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幸せのフォースステップ
71歩目 アユムの怒り
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「ど、どうですかアユムさん」
僕たちがドラルダで生活をして1ヶ月が経ちました、量産も研究も順調で教師ももちろん上手くいっています、今日はお休みでターナちゃんのアクセサリーを見ています、僕はすごく上手く出来ているってターナちゃんを褒めます、最初はどうしても自信が持てなかったようだったけど、最近はやっと笑顔になってくれるようになりました。
「紐の方も上手くなったねターナちゃん」
「はい、アユムさんがくれた本はとても分かりやすいです、今度はリスを彫ろうかと思ってるんですよ」
「外に出れるようになったからだね、良い事だよターナちゃん」
窓から見ていた鳥がターナちゃんの彫物でした、でも最近はリスやイヌと増やしているんです、鳥よりは出来は悪いですけど、それでもすごく良く出来ています。
「はい・・・それで付与はどれにすればいいかなって・・・アユムさんは何が良いと思いますか?」
モジモジと下を向いて聞かれました、きっと自信が持てないんだ、新たな挑戦をする時は誰もがそうなります、僕が背中を押してあげないとですよ。
「そうだねぇ~候補は何かないのかなターナちゃん」
僕が全て言っても良いんだけど、それではターナちゃんの成長にはなりません、魔道具を頑張って改良しているナナガイさんたちと同じです、少しずつ進む道を示してあげるべきなんです。
「わ、私は鳥をスピード系でまとめているので、出来れば攻撃力を付与したいです、リスは防御を上げたいなって」
「うん、それでいいんじゃないかな、3種類でそれぞれ違う付与なら分かりやすいしね」
既に方向が決まっていたようです、僕が賛成したら嬉しそうな顔をしてニコニコしています、早速付与の紐を組んでいると、アマンダとイーシャがある人を連れて部屋に入ってきました、僕はその人の名前を呼び首を傾げます。
「アルセル伯爵様、そんなに慌ててどうしたんですか?」
ターナちゃんは『誰ですか?』って顔をしています、紹介をしたいですけどアルセル伯爵様はそれどころではないようです、息を整えて直ぐ涙がこぼれました、僕はそれを見て重大な何かが起きたんだと悟りましたよ。
「大変なのアユムさん・・・シャミルが・・・シャミルが誘拐されたの!」
アルセル伯爵様のその言葉を聞き、僕は直ぐにマップを確認しました、シャミルちゃんの青点は出ました、それはドラルダの外です。
「安心してくださいアルセル伯爵様、シャミルちゃんの居場所は探知魔法で分かりました」
「ほ、ほんとアユムさん!?」
「はい、王都の外にいるみたいです・・・でも、どうやら誘拐犯たちに囲まれています」
アルセル伯爵様に告げ、騎士たちを呼ぶように言って僕たちは現場に向かいます、近づくにつれ僕はイライラが増していきました。
「アユムが珍しく怒ってるわアマンダ、あんなに怖いアユム始めて見るわよ」
僕の後ろを走っているイーシャがアマンダに聞いているのが聞こえました、アマンダは一度だけ見た事があるって言ってます。
「いつ見たの?教えてよアマンダ」
「あれはたしか、ワームが地中に住んでいる土地に村を作ってる鳥種の所に立ち寄った時だ、その時人種族の盗賊が襲ってきてな」
走りながら後ろで細かく話しています、暴力で命を奪おうとしていた人種族に怒っていたと知り、イーシャが納得していますね。
「だから嫌なのよね人種族って、ふたりと一緒にいると忘れるけど、普通はそうなのよ、いやになるわ!」
僕も同意見だよって心の中で賛成します、そして近くまで来て岩山から下の洞窟を見ています、マップで名前が分かり僕は更に怒りが増しました。
「貴族の奴がいる、きっとアルセル伯爵様を良く思ってないんだ」
「そうだろうな、アユムが協力してどんどん勢力を伸ばしてるからな」
アマンダが補足を言って怒っているよ、自分の力で勝たないと意味ないのに、子供を誘拐してくるなんて卑怯だよ、それにアルセル伯爵様は今の国王様と仲が良いんだ、そんな人に手を出したらどうなるか普通なら分かるよ、僕も一度謁見したけど、応接室で対応してもらったけど、とても良いドワーフさんだった、普通国王様がそんな対応するなんてあり得ないんだよ。
「それで、あの人達どうするのよアユム?怒りのままにやっちゃうのかしら?」
僕が怒っているからですかね、イーシャがやり過ぎな事を提案してきます、短剣を出しキラッて輝かせましたよ、僕もそれでいいかもと思います、あの目はいくら言ってもダメな人達ですからね。
「アルセル伯爵様に任せるよ、僕たちは逃げられないようにしよう、みんなを使ってね」
モンスターたちを出し、まずは小さなメンバーで洞窟の中にいるシャミルちゃんの安全確保です、そして合図が来たら全力で撃ち倒します。
「スラッチたちからの合図だ、行くよみんな」
「おうよ!久しぶりに暴れるぜ」
「最近ご無沙汰だったものね、でもそれが無くても最近抱き枕はしてもらってるし、今日は何がご褒美になるのかしら?」
モンスターたちとアマンダが突撃していくと、最後に残っていたイーシャがそんな事を僕に呟いてきました、僕は急に汗が出て来て困っています。
「うふふ、困っちゃって可愛いわねアユム、じゃあ楽しみにしてるわよ」
「ちょっ!?」
僕は止めようとしたんですけど、イーシャは崖から飛び降りて行きました、下では既に誘拐犯たちの悲鳴が聞こえます。
「勘弁してよイーシャ、抱き枕以上って何があるのさ」
後で何を言われるのか、想像しただけでも困ります、それもこれも誘拐犯たちのせいだと僕も崖を降りて行きました、そして既に捕まっている貴族の人に近づきます。
「な、何者だきさまら!ワタシを誰だと思っている、ワタシは」
「知ってますよサルトバルト伯爵でしょ、そんな事は関係ないんですよ、アルセル伯爵様が来れば分かります」
サルトバルト伯爵を睨んで僕は言いました、アルセル伯爵様の名前を出したら謝ってきたけど、悪いとは思っていない目をしています、僕はそれが大嫌いです。
「あなたは人種族でしょ、これだからみんなが嫌うんです、もう少し代表だって自覚してください」
「な、何を偉そうに、ワタシがどれだけ大変だと思っているかきさま!」
僕はその言葉にイラっとして、伯爵の顔目掛けて拳を繰り出します、もちろん当てません、後ろにある岩を殴って砕いたんです、伯爵はそれを見て青ざめましたよ。
「大変じゃない代表がいてたまるか!お前はなんで上に立とうとしてるんだよ、甘い汁をすするつもりなら迷惑だ!」
腰を抜かしてる伯爵に言い捨てました、僕の心からの言葉です、最初は違ったかもしれません、でも上に立つと言う事はそれだけの覚悟がいると僕は思うんです。
「ドラルダの国王様がさばいてくれるだろうけど、これで終わるか心配だね」
アルセル伯爵様が兵士を連れてきて、サルトバルト伯爵たちを運んで行きます、アルセル伯爵様はシャミルちゃんを抱きしめていますよ、僕はそれを見て絶対に守ると誓いました。
「国王様も手を考えるだろうけど、僕は国王様が取れない手を取っておくよ」
「ねぇアユム・・・あまり怖い顔しないで、あなたは笑顔の方が似合うわよ」
モンスターたちを潜ませようと思っていたら、イーシャが後ろから抱き着いてきます、アマンダもその上から抱きしめてくれました、僕はそんなに怖い顔をしていたかな?って少し反省です、最近あの夢を見る様になってあまり寝ていません、これは二人と仲良くなったからでもあって少し困っています。
「ありがとうアユムさん、それに皆さんも」
アルセル伯爵様がシャミルちゃんと一緒にお礼を言ってくれました、僕たちは当たり前の事をしたと返し、今後は注意するように言いました、お礼をしたいと言われたけど、夕飯をご馳走してもらうくらいで済ませました、そしてその日の夜、僕はベッドの前で話を逸らす為に一生懸命頭を使います。
「サルトバルト伯爵は貴族としての地位をはく奪、あそこにいた騎士や兵士共々奴隷にするみたいだよ」
アルセル伯爵様が夕食時に言っていた事を僕は繰り返し話しています、他にもいるだろうと調査もしてくれると言う話なんですよ、でもふたりはそれを笑顔で聞いていてベッドをポンポン叩いています、僕は頭を左右に振って拒否です。
「僕たちも何かした方が良いと思うんだ、何かないかな?」
「良いからよアユム、こっち来て話せよ」
「そうよアユム、3人で並んで話しましょ」
ふたりの間に入れと譲りません、抱き枕とあまり変わりませんけども、今日の僕は寝ないといけません、このまま寝たら僕はきっとうなされてしまうんです、二人にそれが見つかってしまうのはとてもまずいんです、きっとすごく心配させちゃう、何とかそれを回避しないとダメなんだよ。
「ねぇふたりとも、他の何かで済ませられないかな?僕が出来る事なら何でもするよ」
「「え!?」」
ふたりの顔色が変わり手も止まります、僕は『やっちゃった?』っと、言い直そうとしたんだけど、既にふたりは何をしてもらうか話し合ってしまい聞いてくれません、僕は出来るだけ難しくない事にしてもらう様に言い直しましたよ。
「そんなに難しい事じゃないから安心しろ、なぁイーシャ」
「そうね、直ぐに終わるわ」
そう言って、ふたりは何故かじゃんけんを始めました、僕は何でじゃんけんしてるの?っと待っているとアマンダが勝って僕の前に立ちます。
「アマンダ?」
「こ、これはアタシたちのご褒美だからな、それ以上でも以下でもない、良いなアユム」
アマンダがどうしてか念を押してきます、僕が頷き了承すると、顔を急に接近させて僕の口にキスをしてきました、僕は突然で驚き過ぎて動くに動けませんでしたよ。
「どど、どうして!?」
「ああ、アタシは仲間としてアユムが好きだ、だがこれはご褒美だから貰ったんだ、勘違いするなよ!」
顔を真っ赤にしてアマンダが離れて行きます、僕はご褒美になるのかと疑問です、そして考えがまとまらない内にイーシャの番が来たようです、僕の前に立ったと思ったらすぐにキスをしてきました、しかもアマンダよりもかなり長くてディープです。
「んふふ~ご褒美ありがと」
「いいい、イーシャッ!?お前ズルいぞ!」
僕が放心していると、アマンダがイーシャに文句を言っています、イーシャはすごく嬉しそうにして顔を逸らしていますよ。
「普通のはあなたに譲ったじゃない、だからワタシは他のを貰ったのよ、それにワタシは仲間としてだけじゃなく、それ以上にアユムを好きよ、結婚してもいいくらいだわ」
「なっ!?アタシだって」
アマンダが目に涙を浮かべて僕の前に立とうとしています、僕はそれを察知して窓から逃げました、さすがにこれ以上はダメですよね。
「これは・・・この山の中で寝るしかないかな」
ドラルダの遠くに見える山まで来て僕は呟いています、ここまで無我夢中で逃げてきました、ふたりとはしっかりと線引きはしないとダメなんです。
「うぅ~・・・うぅぅ~ん」
木の上で僕は眠りにつきました、そして予想通りに悪夢にうなされています。
「止めてよお父さん!僕から友達を取らないで!」
「うるさいぞ歩!お前は俺の物だ、誰にも渡さん」
そう言って夢の中の父さんは子猫を捨てに行きます、僕は追いかけて泣きます、その後も夢は続き、小学校で友達が出来たと喜ぶ僕に父さんは暴力を振るいます、そして学校を止めさせられるんです、その後はすごく遠くに引っ越して二度と会えません、それが永遠と続く夢です、そんな悪夢を見て飛び起きると汗びっしょりでした。
「はぁっはぁっはぁっ・・・まただ、髪を切ってないのにどうして・・・もう分かってるんだよね、ふたりと近づき過ぎてるからだ、僕が好きになると奪われる、もう父さんもいないから奪われる事はないのにさ・・・分かってるんだけどね」
自分に言い聞かせ僕は山を走ります、僕のトラウマは親しい人が出来ると出てきます、だからそう言った人を作りませんでした、でもふたりの様に好きだと言ってくれる人が出来ました、僕だってふたりが好きです、分かってはいるんです、でも心と体が拒絶します。
「「やり過ぎましたごめんなさい!」」
翌朝、僕がドラルダに帰ると、目の下にクマを作ったアマンダとイーシャが頭を下げて謝ってきました、僕もクマを作っていますけどふたりは気付いていないみたいです。
「二人とは、もう長い付き合いだからちょっとふざけちゃったんだよね、でもさ限度があるよね」
「「はい!すみません」」
「うん・・・だからね、これからは気を付けようね」
「「ごめんなさい!」」
ふたりが謝ってくれました、でも本当は僕の方こそ謝りたいです、僕のトラウマが無ければふたりがこんな思いをしなくていいんです、僕がいけないんですよ。
僕たちがドラルダで生活をして1ヶ月が経ちました、量産も研究も順調で教師ももちろん上手くいっています、今日はお休みでターナちゃんのアクセサリーを見ています、僕はすごく上手く出来ているってターナちゃんを褒めます、最初はどうしても自信が持てなかったようだったけど、最近はやっと笑顔になってくれるようになりました。
「紐の方も上手くなったねターナちゃん」
「はい、アユムさんがくれた本はとても分かりやすいです、今度はリスを彫ろうかと思ってるんですよ」
「外に出れるようになったからだね、良い事だよターナちゃん」
窓から見ていた鳥がターナちゃんの彫物でした、でも最近はリスやイヌと増やしているんです、鳥よりは出来は悪いですけど、それでもすごく良く出来ています。
「はい・・・それで付与はどれにすればいいかなって・・・アユムさんは何が良いと思いますか?」
モジモジと下を向いて聞かれました、きっと自信が持てないんだ、新たな挑戦をする時は誰もがそうなります、僕が背中を押してあげないとですよ。
「そうだねぇ~候補は何かないのかなターナちゃん」
僕が全て言っても良いんだけど、それではターナちゃんの成長にはなりません、魔道具を頑張って改良しているナナガイさんたちと同じです、少しずつ進む道を示してあげるべきなんです。
「わ、私は鳥をスピード系でまとめているので、出来れば攻撃力を付与したいです、リスは防御を上げたいなって」
「うん、それでいいんじゃないかな、3種類でそれぞれ違う付与なら分かりやすいしね」
既に方向が決まっていたようです、僕が賛成したら嬉しそうな顔をしてニコニコしています、早速付与の紐を組んでいると、アマンダとイーシャがある人を連れて部屋に入ってきました、僕はその人の名前を呼び首を傾げます。
「アルセル伯爵様、そんなに慌ててどうしたんですか?」
ターナちゃんは『誰ですか?』って顔をしています、紹介をしたいですけどアルセル伯爵様はそれどころではないようです、息を整えて直ぐ涙がこぼれました、僕はそれを見て重大な何かが起きたんだと悟りましたよ。
「大変なのアユムさん・・・シャミルが・・・シャミルが誘拐されたの!」
アルセル伯爵様のその言葉を聞き、僕は直ぐにマップを確認しました、シャミルちゃんの青点は出ました、それはドラルダの外です。
「安心してくださいアルセル伯爵様、シャミルちゃんの居場所は探知魔法で分かりました」
「ほ、ほんとアユムさん!?」
「はい、王都の外にいるみたいです・・・でも、どうやら誘拐犯たちに囲まれています」
アルセル伯爵様に告げ、騎士たちを呼ぶように言って僕たちは現場に向かいます、近づくにつれ僕はイライラが増していきました。
「アユムが珍しく怒ってるわアマンダ、あんなに怖いアユム始めて見るわよ」
僕の後ろを走っているイーシャがアマンダに聞いているのが聞こえました、アマンダは一度だけ見た事があるって言ってます。
「いつ見たの?教えてよアマンダ」
「あれはたしか、ワームが地中に住んでいる土地に村を作ってる鳥種の所に立ち寄った時だ、その時人種族の盗賊が襲ってきてな」
走りながら後ろで細かく話しています、暴力で命を奪おうとしていた人種族に怒っていたと知り、イーシャが納得していますね。
「だから嫌なのよね人種族って、ふたりと一緒にいると忘れるけど、普通はそうなのよ、いやになるわ!」
僕も同意見だよって心の中で賛成します、そして近くまで来て岩山から下の洞窟を見ています、マップで名前が分かり僕は更に怒りが増しました。
「貴族の奴がいる、きっとアルセル伯爵様を良く思ってないんだ」
「そうだろうな、アユムが協力してどんどん勢力を伸ばしてるからな」
アマンダが補足を言って怒っているよ、自分の力で勝たないと意味ないのに、子供を誘拐してくるなんて卑怯だよ、それにアルセル伯爵様は今の国王様と仲が良いんだ、そんな人に手を出したらどうなるか普通なら分かるよ、僕も一度謁見したけど、応接室で対応してもらったけど、とても良いドワーフさんだった、普通国王様がそんな対応するなんてあり得ないんだよ。
「それで、あの人達どうするのよアユム?怒りのままにやっちゃうのかしら?」
僕が怒っているからですかね、イーシャがやり過ぎな事を提案してきます、短剣を出しキラッて輝かせましたよ、僕もそれでいいかもと思います、あの目はいくら言ってもダメな人達ですからね。
「アルセル伯爵様に任せるよ、僕たちは逃げられないようにしよう、みんなを使ってね」
モンスターたちを出し、まずは小さなメンバーで洞窟の中にいるシャミルちゃんの安全確保です、そして合図が来たら全力で撃ち倒します。
「スラッチたちからの合図だ、行くよみんな」
「おうよ!久しぶりに暴れるぜ」
「最近ご無沙汰だったものね、でもそれが無くても最近抱き枕はしてもらってるし、今日は何がご褒美になるのかしら?」
モンスターたちとアマンダが突撃していくと、最後に残っていたイーシャがそんな事を僕に呟いてきました、僕は急に汗が出て来て困っています。
「うふふ、困っちゃって可愛いわねアユム、じゃあ楽しみにしてるわよ」
「ちょっ!?」
僕は止めようとしたんですけど、イーシャは崖から飛び降りて行きました、下では既に誘拐犯たちの悲鳴が聞こえます。
「勘弁してよイーシャ、抱き枕以上って何があるのさ」
後で何を言われるのか、想像しただけでも困ります、それもこれも誘拐犯たちのせいだと僕も崖を降りて行きました、そして既に捕まっている貴族の人に近づきます。
「な、何者だきさまら!ワタシを誰だと思っている、ワタシは」
「知ってますよサルトバルト伯爵でしょ、そんな事は関係ないんですよ、アルセル伯爵様が来れば分かります」
サルトバルト伯爵を睨んで僕は言いました、アルセル伯爵様の名前を出したら謝ってきたけど、悪いとは思っていない目をしています、僕はそれが大嫌いです。
「あなたは人種族でしょ、これだからみんなが嫌うんです、もう少し代表だって自覚してください」
「な、何を偉そうに、ワタシがどれだけ大変だと思っているかきさま!」
僕はその言葉にイラっとして、伯爵の顔目掛けて拳を繰り出します、もちろん当てません、後ろにある岩を殴って砕いたんです、伯爵はそれを見て青ざめましたよ。
「大変じゃない代表がいてたまるか!お前はなんで上に立とうとしてるんだよ、甘い汁をすするつもりなら迷惑だ!」
腰を抜かしてる伯爵に言い捨てました、僕の心からの言葉です、最初は違ったかもしれません、でも上に立つと言う事はそれだけの覚悟がいると僕は思うんです。
「ドラルダの国王様がさばいてくれるだろうけど、これで終わるか心配だね」
アルセル伯爵様が兵士を連れてきて、サルトバルト伯爵たちを運んで行きます、アルセル伯爵様はシャミルちゃんを抱きしめていますよ、僕はそれを見て絶対に守ると誓いました。
「国王様も手を考えるだろうけど、僕は国王様が取れない手を取っておくよ」
「ねぇアユム・・・あまり怖い顔しないで、あなたは笑顔の方が似合うわよ」
モンスターたちを潜ませようと思っていたら、イーシャが後ろから抱き着いてきます、アマンダもその上から抱きしめてくれました、僕はそんなに怖い顔をしていたかな?って少し反省です、最近あの夢を見る様になってあまり寝ていません、これは二人と仲良くなったからでもあって少し困っています。
「ありがとうアユムさん、それに皆さんも」
アルセル伯爵様がシャミルちゃんと一緒にお礼を言ってくれました、僕たちは当たり前の事をしたと返し、今後は注意するように言いました、お礼をしたいと言われたけど、夕飯をご馳走してもらうくらいで済ませました、そしてその日の夜、僕はベッドの前で話を逸らす為に一生懸命頭を使います。
「サルトバルト伯爵は貴族としての地位をはく奪、あそこにいた騎士や兵士共々奴隷にするみたいだよ」
アルセル伯爵様が夕食時に言っていた事を僕は繰り返し話しています、他にもいるだろうと調査もしてくれると言う話なんですよ、でもふたりはそれを笑顔で聞いていてベッドをポンポン叩いています、僕は頭を左右に振って拒否です。
「僕たちも何かした方が良いと思うんだ、何かないかな?」
「良いからよアユム、こっち来て話せよ」
「そうよアユム、3人で並んで話しましょ」
ふたりの間に入れと譲りません、抱き枕とあまり変わりませんけども、今日の僕は寝ないといけません、このまま寝たら僕はきっとうなされてしまうんです、二人にそれが見つかってしまうのはとてもまずいんです、きっとすごく心配させちゃう、何とかそれを回避しないとダメなんだよ。
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「そうね、直ぐに終わるわ」
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「アマンダ?」
「こ、これはアタシたちのご褒美だからな、それ以上でも以下でもない、良いなアユム」
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「どど、どうして!?」
「ああ、アタシは仲間としてアユムが好きだ、だがこれはご褒美だから貰ったんだ、勘違いするなよ!」
顔を真っ赤にしてアマンダが離れて行きます、僕はご褒美になるのかと疑問です、そして考えがまとまらない内にイーシャの番が来たようです、僕の前に立ったと思ったらすぐにキスをしてきました、しかもアマンダよりもかなり長くてディープです。
「んふふ~ご褒美ありがと」
「いいい、イーシャッ!?お前ズルいぞ!」
僕が放心していると、アマンダがイーシャに文句を言っています、イーシャはすごく嬉しそうにして顔を逸らしていますよ。
「普通のはあなたに譲ったじゃない、だからワタシは他のを貰ったのよ、それにワタシは仲間としてだけじゃなく、それ以上にアユムを好きよ、結婚してもいいくらいだわ」
「なっ!?アタシだって」
アマンダが目に涙を浮かべて僕の前に立とうとしています、僕はそれを察知して窓から逃げました、さすがにこれ以上はダメですよね。
「これは・・・この山の中で寝るしかないかな」
ドラルダの遠くに見える山まで来て僕は呟いています、ここまで無我夢中で逃げてきました、ふたりとはしっかりと線引きはしないとダメなんです。
「うぅ~・・・うぅぅ~ん」
木の上で僕は眠りにつきました、そして予想通りに悪夢にうなされています。
「止めてよお父さん!僕から友達を取らないで!」
「うるさいぞ歩!お前は俺の物だ、誰にも渡さん」
そう言って夢の中の父さんは子猫を捨てに行きます、僕は追いかけて泣きます、その後も夢は続き、小学校で友達が出来たと喜ぶ僕に父さんは暴力を振るいます、そして学校を止めさせられるんです、その後はすごく遠くに引っ越して二度と会えません、それが永遠と続く夢です、そんな悪夢を見て飛び起きると汗びっしょりでした。
「はぁっはぁっはぁっ・・・まただ、髪を切ってないのにどうして・・・もう分かってるんだよね、ふたりと近づき過ぎてるからだ、僕が好きになると奪われる、もう父さんもいないから奪われる事はないのにさ・・・分かってるんだけどね」
自分に言い聞かせ僕は山を走ります、僕のトラウマは親しい人が出来ると出てきます、だからそう言った人を作りませんでした、でもふたりの様に好きだと言ってくれる人が出来ました、僕だってふたりが好きです、分かってはいるんです、でも心と体が拒絶します。
「「やり過ぎましたごめんなさい!」」
翌朝、僕がドラルダに帰ると、目の下にクマを作ったアマンダとイーシャが頭を下げて謝ってきました、僕もクマを作っていますけどふたりは気付いていないみたいです。
「二人とは、もう長い付き合いだからちょっとふざけちゃったんだよね、でもさ限度があるよね」
「「はい!すみません」」
「うん・・・だからね、これからは気を付けようね」
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