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最終章 終焉

356話 優勝者との手合わせ

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クロイツ王
「よくやったグレイブ隊長」


俺たちは今優勝したグレイブの勝利インタビューを聞いている。

なんと国王様が直々にしているので周りが静まり返っているよ。


グレイブ
「有難き幸せにございます陛下」

クロイツ
「うむ、それでそなたには褒美を考えているのだが何か欲しい物はないかな?」


何故かこの場で王様がグレイブに褒美の話をしている、普通は表彰式の後だとは思うんだけど。


ケイイチ
「なあローナ、あれって普通なの?」

ローディアナ
「いえ、初めての事です・・・これはお父様何かしでかしますわね」


そうなのか!?俺たちがそんな話をしているとグレイブが言ってきた。


グレイブ
「では我が師であるケイイチ殿とこの場で手合わせをしたく思います」

クロイツ
「そうか!?ウムウムよろしい」


何故か直ぐに王様が了承しているよ、これなのか!?これを狙ったのか。


ローディアナ
「なるほど、お父様はこれを使って私たちの味方を増やそうとしているのね」

ケイイチ
「ああ、きっとそうだね、これは感謝しないといけないかな?」

ローディアナ
「そうね、前の支援でかなり有利にはなりましたけど、戦闘となると違ってきます、これでそっちの派閥も取り込めるわ」


ローナと同じ意見だ、もしかしたら他国からの招待を受けた時から考えていたのかもしれないと俺は思った。

お礼を絶対言わないといけないね、そして俺は呼ばれた。



ケイイチ
「国王様、それにグレイブありがとう」


俺はまず2人にお礼を言った、二人ならそれがなんのお礼かはわかるだろう、何せずっとこちらを見てニヤニヤしていた。


クロイツ
「なんの事かな?儂は優勝者に褒美を与えただけだ」

グレイブ
「俺も師匠と本気で戦いたかっただけですよ」


すごい笑顔で二人が言ってきた、グレイブは戦いたいのもあるのだろうが解っているようだったね。


クロイツ
「では始めてくれ二人とも、儂は席に戻る」


国王様が席の方に歩いて行ったね。


ケイイチ
「グレイブこれを飲んでよ」

グレイブ
「これは・・・ポーションですか?」


グレイブは相当に疲労してるから特級を渡したがどうやら見たことがないようだね。


ケイイチ
「そうだよ、疲れてるだろ?どうせなら全力でやろうよ」

グレイブ
「あ、ありがとうございます師匠」


グレイブがポーションを飲んで驚いていた、がすぐに国王様が開始の合図を出したので俺たちは剣を構えた。



グレイブ
「ああこんな日が来るとは思いませんでした、とても嬉しいですよ」

ケイイチ
「じゃあ行くよグレイブ」


俺たちは直ぐに距離を詰め切り合いに入った。


ケイイチ
「うん、さすがグレイブだね」

グレイブ
「くっ師匠こそ、これほどの連撃を受けて汗一つかいてはいないではないですか」


まあ汗は俺でもかくよ、でもサイガと比べるとまだまだだからね。


ケイイチ
「じゃあこのまま接近戦の戦技を行くよ」

グレイブ
「なんの!『剛修甲冑』いつでもいいですよ師匠」


グレイブのスピードが少し遅くなりながらも攻撃は止んでいない、だが俺はかまわず戦技を繰り出した。


ケイイチ
『連撃斬』

グレイブ
「ぐっおおおぉぉー!」


グレイブがまともに食らって後ろに下がって行った、壁まではいかなかったね。


グレイブ
「はぁっはぁっはぁ」

ケイイチ
「よく耐えたねグレイブ」


息が荒いがダメージはそれほどでもないはずだ、サイガとの手合わせをかなりやったから手加減は得意になったよ。


グレイブ
「行きますぞ『剛修刃』」


俺に近づかれないようにグレイブが遠距離戦技を使ってきた。


ケイイチ
「おっと」

グレイブ
「くっ今のタイミングでも当たらんか」


そりゃー戦技だけじゃね、その後普通は魔法を撃ってくるんだけど・・・グレイブは魔法を使わないね。


ケイイチ
「そう言えばグレイブは魔法を使わないね、どうしてだい?」


俺がそう言ったらちょっと顔を歪めて言ってきた。


グレイブ
「得意ではないんですよ、それに詠唱をしていると戦えませんからな」


そうか、魔力操作を苦手としてたね、でも今なら出来るんじゃないかな?


ケイイチ
「じゃあグレイブの優勝祝いにこれを贈るよ」


俺はテルムの父親がやったように詠唱をしながらグレイブに切りかかった。


グレイブ
「な!?なぜ詠唱をしながら戦えるのですか」


グレイブが剣で受けながらも聞いてきたが俺は今話せない。

そして詠唱が終わり少し距離を取った。


ケイイチ
「グレイブ耐えろよ!『アイシクルダンパー』」

グレイブ
「ぐっぐおおぉー!」


氷の刃が無数にグレイブを襲っている、まあ威力は抑えたから相当数当たらなければ耐えれるはずだ。


グレイブ
「ぐっ」

ケイイチ
「よし!よく耐えたねグレイブ」


かろうじてグレイブは立っていた、もう戦える状態ではないけどね。


グレイブ
「さ、さすがケイイチ殿です、まさか魔法と剣を同時に使って来るとは思いませんでした」

ケイイチ
「俺もこの前初めて見たんだ、これが出来ればグレイブの戦いもまた幅が広がるよ」


そう笑顔で言ったらグレイブがすごい良い笑顔をした後またさっきの暗い顔をしだした。


グレイブ
「しかし俺は魔法が」

ケイイチ
「グレイブ、魔力操作が出来るんだ出来ないわけないだろ、今の君は剣を極めたんださらなる高みを目指すなら必要だろ」


そう笑顔で言っておいた・・・それとさっきから嫌な顔をしている観客にも忠告の為にしておくかな。


ケイイチ
「じゃあ最後に魔法を極めたらってことも見せてあげるよグレイブ『影分身の術』」


俺は分身を100体出した。


グレイブ
「な!?」

ケイイチ
「ね、すごいでしょ魔法って、だからグレイブ頑張って見てよ、俺も応援するからさ」


そう言いながらある陣営の方をチラッと見た、引きつってるね、よしよし。


俺はここの会場に来たときからずっと嫌な気配を受けていたんだ。


少し前にヴェルとサーラがある人物を捕縛したのが原因だろう、なので俺が影でやりましたって教えてやった。

どうやらサーラがその時影分身を使ったみたいなのだ、ヴェルたちに矛先を向けないように俺はしたつもりだが、さて解ってくれただろうか、なぁアラディルさん。

もしヴェルやローナに手を出したらこれが襲って来るぞって事だからな。

まぁあと数日後に掃討作戦を開始するらしいからそれまでには考えておけよ。

ホントは俺も参加したかったのだがヴェルとサーラに止められた、これは私たちの仕事ってね、だから連絡が無ければ参加はしない、連絡が無ければね。


グレイブ
「まいりましたね、降参ですケイイチ殿」

ケイイチ
「うん、これからも精進してねグレイブ」


そう言ってスキルと初級魔法のスクロールの入ったマジックバックを渡し、握手をした。


これで派閥も動くだろう、まあ全部の人がこっちには来ないだろうけどね。
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