゃん」


朗報だと、僕は笑顔で髪をブラッシングしながら聞きました、なかなか順調なんだと思ったんだ、ミャオサーの話では信頼できる数名を選びたいそうです、その数名にダンジョン内で食事をしてもらい、進化を促すことも考えているそうだよ。


「最初はあんなに嫌がってたのに、どうしてそんな考えになったのかな?」

「ランク付けの為にゃんよシンジ様、わたいたちがトップなのは変わらないにゃん、でも次を作らないといけない時期になったのにゃん」


新たな種族が森に来るのでそう言った準備をするらしいです、僕もそれには賛成と頷きました、同時に問題点も浮上するんだよ。


「となると、ここに来る人数が一気に増えるんだね、料理を作れる助手が欲しいね、誰かいないかなミャオサー」

「ご安心くださいにゃんシンジ様、すでにレベルの高いオオガラスを使って準備させてるにゃん、害のないヒューマンの子供を連れてくるのにゃん」


ミャオサーの言葉に僕はドキッとしました、もしかして村や街を襲い攫って来るんじゃないかって焦ったんだ、だけどすぐ考えを改めたよ、僕のことを良く理解してくれてるミャオサーだよ、そんな事をするはずがないよね。


「今はどこも食料が不足しているにゃんからね、どこも口減らしをしているにゃん」

「そんなに食料が不足するんだね、これはそこら辺も考えて、外との接触を図るのが良いかもしれない」


向こうがいらないと言ってきた者たちなら反発も少ないでしょう、オオガラスたちはクロネオたちよりも大きいけど、外のモンスターの中では大きくないそうです、だから3体くらいで違う大陸を飛び回ってるんだ。
それでも向こうの大陸の奥には行けません、そこまでが体力的にも、相手の警戒的にも限界です。
それに困ってるなら救わないとだよ、僕はミャオサーに子供だけでなく大人も歓迎すると伝えました、森林の外に新たに村を作り、そこで実験をする為に暮らして貰います。


「にゃるほど、魔族の土地以外にも広げる準備にゃんね」

「そうだね、外に広めるなら種族が同じの方が効率がいいもんね、もちろん相手は選ぶつもりだよ」


悪いことをする者ってのはどの種族にもいます、そんな輩とは取引はしません、それを追加要請して、ミャオサーのブラッシングは終了しました。
ミャオサーは至福の時間が終わってしまい、がっかりすると思ったんだけど、これからの事を任せたからかウキウキしていました。
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