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2章 歩み

35話 帰って来る場所

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「や、やっとだな」


100階のボス、グレイトワームを倒してワタシたちはやっと目標を達成したわ。
アレストさんとキョウコさんの結婚式から6ヵ月、ミイシャルさんの正式婚約発表から4ヵ月も掛かってしまったわ。


「もう、あの夜の感動はどこかに行ってしまったわね」


みんなで大人になった6ヶ月前のあの日、とても楽しい夜だったけど、それ以来体験してなくてちょっと寂しかったの。
でも、キョウコさんとの約束で、自分たちの好きな人が出来るまでは、アレストさんに甘えずお預けとしたんだけど、そんな人は未だに出来ずがっかりしています。


「やっぱ、アレストだよなぁ~」
「ミネルビル・・・そうよね、あの人よね」
「ああ、アレストしかいねぇよ」


優しくて強くて頼りになる人、そんな人はアレストさん以外いなくて、他の男性なんて考えられませんでした。
この村にも男性は増えてきたけど、あの人よりも魅力的な男性はいません。


「でも、探さないとダメだから、旅に出たらそれも目標にしましょう」
「そうしたいんだけどよアルシュナ、実はアラートから聞いたんだけど」
「な、何よミネルビル、外にもそんな男がいないとか言いたいのかしら?」
「それもあるけどな・・・実は、初めてって痛かったはずらしいぞ」


何を言ってるの?っと、レニーたちまで不思議そうにしていたわ。
あの時、ワタシたち5人は痛さとは無縁の体験をしましたので、みんなしてどうして?っと思って聞き返したわ。


「オレにも分からねぇが、アラートが言うには普通はそうなんだってよ」
「じゃあ、アレストさんが何かしてくれたのかしら?」
「そうかもな・・・だからな、旅に出る前にもう一度さ」
「「「賛成~」」」


レニーたちが乗り気になってしまい、お願いするだけはしてみる事にしました。
その後旅に出るつもりでいるから、アレストさんならきっと最後の思い出として、ワタシたちのお願いを断らず受け入れてくれると疑わなかったわ。


「でも、断られたらそれまでだからね」
「うん」
「それは承知」
「でも、きっと大丈夫なの」


みんなワタシと同じ気持ちで、だからこそ他の人を選べないでいます。
信頼できる相手だから好きになれたし、アレストさんが裏切るなんて考えもしません。


「でもさ、初めては特別とかジェミナが言ってたけど、オレたちはその対象も特別だよな」
「ミネルビル、あなたみんなに色々聞き過ぎじゃない?」
「だってよ、あの二人もアレストを狙ってるぜ」


それだけ魅力的なんだろうけど、そのお話をした時もワタシたちの事を話しているらしく、どうして痛くなかったのかと言う話題になったそうです。
そこで、二人の出した答えは、それよりも気持ち良さが優っていたからで、そんな事があるのかと興味を持ったそうよ。


「って事は、今ワタシたちがお願いしたら」
「ああ、きっと二人も便乗してくるぜ」
「それって問題じゃない?」
「きっと平気なの~」


レニーは余裕だけどその理由が問題で、なんとギルド職員の新人二人も狙っているらしく、どれだけ増えるのよっと思ったわ。
ワタシたちが旅に出ている間も増えるだろうと、ミネルビルがヘラヘラ笑っていたけど、それはかなり問題と思ったわ。


「大丈夫さ、キョウコ姉さんが止めるだろう」
「でも、ワタシたちの時は止めなかったじゃない」
「それはそうだ、オレたちは裏切らないからな」


そんな基準があるのかと思ったけど、それは身体を預ける者として大切と考え直したの。
だからこそ、職員二人はダメだろうとミネルビルが言って来て、ジェミナとアラートは合格と決まっていたわ。


「じゃあ、お願いに行きましょ」
「そうだな、ついでにジェミナとアラートも誘おうぜ」
「ん」
「楽しみ」
「行くの~」


レニーたちは、遊び程度にしか思ってないけど、それはいけない気がしてなりません。
8歳で婚約してもおかしくない貴族とは違い、レニーたちは普通の子供なんですよ。


「良いのかなぁ~」
「仲間外れはイヤなの」
「でもねレニー」


もう大人になったのだから今更ですが、アレストさんもレニーたちが入っていたのは抵抗を持っていました。
でも、旅立つ前と言うのはとても重かったようで、アレストさんは了承してくれたんです。


「今回も、きっと了承して旅立ちをお祝いしてくれるでしょうけど、レニーたちにはやっぱり早いわよ」
「気持ちよくて楽しいから良いの」
「良くないから言ってるのよレニー」


もう体験してしまったので、ダメと言っても反対され、ジェミナとアラートを誘う時もレニーたちに視線が向いたわ。
それだけありえない年齢で、本当に良いのかと耳打ちされたわ。


「ワタシたちが旅立つのは本当だし、仲間外れは可哀そうでしょ?」
「そうだけど・・・レニーちゃんって10歳になったばかりよね?」
「はい、まだあれも来ていません」
「そ、そうなんですねぇ~」


ジェミナがかなり引いていたけど、仲間外れはいけないとレニーたちに言われ、まぁ良いかと簡単に折れていました。
そして、アラートが何やらブツブツ言ってて、耳を傾けたらアラートはまだした事がなかったみたいで、子供に先を越されたとか言っていました。


「良い人がいなかったんだから仕方ないわよアラート」
「そ、そうだけど・・・痛いのは嫌だろう」
「やっぱり痛いの?」
「普通はな」


ジェミナもそうだったと、視線がジェミナに向いてその時のお話を聞いたけど、次に日も痛くて歩けなかったそうです。
ワタシたちはそんな事は無く、寝不足なだけだったので、本当なのかが分かりませんでした。


「きっと、アレストさんが何かしてくれたんですよ」
「そうだと良いんだが、怖いわね」
「怖いなら、アラートは止めとく?」
「更に遅れを取るわけにはいかねぇよ」


女は度胸とか言って顔を叩いて気合いを入れてて、そんなになるまで?っと首を傾げてしまいました。
そしてギルドの前に来て、ちょっと緊張して扉を開けないでいたら、今度はジェミナが不思議な事を言ってきたの。


「「「「「回数?」」」」」
「ええ、男性は限界があります、ポチの時は2回でしたから、この人数は無理なのでは?」
「そう言えばそうだったな」


アラートが止めようとか言ってきたけど、ワタシたちの時はそんな事は無かったから不思議でなりません。
レニーたちはもう止まりませんし、止めるなら二人だけと注意したわ。


「で、でも相手にしてもらえないかもなんですよ」
「ワタシたちの時は、キョウコさんも入れて何度も相手してもらいましたから、二人増えても変わりませんよ」
「「うそ!」」
「回数は数えてませんけど、疲れて寝ちゃうまでずっとでした」


だから平気と扉を開けたら、そこには5つの装備をテーブルに並べているアレストさんとキョウコさんが立っていました。
誰のだろうと視線が装備に集まっていたら、丁度良いとかアレストさんが笑顔で装備の1つをワタシに向けてきたんです。


「アレストさん?」
「やっと出来上がったんだよアルシュナ、みんなのオリハルコン装備だよ」
「「「「「オリハルコン!!」」」」」


旅立つ前に間に合ったとキョウコさんも喜んでいて、早速着てみようと話が進み、ワタシたちは装備を付けたんです。
金属鎧なのにとても軽く、それでいて魔力の流れがとても速かったです。


「すげぇ、こんなに違うのかよ」
「これで旅に出れるねミネルビル」
「アレスト・・・良いのかよこんなすげぇ装備」
「うん、僕とキョウコからの餞別だよ」


旅立ちをお祝いしてくれて、ワタシは言い出せなかったんだけど、レニーたちは逆に嬉しくてお願いしたのよ。
アレストさんはやっぱり抵抗があって止めたけど、キョウコさんが次に会えるか分からないのだからと、アレストさんの腕を引っ張り2階に上がっていきました。
そして、楽しい夜を過ごした3日後、ワタシたちの旅が始まったんです。
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