ウォーキング・オブ・ザ・ヒーロー!ウォークゲーマーの僕は今日もゲーム(スキル)の為に異世界を歩く

まったりー

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勉学のファイブステップ

75歩目 学園都市マージョル

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「ようこそ魔法都市マージョルへ、どうぞお進みください」


僕たちは海を渡り、魔法学園都市マージョルに着き驚いています。


「すごいわねここ・・・門は素通りだし、箒や絨毯で飛んでる人が沢山よ」


イーシャが空を見上て驚いています、建物には歩いて入れる扉があるのは普通ですけど、それ以外にも屋根の上に扉があったりします、絨毯が入れる大きな窓で両開きの入り口です、沢山の荷物を乗せた絨毯が入って行くのが何度も見えました。


「まさに魔法都市だな、ここで商売をするとなると、かなり不利なんじゃないのか?」


アマンダが御者席から歩いている僕を見てきました、その意見に反論は出来ませんでしたよ、何せ道には車が走っているんです、かなり古めかしいけど、魔力で動かす技術があると言うのはすごいですよ。


「まぁ・・・ない物もきっとあるでしょ、兎に角商業ギルドに行こうか」


僕たちは中央広場に向かいました、建物は全部魔法レンガで建てられています、それもかなり強度が高いみたいでキラキラしていますね。


「でも・・・これはほんとにすごいや」


目的の場所に着き馬車を止めて僕は呟きます、目の前にはビルの様な高い商業ギルドがあるんです、見上げる限り20階はありそうですよ。


「ほんとね、他にも高い建物が多いけど、ここは更に高いわ」

「それによ、扉にノブがねぇぞ?どうやって開けるんだよ」


5段の階段を3つ上がった先に大きなガラス扉があります、でもアマンダの言う通り、何処にもドアノブが無いんです、僕は自動ドアだと思って見ていますよ、まさか異世界でそんな技術があるとは思いませんでした。


「まぁ無いならきっと勝手に開くんだよ、手前で止まってみよう」


僕が先頭で歩くと二人は後に続きます、そして扉が勝手に開いて二人が驚き声を出しました、誰もいないので良かったです、そして更に中に入り驚きですよ。


「扉が沢山あるわよアユム、これってどういう事?」


入り口近くは、狭いロビーになっていました、そこも他の商業ギルドと違います、その先には細い通路が続き分岐が幾つも見えます、その途中には扉が沢山見えるんです、僕たちが通路を見ていると、車の様に4個の車輪で走ってくる小さなロボットが奥からこちらに向かって来ます、容姿は前に戦ったモンスターのミニゴーレムです、1mくらいのサイコロみたいなやつなんですよ。


「あれって、ミニゴーレムよね?」

「きっと魔道具として作ったんだよ、車輪があるでしょイーシャ」


イーシャがゴーレムをよく見て頷いています、土魔法でゴーレムを作り魔道具化する凄い技術です、ほんとここはすごいですね。


「商業ギルドにどのようなご用件でしょうカ?」

「おお!?喋ったぞ!」


ゴーレム魔道具が喋るとアマンダが驚きました、僕が行商に来たと答えると、ロボットが180度回転し通路を進んで行きます、僕たちを案内してくれる様なので後に続きます。


「すごすぎねここ」

「そうだねイーシャ・・・でも、僕はちょっと嫌な予感がするよ」


僕のマップには人の点が見えます、でもその点は上の階に行かないとありません、つまりこの先には人は待っていないんですよ。


「こちらでお伺いします、商品をお出しくださイ」


何個かの扉を素通りして一つの個室に入ると、ロボットがテーブルの反対側に行き足が少し伸びました、そして目が4つになり商品を見る体勢になったんです。


「おいおい、こいつが商品を確かめるのか?」

「そうみたいだね、それじゃこれをお願い」


僕は嫌な感じがして、ちょっとテストをする事にしました、まずワインを年代別に5本並べてみます、ゴーレムから『ピピッ』っと音がして確認しているようでした、そして答えが返って来たんです。


「この2つのワインは古くて飲めませン、こちらもぎりぎりですのでお取り扱いできませン、こちらの1本だけは納品可能となります、よろしいですカ?」


ゴーレムの答えを聞きイーシャとアマンダが僕を見ました、僕はやっぱりって思っていますよ。


「ワインと言うのは年が経てばそれだけ美味しくなります、味の確認をしてください」


僕は説得の為に言いました、だけどゴーレムは「この2つのワインは古くて飲めませン、こちらもぎりぎりですのでお取り扱いできませン、こちらの1本だけは納品可能となります、よろしいですカ?」っと繰り返してきました。


「誰か味の分かる人を呼んでもらう事は出来ますか?って聞いてるんですけど」

「この2つのワインは古くて飲めませン、こちらもぎりぎりですのでお取り扱いできませン、こちらの1本だけは納品可能となります、よろしいですカ?」


質問を変えても同じ答えが返ってきます、僕たちは顔を見合ってしまいました。


「どうするよアユム」

「仕方ないから作ったばかりの年代の物だけ売ろう、それでお願いします」

「はい【ピピッ】それでは代金は500メローになりまス、個数はどれくらいでしょうカ?」


買取額を聞き、僕たちは顔を見合ってしまいました、さすがに安すぎです。


「ちょっと待ってください、さすがに安すぎですよ、僕たちは隣の国から来て運賃もあるんですよ」

「代金は500メローになりまス、個数はどれくらいでしょうカ?」


ゴーレムが再び繰り返します、アマンダがそれを聞いて遂に怒り出し、テーブルをたたき割りました。


「ふざけるなよ!」

「落ち着いてくださイ、怒っても代金は変わりませン、器物破損の代金は2000メローでス」


ゴーレムが口を開けて代金を要求してきます、それを見てアマンダが立ち上がり、僕を睨んできました。


「アユム!もうやめようぜ、このワインはドラルダで丹精込めて作ったもんだ、それをこんな安い値段で卸す必要はねぇよ」

「そうだね、僕もそう思うよ」


僕は2000メローをゴーレムの頭に乗せ部屋を出ました、ゴーレムは手を伸ばして口の中に銀貨を入れていましたね、ギルドを出た僕はため息が漏れます。


「まったく!しんじられねぇなこのギルド、何なんだよ!」


アマンダがかなり怒っています、イーシャも同じですよ、僕はどうしてなのかと問題を考えています。


「きっとデータでしか見てないんだ、僕たちは新参者だから係りの者は対応しない、商品も古いか新しいかで見て味とかは後回しなんだ・・・これはまいったね」


新鮮な物が美味しいのは分かります、でも少し寝かせた方がおいしい物もあります、それを説明も出来ないんじゃ説得も出来ません、僕たちはガッカリです。

仕方なく学園に向かう事を提案します、手続きを済ませて問題は後で落ち着いた場所で全部解決します、目的の学園はこの都市の北側のほとんどを使っています、その更に奥が王城です、入り口は中央広場から真っすぐ進んだ先にありました。


「でっかい門だな」

「こんなにおっきい必要ないよね?」


10mくらいの門を見上げてふたりが疑問を僕にぶつけてきました、僕に言われてもっと心の中で突っ込みます、ふたりには城を含めた門だし、象徴的な物だから大きい方が良いんじゃないかと説明しました、二人は首を傾げ「門番もいないのに?」とか疑問が解決できないまま先に見えるガラスの扉まで進みます、そこでまた二人が止まって一言です。


「ここもこの扉なんだな、もう驚かねぇぞ」

「さっき体験したものね、行くわよアマンダ」


アマンダがイーシャの顔を見ながら自身ありげです、二人は頷き僕よりも先に扉まで進んで自動で開きました、今度は驚かなかったと二人がドヤ顔になっています、でも僕はその先の床が変なのに気付いていますよ。


「これは動く歩道だろうね、二人は平気かな?」


僕のそんな心配をよそに、二人は気にしないで進み、床が動いたので体勢を崩して転んでしまいました、二人が何事だって顔して床を見てます、それでも勝手に進んで行きます。


「な、何だよこれ!?」

「ゆゆ、床が動いてるわ!?」


ふたりが床を触って確かめているので、僕はちょっと速足で追いつきました、怪我をしてないか聞いて二人は平気みたいです、子供は足を痛めたりしますから気を付けないとですね。


「アユム、これが何だか知ってるのか」

「似てるのを知ってるんだよアマンダ、これは自動で動く床だね、ゆっくり乗れば平気だから次は気を付けてね」


ふたりの手を引っ張って立たせてあげました、ふたりはフラフラとして怖がっています、床を踏んで確かめたりしてますね。


「くそーもう驚かねぇって言った先でこれかよ、この国アタシ嫌いだ」

「ワタシも好きになれそうもないわ」


嫌そうな顔をして僕の手を放しません、きっと怖いんです、便利な物が増えると初めての人は慣れるのに大変です、覚えてしまえばすごく便利なんだよって話したんだ。


「便利でもアタシは自分の足で歩くぞ、アユムだってその方が好きなんだろ?」

「まあね、ここの教師の仕事が終わるまでの辛抱だよ、みんなで頑張っていこう」


無理やりやる気を出して貰い、僕たちは教師の集まる部屋、職員室に入ったんだ、動く歩道を降りる時は、僕がふたりの手を取って誘導したのは言うまでもないよね。
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