46 / 102
奇跡のサードステップ
46歩目 危険な国
しおりを挟む
「そこで止まれ!」
イーシャの訓練をしながら街道を進み、やっと王都デンタルサーノに着きました、門の前で僕たちは止められています。
門番2人は槍を構え、外壁の上では弓兵がこちらを狙っています、僕たちは武器に触らず手を上げていますが相手はかなり警戒していますよ。
「僕たちは行商人です、デンタルサーノで商売をしに来たのですが、入れて貰えますか?」
僕は商業ギルドのカードを見せます、でも門番はそれを見ても槍を下げません、それどころか門から他の兵士たちも出て来て槍を構えます、僕はそこである事に気づきマップを見ました。
「立ち去るが良い部外者!我々は他国の商人を入れることはしない、誰であろうと入国を許さない、もしそれでも入国したいと言うのであれば命は無いと思え!」
装飾のちょっと違う鎧の人がそう言い放って右手を振り上げます、その兵士が兜を付けてなかったから分かりました、この人たちは人ではありません、詳細にバンパイア(眷属)と出ています、他の兵士たちは振り上げられた手に合わせて一斉に槍を持っている手に力を入れました、手が振り下ろされれば一斉に攻撃をするぞと言わんばかりの体勢です、僕は作戦を立てるために一度門から離れました。
「これは予想以上に警戒しているね・・・どうするアマンダ」
門が小さく見える辺りで御者席のアマンダに聞きます、マップで見た情報を話すとイーシャが暴走しそうなのでまずは言いません、僕としてはここを諦めるべきだと思います、王都の門番にバンパイア(眷属)がいたと言う事は、王都が全て敵の可能性があります、さすがにその数を3人で相手には出来ません、テイムしたモンスターたちを使っても大変かもです、中に潜入してボスだけを倒すなど、作戦を立てる必要があります。
「あれだけ警戒されたら仕方ない、他の村にでも行って話を聞いてみよう、王都でなくても細い目の行商人の行方は聞けるだろう」
どうしてか御者席から飛び降りてきました、僕は言ってないことがあるのを悟られたかと思ってドキッとしました、でも右腕をアマンダが引き寄せて体にくっつけて来たので違うのが分かり、歩きにくいと告げながら頷きました。
そしてそれを見てイーシャが僕の左腕を引っ張ってきます、芋虫君はまた操作をほったらかしにされたと、やれやれって仕草を沢山の足でさせて僕たちの後ろを付いてきます、ふたりは最近こんな感じで歩こうとします、馬車を芋虫君が動かしてくれるから出来る事ですね。
「ねぇアマンダ、そろそろ放してくれるかな?イーシャも歩きにくいでしょ」
「良いじゃないかアユム、アタシはこの方が安心する」
「ワタシもよアユム、あいつらを見たからかな?何だかそうしたいの」
ふたりが意見を合わせて笑顔を見せています、僕としては恋人でもないのにこんな状態は良くないと思います、二人を同時に恋人にするなんてどこかの誰かさんみたいです、名前を言うと、せっかくうなされなくなったアマンダがまた悪夢に悩むかもしれないので言いません、どちらか1人を選ぶ事も僕には出来ません、ふたりは大切な仲間でいなくなってしまうのは嫌です、なので強くは言えませんし無理な戦いは避けたいです、ここはやっぱり言わないのが得策でしょう。
「でもさ、イーシャは良く怒らなかったね」
話しを逸らす為に偉いねって伝えました、イーシャの耳が上下して嬉しそうです、あの兵士たちはイーシャにとって仇になります、それがあんな態度を取って来たら感情が爆発しますよ、そうでなくても攻撃をしてしまうかもと、アマンダと僕は心配でした、いつでも止められる体勢を取っていたくらいだったんです、でも僕の隣で両手を上げて静かに目をとじていました。
「んふふ~ワタシは大人だもん、リーダーであるアユムが嫌がる事はしないわよ」
腕を更に引っ張りスリスリしてきます、僕が嫌がる事はしないけど困る事はするんだねっと、心の中でツッコミを入れたのは言いません、昼食を摂った後、街道を進んだ僕たちは最初の村に到着してまた困っています。
「それ以上近づくんじゃない!即刻村から立ち去れ、さもないと矢を撃つぞ!」
僕たちは村から10mくらい離れています、それなのに門番が気づき村人が弓を構えているんです、警告を聞いて僕たちは直ぐに離れました、そして馬車の中で作戦会議です、芋虫君には次の村に向かって貰っています。
「イーシャ!どうなってるんだこの国は」
「ワタシに聞かないでよアマンダ、ワタシだってこんな事態になってるとは思わなかったわ」
ふたりが言い争いをしています、でも僕は違う事で悩んでいます、さっき見た村人もバンパイアの眷属でした、これは国全体がこうなっている可能性が出て来たと困っています。
「王都も村も入れないとなると情報を聞く事も出来んな、次の村か街で同じなら諦めて移動するのが良いと思うぞ」
「まぁ仕方ないよね、でもどこに行ったか分からないけどどうするの?」
「イーシャのいた森には訪れなかったらしいからな、もしかしたらあいつは人種族を狙っているのかもしれない、となると次の狙いはサンドマリアだ、ここよりも西には小さな村や街はあるが人種の国はそこしかない、かなり遠いが絶対に倒してやる」
アマンダの話ではこの大陸の一番西にあるそうです、僕は九州地方だねって思い旅の道のりを想像します、海を2回渡り四国を真っすぐに進んで大陸入りするか、北側を通って陸路を行くかです。
「ちょっと遠いわね、その行商人が魔族ならそこにはいないんじゃないの?他の魔族が攻めてそうよ」
イーシャの意見を聞きアマンダが唸っています、僕はあの悪い魔女を思い出しています、ほぼ同時に攻めてきているんです可能性は高いと思います。
「それなら、国に属してないここから一番近い人種の村か街を探しながら向かおう、ロンゾ村の様な事になっているかもしれない」
「他の国に属してる所まで行くのねアマンダ、まぁ仕方ないかな」
「そうだ、そういった場所はあるだろう、時間は掛かるかもしれないがこれが一番だ」
ふたりが結論を出し、僕はそれに同意します、国全体が相手だと分かったんです、ここは他の国に向かいそこと共闘するのが良いんです、もう僕たちだけでは手に負えません。
「さて、ここはどうだろうか」
アマンダが出来ればここで情報が欲しいと顔に出し御者席で呟いています、僕は既に見えているので確定かもと思っています、相手がこちらを見つけたようで門の前で誰かが動いています、マップでは赤表示が沢山動いていますよ。
「ようこそエンダの村へ旅人さん、何もない村ですがゆっくりしていってください」
僕たちが門まで来ると意外な事に笑顔で招き入れてくれました、アマンダは情報が得られると笑顔を見せます、でも僕はかなりまずいと思っています、これなら二人に話すべきだったと後悔しているくらいです。
「なんだろう・・・ワタシすごくゾワゾワするんだけど、ふたりは平気なの?」
イーシャが震えて僕にしがみついてきました、きっと本能的に感じているんでしょう、僕は無理もないって村を見ます。
「見るからに普通の村だぞ・・・そうだよなアユム?」
アマンダが手綱を握って僕に聞いてきます、僕は頷きながらも周りを警戒するようにとアマンダにサインを送ります、遠くでは子供たちが楽しく遊んでいるのが見えます、ほんとに見ただけでは普通の村です。
「でも種族は違うし、あの王都よりもひどい」
イーシャが我慢が出来ないようで目を瞑って僕にしがみついて歩きだしました、僕は御者席に乗り全員で馬車で移動を始めます、これで逃げる時は芋虫君が突撃して逃げれます、あのモヤと同じなんだと僕は直感で感じていますよ。
「こんな状態なのにクエストが発生しない・・・もう手遅れなのかもしれない」
ふたりに聞こえないくらいで呟きクエスト欄を見ます、画面を見ながら進んでいると村長と書かれた人が馬車の方に歩いてきています、いよいよ逃げる準備だと思っていると、村長の顔を見て手遅れな理由が分かったんだ。
「角と牙がある・・・眷属でもなくてすでに魔族になってるんだ」
マップの名前をタップする以前の問題でした、見るからにバンパイアで服が村人なだけです、マントとかを着たらどう見てもバンパイアです。
「ようこそ旅人さん、ここへは何をしに来たのですかな?」
しらじらしくも村長バンパイアが笑顔で聞いてきました、でもアマンダは普通に細い目の行商人の話をしています、どうやらアマンダには普通の人に見えるようです、イーシャは今まで以上に嫌な感じを受け武器に手を掛けています、僕はそれを押さえアマンダに任せます。
「細い目の男ですか・・・そう言えば来たような、そうでないような?」
「似ている奴でもいいんだ、どの方角に行ったとか分からないか?なんでも良いんだ報酬も出す」
アマンダが諦めません、村長は知ってるような、そうでもないような答えをずっと言っています、僕はそれを聞いて時間を稼いでいるのが分かったんだ。
「思い出せませんな・・・時間が経てば思い出すかもしれません、今日の所は村で休んではどうですかな?」
村長は笑顔で提案して来たので僕たちは宿を取って休む事にしたんだ、村長たちが宿まで案内してくれて宿代も無料でした、僕たちは1つの部屋に集まり作戦会議です。
「って事で、ここの人達は既に魔族になってるんだ、遅くなってごめん」
今までのいきさつを話し二人に謝りました、今の状態はとても危険です、少し間違えばレベルの低いイーシャは命を落としていたかもしれません、僕とアマンダは余裕です。
「アユムはワタシを心配してくれたのね、嬉しいわ」
「アタシはちょっと複雑だな」
イーシャは僕に抱き着いてきたけど、アマンダは腕を組んで怒っています、頼りになると僕が思ってくれているけど、心配してくれないのかとかブツブツと言っています。
「それでどうするんだアユム、これは確実に罠だろう」
「それなんだけどさアマンダ、人種族の国が遠いとなると、ここを細い目の男が支配している可能性が高いと思うんだ、きっと王都の城にいる、村長は眷属ではなくバンパイアになってたから幹部かもしれない、それなら罠に嵌ったと見せかけて城に乗り込もうと思うんだ、しっかりと準備してね」
村長が自分たちで処理しようとした場合でも、本当の情報が得られるかもしれません、優位だと疑わない状態なら真実を話しやすいですからね、2人もそれに賛成してくれました、僕は早速準備を始めます、アマンダの時の様にいつイーシャに渡すか迷っていた勇者装備を出します。
「これって・・・アユム、何だかすごい力を感じるんだけど」
「それは天女の弓って言うんだ、弓使い最強の武器で魔法の矢が無限に出せる、弓自体も腕輪になって収納できるんだよ、それを使えるのはこの青勇者の装備を着た者だけ、アマンダの装備と同じく色々な付与がされてる」
着替える様に言いながら僕は説明します、もちろん後ろを向いてです、青い羽衣がひらひらと強調されている勇者装備です、それがとてもイーシャに似合うだろうと褒めます、見えてないけどきっとイーシャは喜んでいるよね。
「さて、これで何が来ても怖いものなしだ、毒を盛られた晩餐に向かうよ」
「「お、おお~?」」
ふたりが変な返事をしていました、でもそうなる可能性は高いと思います、映画でもありますよね、バンパイアはうら若き女性の血を好みます、それに僕が入らないことを願うけど、きっとダメなんだろうね。
「ふっふはははー!まんまと引っ掛かりおってからに小娘ども」
そしてそれは現実になりました、僕たちは村長に誘われた晩餐で毒を盛られたんです、苦しみ倒れて動けないふりをして相手の出方を見ます、村長は高笑いをしてうるさいです。
イーシャの訓練をしながら街道を進み、やっと王都デンタルサーノに着きました、門の前で僕たちは止められています。
門番2人は槍を構え、外壁の上では弓兵がこちらを狙っています、僕たちは武器に触らず手を上げていますが相手はかなり警戒していますよ。
「僕たちは行商人です、デンタルサーノで商売をしに来たのですが、入れて貰えますか?」
僕は商業ギルドのカードを見せます、でも門番はそれを見ても槍を下げません、それどころか門から他の兵士たちも出て来て槍を構えます、僕はそこである事に気づきマップを見ました。
「立ち去るが良い部外者!我々は他国の商人を入れることはしない、誰であろうと入国を許さない、もしそれでも入国したいと言うのであれば命は無いと思え!」
装飾のちょっと違う鎧の人がそう言い放って右手を振り上げます、その兵士が兜を付けてなかったから分かりました、この人たちは人ではありません、詳細にバンパイア(眷属)と出ています、他の兵士たちは振り上げられた手に合わせて一斉に槍を持っている手に力を入れました、手が振り下ろされれば一斉に攻撃をするぞと言わんばかりの体勢です、僕は作戦を立てるために一度門から離れました。
「これは予想以上に警戒しているね・・・どうするアマンダ」
門が小さく見える辺りで御者席のアマンダに聞きます、マップで見た情報を話すとイーシャが暴走しそうなのでまずは言いません、僕としてはここを諦めるべきだと思います、王都の門番にバンパイア(眷属)がいたと言う事は、王都が全て敵の可能性があります、さすがにその数を3人で相手には出来ません、テイムしたモンスターたちを使っても大変かもです、中に潜入してボスだけを倒すなど、作戦を立てる必要があります。
「あれだけ警戒されたら仕方ない、他の村にでも行って話を聞いてみよう、王都でなくても細い目の行商人の行方は聞けるだろう」
どうしてか御者席から飛び降りてきました、僕は言ってないことがあるのを悟られたかと思ってドキッとしました、でも右腕をアマンダが引き寄せて体にくっつけて来たので違うのが分かり、歩きにくいと告げながら頷きました。
そしてそれを見てイーシャが僕の左腕を引っ張ってきます、芋虫君はまた操作をほったらかしにされたと、やれやれって仕草を沢山の足でさせて僕たちの後ろを付いてきます、ふたりは最近こんな感じで歩こうとします、馬車を芋虫君が動かしてくれるから出来る事ですね。
「ねぇアマンダ、そろそろ放してくれるかな?イーシャも歩きにくいでしょ」
「良いじゃないかアユム、アタシはこの方が安心する」
「ワタシもよアユム、あいつらを見たからかな?何だかそうしたいの」
ふたりが意見を合わせて笑顔を見せています、僕としては恋人でもないのにこんな状態は良くないと思います、二人を同時に恋人にするなんてどこかの誰かさんみたいです、名前を言うと、せっかくうなされなくなったアマンダがまた悪夢に悩むかもしれないので言いません、どちらか1人を選ぶ事も僕には出来ません、ふたりは大切な仲間でいなくなってしまうのは嫌です、なので強くは言えませんし無理な戦いは避けたいです、ここはやっぱり言わないのが得策でしょう。
「でもさ、イーシャは良く怒らなかったね」
話しを逸らす為に偉いねって伝えました、イーシャの耳が上下して嬉しそうです、あの兵士たちはイーシャにとって仇になります、それがあんな態度を取って来たら感情が爆発しますよ、そうでなくても攻撃をしてしまうかもと、アマンダと僕は心配でした、いつでも止められる体勢を取っていたくらいだったんです、でも僕の隣で両手を上げて静かに目をとじていました。
「んふふ~ワタシは大人だもん、リーダーであるアユムが嫌がる事はしないわよ」
腕を更に引っ張りスリスリしてきます、僕が嫌がる事はしないけど困る事はするんだねっと、心の中でツッコミを入れたのは言いません、昼食を摂った後、街道を進んだ僕たちは最初の村に到着してまた困っています。
「それ以上近づくんじゃない!即刻村から立ち去れ、さもないと矢を撃つぞ!」
僕たちは村から10mくらい離れています、それなのに門番が気づき村人が弓を構えているんです、警告を聞いて僕たちは直ぐに離れました、そして馬車の中で作戦会議です、芋虫君には次の村に向かって貰っています。
「イーシャ!どうなってるんだこの国は」
「ワタシに聞かないでよアマンダ、ワタシだってこんな事態になってるとは思わなかったわ」
ふたりが言い争いをしています、でも僕は違う事で悩んでいます、さっき見た村人もバンパイアの眷属でした、これは国全体がこうなっている可能性が出て来たと困っています。
「王都も村も入れないとなると情報を聞く事も出来んな、次の村か街で同じなら諦めて移動するのが良いと思うぞ」
「まぁ仕方ないよね、でもどこに行ったか分からないけどどうするの?」
「イーシャのいた森には訪れなかったらしいからな、もしかしたらあいつは人種族を狙っているのかもしれない、となると次の狙いはサンドマリアだ、ここよりも西には小さな村や街はあるが人種の国はそこしかない、かなり遠いが絶対に倒してやる」
アマンダの話ではこの大陸の一番西にあるそうです、僕は九州地方だねって思い旅の道のりを想像します、海を2回渡り四国を真っすぐに進んで大陸入りするか、北側を通って陸路を行くかです。
「ちょっと遠いわね、その行商人が魔族ならそこにはいないんじゃないの?他の魔族が攻めてそうよ」
イーシャの意見を聞きアマンダが唸っています、僕はあの悪い魔女を思い出しています、ほぼ同時に攻めてきているんです可能性は高いと思います。
「それなら、国に属してないここから一番近い人種の村か街を探しながら向かおう、ロンゾ村の様な事になっているかもしれない」
「他の国に属してる所まで行くのねアマンダ、まぁ仕方ないかな」
「そうだ、そういった場所はあるだろう、時間は掛かるかもしれないがこれが一番だ」
ふたりが結論を出し、僕はそれに同意します、国全体が相手だと分かったんです、ここは他の国に向かいそこと共闘するのが良いんです、もう僕たちだけでは手に負えません。
「さて、ここはどうだろうか」
アマンダが出来ればここで情報が欲しいと顔に出し御者席で呟いています、僕は既に見えているので確定かもと思っています、相手がこちらを見つけたようで門の前で誰かが動いています、マップでは赤表示が沢山動いていますよ。
「ようこそエンダの村へ旅人さん、何もない村ですがゆっくりしていってください」
僕たちが門まで来ると意外な事に笑顔で招き入れてくれました、アマンダは情報が得られると笑顔を見せます、でも僕はかなりまずいと思っています、これなら二人に話すべきだったと後悔しているくらいです。
「なんだろう・・・ワタシすごくゾワゾワするんだけど、ふたりは平気なの?」
イーシャが震えて僕にしがみついてきました、きっと本能的に感じているんでしょう、僕は無理もないって村を見ます。
「見るからに普通の村だぞ・・・そうだよなアユム?」
アマンダが手綱を握って僕に聞いてきます、僕は頷きながらも周りを警戒するようにとアマンダにサインを送ります、遠くでは子供たちが楽しく遊んでいるのが見えます、ほんとに見ただけでは普通の村です。
「でも種族は違うし、あの王都よりもひどい」
イーシャが我慢が出来ないようで目を瞑って僕にしがみついて歩きだしました、僕は御者席に乗り全員で馬車で移動を始めます、これで逃げる時は芋虫君が突撃して逃げれます、あのモヤと同じなんだと僕は直感で感じていますよ。
「こんな状態なのにクエストが発生しない・・・もう手遅れなのかもしれない」
ふたりに聞こえないくらいで呟きクエスト欄を見ます、画面を見ながら進んでいると村長と書かれた人が馬車の方に歩いてきています、いよいよ逃げる準備だと思っていると、村長の顔を見て手遅れな理由が分かったんだ。
「角と牙がある・・・眷属でもなくてすでに魔族になってるんだ」
マップの名前をタップする以前の問題でした、見るからにバンパイアで服が村人なだけです、マントとかを着たらどう見てもバンパイアです。
「ようこそ旅人さん、ここへは何をしに来たのですかな?」
しらじらしくも村長バンパイアが笑顔で聞いてきました、でもアマンダは普通に細い目の行商人の話をしています、どうやらアマンダには普通の人に見えるようです、イーシャは今まで以上に嫌な感じを受け武器に手を掛けています、僕はそれを押さえアマンダに任せます。
「細い目の男ですか・・・そう言えば来たような、そうでないような?」
「似ている奴でもいいんだ、どの方角に行ったとか分からないか?なんでも良いんだ報酬も出す」
アマンダが諦めません、村長は知ってるような、そうでもないような答えをずっと言っています、僕はそれを聞いて時間を稼いでいるのが分かったんだ。
「思い出せませんな・・・時間が経てば思い出すかもしれません、今日の所は村で休んではどうですかな?」
村長は笑顔で提案して来たので僕たちは宿を取って休む事にしたんだ、村長たちが宿まで案内してくれて宿代も無料でした、僕たちは1つの部屋に集まり作戦会議です。
「って事で、ここの人達は既に魔族になってるんだ、遅くなってごめん」
今までのいきさつを話し二人に謝りました、今の状態はとても危険です、少し間違えばレベルの低いイーシャは命を落としていたかもしれません、僕とアマンダは余裕です。
「アユムはワタシを心配してくれたのね、嬉しいわ」
「アタシはちょっと複雑だな」
イーシャは僕に抱き着いてきたけど、アマンダは腕を組んで怒っています、頼りになると僕が思ってくれているけど、心配してくれないのかとかブツブツと言っています。
「それでどうするんだアユム、これは確実に罠だろう」
「それなんだけどさアマンダ、人種族の国が遠いとなると、ここを細い目の男が支配している可能性が高いと思うんだ、きっと王都の城にいる、村長は眷属ではなくバンパイアになってたから幹部かもしれない、それなら罠に嵌ったと見せかけて城に乗り込もうと思うんだ、しっかりと準備してね」
村長が自分たちで処理しようとした場合でも、本当の情報が得られるかもしれません、優位だと疑わない状態なら真実を話しやすいですからね、2人もそれに賛成してくれました、僕は早速準備を始めます、アマンダの時の様にいつイーシャに渡すか迷っていた勇者装備を出します。
「これって・・・アユム、何だかすごい力を感じるんだけど」
「それは天女の弓って言うんだ、弓使い最強の武器で魔法の矢が無限に出せる、弓自体も腕輪になって収納できるんだよ、それを使えるのはこの青勇者の装備を着た者だけ、アマンダの装備と同じく色々な付与がされてる」
着替える様に言いながら僕は説明します、もちろん後ろを向いてです、青い羽衣がひらひらと強調されている勇者装備です、それがとてもイーシャに似合うだろうと褒めます、見えてないけどきっとイーシャは喜んでいるよね。
「さて、これで何が来ても怖いものなしだ、毒を盛られた晩餐に向かうよ」
「「お、おお~?」」
ふたりが変な返事をしていました、でもそうなる可能性は高いと思います、映画でもありますよね、バンパイアはうら若き女性の血を好みます、それに僕が入らないことを願うけど、きっとダメなんだろうね。
「ふっふはははー!まんまと引っ掛かりおってからに小娘ども」
そしてそれは現実になりました、僕たちは村長に誘われた晩餐で毒を盛られたんです、苦しみ倒れて動けないふりをして相手の出方を見ます、村長は高笑いをしてうるさいです。
0
あなたにおすすめの小説
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
超能力があれば転生特典なしでも強キャラだった件~帰還し命を救うため、モンスターを倒しまくるぞ~
うみ
ファンタジー
生まれながらにして「転移」「念動力」「自己修復」の異能を持っていた池添は、能力を隠し平凡な人生を歩んでいた。
卒業式の帰り道で命の危機に遭遇した彼は友人を見捨てて異世界に転移してしまう。
自分だけ逃げてしまったことに後悔する池添であったが、迫るモンスターを転移、心臓の血管を断ち切る必殺の一撃で打ち払う。そこで、不思議な声が彼の頭に響く。
なんと、自分の能力で逃げ出したわけじゃなく、この声の主が自分を転移させた原因だと言うのだ。
「あの時、あの場所にいけぞえさーんを帰すことができまーす」
「……ギブアンドテイクといったな。すみよん。お前の求めるものは何だ?」
「すみよんの元まで来てくださーい。そして、破壊してください。暴走を。オネガイ……です」
そんなわけで、友人を救うチャンスを得た池添は今度こそ彼らを救うことを誓う。
そのために能力を鍛えることが必要だと痛感した池添は、能力を自重せず使い、全力全開で進むことを決めた。
異世界で出会った仲間と共にモンスター討伐に明け暮れる日々が始まる。
※ラストまで書けておりますので完結保証です!全47話予定。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる