勇者PTを追放されたので獣娘たちに乗り換えて楽しく生きる

まったりー

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1章 生き甲斐

12話 経験値を使ってカードを引こう

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あいつらと交渉で会う前日、俺は限定カードダスを引こうと機械を出した。


「経験値を先にカードダスに投入できるとはいえ、みんなの頑張りでかなり貯ったな」


10階までを往復していたこの15日間で、1回500の経験値を消費するのに6000回以上回せる様になっていた。
ゴールデンメタルスライムたちとの競争が始まる5日前までは2000回ほどだったが、みんなのやる気がそれを可能にしてくれて、俺も嬉しくて皆のケアにも力が入ったよ。


「おかげで6542回引けるし、モフモフも堪能出来た、これなら怖いモノ無しだな」


早速カードダスを引いたんだが、ひたすらに袋から出す作業は面倒で、500回目で嫌になってしまった。
しかし、みんなの頑張りのおかげで引けるのだから、俺も頑張らないといけないという気持ちはあって、そこから何とか200回引いたが、すっごく嫌になって止まってしまったんだ。


「最強レアの10星も30枚出たが、これだけ作業的で目新しいのが出ないと萎えるな」


復刻でもないのにっと、少しむくれながら何か良い方法は無いかと、出たばかりのアイテムカード【ティーセット】を使用して休憩に入った。
ゆったりと美味い紅茶を飲んだんだが、既に選択肢は決まっていて、ミニャルたちに了承を貰う為、ギルドハウスの訓練場に足を運んだ。


「うにゃにゃにゃー」
「ミニャル、後ろが来てないみゃ」
「またなのにゃ、走る速度はこれ以上遅くできないにゃよ」


ゴールデンメタルスライムに対抗する為、みんなは走り込みをしているが、飛んだり跳ねたりして訓練場を走っていたんだ。
これなら、次の挑戦でクリアするだろうという所まで来ていて、イースズたちは確実に倒されるだろうと確信していた。


「みんな、とても強くなったな」


モンスターに例えた障害物を壊し、これでもかという対策がされていて、みんなの努力が見て取れたが、話をしなくてはいけないので声を掛けたよ。
休憩と声を掛けるとみんなはニコニコして集まってくれたが、俺の話はとても重いモノで言って良いのか悩んでしまった。


「アレシュ、どうしたの?」
「プチット・・・みんな聞いてくれ、俺は獣人の奴隷を買おうと思っている」


怒られるだろうと思って覚悟をして伝えたが、みんなは普通にお茶を飲むだけだった。
奴隷として買うと言う事は、獣人たちを結局そうみていたと思われ嫌われる覚悟をしたんだが、ミニャルたちにもう一度言っても変わらなかった。


「みんなは良いのか?」
「勿論にゃよアレシュ」
「そうみゃ、反対する必要がないみゃ」
「だが、奴隷として買うんだぞ」


手伝いとして買うから、みんなとは違う扱いになり、それは不快に思わないかと心配で聞いたんだ。
しかし、俺が買うのだからそんなに悪い扱いではないと言ってくれて、他に買われるより幸せとか言ってくれたんだ。


「むしろ、助けてくれてありがとう」
「プチット・・・そうだな、みんなも知名度が上がったし、動く時でもあるな」
「うん、みんなを助けよう」


冒険者でも、俺たちに注目してる獣人はいて、そろそろ声を掛けようと思っていた。
公爵様との協力関係も出来たし、ここは動く時と奴隷を買う事決意が出来たよ。


「じゃあ行って来るが、俺の気持ちは変わらないからな」
「分かってるのにゃ」
「みんな仲間なのみゃ」


分かってくれると言うだけだったんだが、その言葉はとても暖かいモノで、俺はこの時みんなを大切な存在だと再確認できて、イースズたちとの仲が論外だったのを改めて感じた。
訓練場を出る時、みんなの事を大好きと伝えて出て来て、俺は気分よく奴隷商館が並ぶ場所に向かったよ。


「さて、どんな種族がいるんだろうな」


色々な用途で集められるから、俺はちょっと楽しみでもあったんだが、1軒目の館に入りその気持ちはガクッと落ちたよ。
館の主は、ボロい服でガリガリに痩せたウサギ耳の少女を見せつける様に俺の前に現れ、その子の首には鎖がついていたんだ。


「どうも、わたしはここの主をしています【ボアドル】と申します」
「俺はアレシュという冒険者だ、今日はギルドハウスで働く奴隷を買いに来たんだが、その子は商品かな?」


注意のつもりで、身体も細く今にも折れそうと聞いたのに、男はヘラヘラと笑って来て嫌な感じだ。
だからこそ助けたいと思って聞いたんだが、主と名乗った男は鎖を引っ張り、少女を床に倒して踏みつけたんだ。


「これはわたし個人の所有物で、商品ではありません」


グリグリと足に力を入れ、手に入れた詳細を語ってきたが、自分の力はそれほどに強大と言いたいのか笑っていた。
少女の村を獣人の生産施設にしているとか語ってきて、俺は怒りでどうにかなりそうだったが、何とか抑えて話を聞いていた。


「これは、族長の娘なのですが、見せしめに飼っているんです」
「そうか・・・ならその子を貰えば、村も俺が統治しても良いよな?」
「はい?おっしゃってる意味が分かりませんな」
「分からないのか?俺はその子を買うと言ってるんだ」


所有物だから売らないと言って機嫌を悪くした主だが、俺はもっと機嫌が悪いので、館の獣人もすべて買うと宣言してやった。
この館では、ウサギ獣人を扱ってる様で、数からして俺では買えないとか笑ってきたよ。


「坊や、あまりわたしを怒らせない方が良いですよ」
「あんたこそ、容姿だけで優位に立っていると思ったら大間違いだ」
「ほうほう、ではわたしの言う金額を出せるというのですね」
「そうだ、言い値で買ってやるよ」


喧嘩を買う感じで宣言し、俺は腕を組んで余裕の姿勢を見せた。
主であるボアドルは、大金貨100枚を要求して来て、払えないだろうとニヤ付いて来た。


「どうですかな?本来中金貨5枚程度の獣人にそこまで出せますかな」


余裕の笑みを消す為、俺は100枚の大金貨が入った袋を10袋テーブルに出して見せた。
袋から見える金貨と光を見て、ボアドルは笑顔が消えて唖然としてきたから、館のウサギ獣人と村を貰うと言ってやったよ。


「ちょ、ちょっと待ってください」
「なんだ、それでは足りなかったか?じゃあもう10袋だ」
「ふぇっ!!」


これで満足だろうと、床に倒れているウサギの少女を抱き上げ、座っていたソファーに寝かせた。
ポーションを取り出しながら、早く書類を持って来いとボアドルに命令し、俺は少女にポーションを飲ませたんだ。


「これで怪我は治る、安心しろ」
「あの・・・あたしは」
「良いんだ、まずはここを出てからだ」


何かを言いたそうだったが、俺はそれを止めて書類が来るまで少女の横に座り頭を撫でていた。
ボアドルは、村の権利書を持ち奴隷たち10名を連れて来て、向かいに座ってかなり機嫌が悪そうだったよ。


「変な細工をしてないだろうな」
「こ、こんな事をして、タダで済むと思っているのか」
「分かってないようだなボアドル、これは始まりなんだよ」


他の館でも獣人がこんな扱いであると分かったから、俺はすべての館から獣人を買う事を宣言した。
そして、館が所有している村も手に入れて、もうそんな事に使わせないと宣戦布告したんだ。


「これは戦争だぞ、分かっているのかガキ」
「ああ分かっているよ、だから準備をしてかかってこい」
「分かった、覚悟して待っていろ」


書類をインベントリにしまい、少女を抱き上げて奴隷を連れて館を出た。
その足で他の館に入ると、何事かといった顔をした館の主を見て、すべての獣人を買うと宣言して助けて回ったんだ。


「こ、こんな事をして、良いと思っているのかガキ」
「同じような事しか言えないのか?全員纏めて掛かって来いよ」
「絶対取り返してやる、覚悟してろ」


5つの館を敵に回し、俺は5種族(ウサギ・リス・キツネ・スズメ・オオカミ)を助ける事に成功した。
村長の娘たちは、全員館の主に飼われていて酷い扱いを受けていたが、全員怪我を治して他の者たちに運んで貰ったよ。


「あの・・・あたしは平気ですウサ、自分で歩きますウサ」


俺が抱きかかえていたウサギの少女は、みんなの視線を受けていたせいか恥ずかしそうだった。
しかし、彼女のモフモフを堪能したいので、ギルドハウスに着くまでそのままと要望は却下した。


「でもでも」
「イヤなのか?」
「そうではないですウサ・・・でも、あたしはまだ子供が産めません」


8歳なんですっと、良く分からない返答が返ってきたが、どうやら獣人のしきたりで何か俺がしているらしい。
後で聞いてみる事にして、ギルドハウスで働くか村に帰るかの選択をするように全員に伝えたら、皆驚いてたよ。


「い、良いのですチュン」
「人数がいるし、村に報告もしてほしいからな」
「でも、アチシたちは奴隷チュン」
「その首輪はギルドハウスに着いたら解除する、だから考えておいてくれ」


村にモンスターたちを配置しておきたいし、あいつらが絶対に何かするから対抗したかった。
ギルドハウスに到着し、どうするのか選択してもらったんだが、首輪を外したのに忠誠を誓うと跪いて来たんだ。


「止してくれ、俺はそんなガラじゃない」
「そうはいきませんわん、助けられた恩を返すのは獣人の掟わん」
「そうだとしても、友好関係を持ちたいんだ」


支配するのではなく、お互い協力しようと伝えたら、全員が分かったと頭を下げて来て、分かってなかったからガクッと体勢を崩してしまった。
時間が経てば分かってくれると諦め、村に行く者とギルドハウスに残り働く者に分かれて貰い、ここから獣人たちの集まるギルドハウスと名が売れる様になったんだ。
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