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1章 生き甲斐
13話 勇者との交渉
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遂にこの時が来たが、俺たちは準備万端だから余裕で、あいつらの泊っている宿の前に到着した。
「楽しみにゃ~」
「腕が騒ぐみゃ」
「おいおい、こちらからは手を出さないからな」
臨戦態勢であるみんなは、ちょっとソワソワとしていて、その空気は相手にも伝わるから注意した。
しかし、こちらもその気があると見せるには丁度良く、奴隷商館の件も街に噂が広まっているから、強気に行こうと宿に入った。
「いらっしゃいませ、宿泊ですか?」
「ここに泊っている勇者イースズに用があってね、呼ばれてきました」
「そうでしたか、お部屋は分かりますか?」
「聞いていますので平気です」
小さくなった俺を分かるわけがないが、久しぶりに会った高級宿の一人娘【シュラシャ】は、ちょっと疲れている感じに見えた。
勇者イースズがいるせいで大変なんだろうが、もう接点は無いのでマッサージのサービスは出来なかったよ。
「では、お気をつけて行って来てください」
「ありがとう、ちょっと迷惑を掛けるかもしれないので、これを先に」
「これは?」
不思議そうに受け取ってくれたのは、疲労回復効果のあるお香の壺で、疲れてるように見えたからと伝えて階段を上がって行った。
貰えないと下で聞こえたけど、迷惑料として当然と思って返答はしなかった。
「さて、どう出るのかな」
部屋の扉をノックして、中の返事を聞いてから中に入ったが、俺たちの椅子は用意されていなかった。
勇者イースズは、机の先で座り足を組んで偉そうにしてきて、そのサイドには他の奴らが武器を持って立っていたよ。
「よく来たな、まあ近くに来いよ」
「「「「「イヤな奴」」」」」
後ろのミニャルたちがボソッと口に出して来て、俺も言いたくなったよ。
しかし、まだ始まってもいないので、ゆっくりと歩きあいつの机の前に立ったんだ。
「それで、あいつの息子のお前の返答を聞こうか、俺は忙しいんだ」
「お話をしたくないのですか?」
「当たり前だ、何でお前みたいなガキと交渉しなくてはいけない、お前は依頼を受けるしかないんだからな」
「そうですか・・・では、俺たちは依頼を拒否します」
イースズは、そんな返しが来るとは思わなかったのか、そうだろうとか言った後、何でだっ!と驚いて来たよ。
でも、報酬も決まってない依頼なんて受ける訳がないと、憐みの目を向けて言ってやったよ。
「報酬か、あいつの息子らしいな・・・それでいくらだ?」
「ベールド金貨1万枚」
「「「「「なっ!」」」」」
「言っておきますけど、僕が行うのは修理だけで、1つの装備に付きその値段で請け負います」
すっごく驚いたイースズたちは、もう何も言えずに口をパクパクさせていた。
そして、追い打ちとばかりに、父親を追いやった事が原因であると言ってやったんだ。
「ここで一緒に暮らせるはずだったのに、あなたたちが来たせいで父はいなくなりました、この俺の気持ち分かりますか?」
「そ、それは」
「子供の様な事を言わないでくださいまし、あなたも冒険者でしょう」
「あなたは?」
「わたくしは、聖女ミケーナですわ」
イースズの横にいたミケーナは、大人になれとか偉そうに言って来て、魔王討伐が掛かっているとか言ってきたよ。
だが、その言葉は悪手にも程があり、俺のシナリオでも最悪の展開で、ついニヤリとしてしまったよ。
「何を笑っていますの?」
「いえいえ、あなたたちは父を用済みとして追放したと聞いたので、つい笑ってしまいました」
「ど、何処でそんな事を」
「そんなの、父からに決まってるでしょう、だから父の気持ちも分かりますし恨んでいました」
そんな気持ちでいたのに、結局装備は父頼りだったと知って笑ってしまったと、ここで大笑いをして見せたんだ。
ざまあみろという感じに笑ったので、ミケーナは凄く悔しそうだったけど、もう一押しする為に笑いを止めて最後の言葉を伝え様とイースズを睨んだんだ。
「勇者イースズ、その態度を改めない限り、俺は手伝わない」
「ほう、世界がどうなっても良いのか?」
「その時は、父さんを探して戦うさ、何せ勇者が求めた装備を作れるんだからね」
自分では作れない事をここで強調し、それが嫌なら謝れと命令した。
謝まりさえすれば、修理の費用も1000分の1にしてやると提案した。
「1万枚が10枚になるんだ、悪い話じゃないだろう?」
「お、俺に頭を下げろというのかガキ」
「そんな態度で相手を見下してるから、あなたは今困ってるんだ、それくらいは必要だと思いますけどね」
俺を信じず、横にいる女子たちですら夜の相手程度にしか思ってない今のイースズに比べたら、権力を使って無理難題を言って来る貴族が見下して来るのが子供に見えると言ってやった。
だからこそ、謝って改めろと言ったんだが、答えは剣を向ける事だったよ。
「ゆ、勇者様いけません!」
「止めるなグラフィ、このガキは許せない」
「では、魔王討伐は諦めるんですか、勇者としての使命ですよ」
「ぐっ・・・くそっ!!」
剣を机に叩きつけ、机に手を付いたイースズは頭を下げて来た。
しかし、謝るわけではなく、装備の修復を頼むとお願いしてきた。
「謝罪が抜けてますよ」
「ぐっ!」
「このガキ、いい加減にしろよ」
イースズが抵抗していたら、横に立っていたギャルトが拳を構え、攻撃の体勢を取って来た。
俺の命令している内容は別に怒るほどの事ではなく、正当な権利だろうと言ったら、遂に拳を繰り出して来たが、その拳は俺には届かなかった。
「にゃはは、そうはいかないのにゃ」
「こ、このネコ、あたしの拳を受け止めやがった」
「そんなに驚く事じゃないにゃ、お前の拳にゃんて、ゴールデンメタルスライムに比べたら止まって見えるにゃ」
「な、何言ってやがる」
「これが答えですか勇者イースズ」
仲間のギャルトの独断行動だったけど、どうなんだと聞いたら、イースズはギャルトに下がる事を命令した。
嫌そうだったが、ギャルトは拳を下げて引き下がり、イースズは謝罪の言葉を口にしたよ。
「やっと聞けたけどさ、君の仲間は頭を下げてないよ」
さっきの事も謝ってほしいと、ちょっと子供っぽく伝えると、イースズは歯を食いしばりながらギャルトたちに指示した。
全員から謝罪の言葉を貰い、やっと話が終わったとミニャルたちに臨戦態勢を解いてもらったんだ。
「とても良い気分だから、代金はベールド金貨1枚で良いよ」
「そ、それは助かる」
「うんうん、じゃあ後日装備を持ってきてね」
「あ、ああ・・・よろしく頼む」
眉間に血管を浮き上がらせ、怒りを抑えてるイースズの顔は、俺にとって忘れられない顔になり笑みが絶えなかった。
だがしかし、それ以外で会いたくはないので、装備は他の者に運ばせる様に命令した。
「ここにいる全員、二度と顔を見せないでね」
「「「「「なっ!!」」」」」
「じゃあ、永遠にさようなら」
手をひらひらとさせて、俺たちは部屋を出たんだが、爽快過ぎて笑顔が戻らなかった。
ミニャルたちも同じようで、後ろでニヤニヤしてたよ。
「さて、迷惑な奴らとの交渉は終わった、これからだねみんな」
「やっとにゃねアレシュ」
「これから、みんなが集まるのみゃ~」
獣人が集まるクランを大きくしようと、みんなで右手を掲げて宣言したよ。
「楽しみにゃ~」
「腕が騒ぐみゃ」
「おいおい、こちらからは手を出さないからな」
臨戦態勢であるみんなは、ちょっとソワソワとしていて、その空気は相手にも伝わるから注意した。
しかし、こちらもその気があると見せるには丁度良く、奴隷商館の件も街に噂が広まっているから、強気に行こうと宿に入った。
「いらっしゃいませ、宿泊ですか?」
「ここに泊っている勇者イースズに用があってね、呼ばれてきました」
「そうでしたか、お部屋は分かりますか?」
「聞いていますので平気です」
小さくなった俺を分かるわけがないが、久しぶりに会った高級宿の一人娘【シュラシャ】は、ちょっと疲れている感じに見えた。
勇者イースズがいるせいで大変なんだろうが、もう接点は無いのでマッサージのサービスは出来なかったよ。
「では、お気をつけて行って来てください」
「ありがとう、ちょっと迷惑を掛けるかもしれないので、これを先に」
「これは?」
不思議そうに受け取ってくれたのは、疲労回復効果のあるお香の壺で、疲れてるように見えたからと伝えて階段を上がって行った。
貰えないと下で聞こえたけど、迷惑料として当然と思って返答はしなかった。
「さて、どう出るのかな」
部屋の扉をノックして、中の返事を聞いてから中に入ったが、俺たちの椅子は用意されていなかった。
勇者イースズは、机の先で座り足を組んで偉そうにしてきて、そのサイドには他の奴らが武器を持って立っていたよ。
「よく来たな、まあ近くに来いよ」
「「「「「イヤな奴」」」」」
後ろのミニャルたちがボソッと口に出して来て、俺も言いたくなったよ。
しかし、まだ始まってもいないので、ゆっくりと歩きあいつの机の前に立ったんだ。
「それで、あいつの息子のお前の返答を聞こうか、俺は忙しいんだ」
「お話をしたくないのですか?」
「当たり前だ、何でお前みたいなガキと交渉しなくてはいけない、お前は依頼を受けるしかないんだからな」
「そうですか・・・では、俺たちは依頼を拒否します」
イースズは、そんな返しが来るとは思わなかったのか、そうだろうとか言った後、何でだっ!と驚いて来たよ。
でも、報酬も決まってない依頼なんて受ける訳がないと、憐みの目を向けて言ってやったよ。
「報酬か、あいつの息子らしいな・・・それでいくらだ?」
「ベールド金貨1万枚」
「「「「「なっ!」」」」」
「言っておきますけど、僕が行うのは修理だけで、1つの装備に付きその値段で請け負います」
すっごく驚いたイースズたちは、もう何も言えずに口をパクパクさせていた。
そして、追い打ちとばかりに、父親を追いやった事が原因であると言ってやったんだ。
「ここで一緒に暮らせるはずだったのに、あなたたちが来たせいで父はいなくなりました、この俺の気持ち分かりますか?」
「そ、それは」
「子供の様な事を言わないでくださいまし、あなたも冒険者でしょう」
「あなたは?」
「わたくしは、聖女ミケーナですわ」
イースズの横にいたミケーナは、大人になれとか偉そうに言って来て、魔王討伐が掛かっているとか言ってきたよ。
だが、その言葉は悪手にも程があり、俺のシナリオでも最悪の展開で、ついニヤリとしてしまったよ。
「何を笑っていますの?」
「いえいえ、あなたたちは父を用済みとして追放したと聞いたので、つい笑ってしまいました」
「ど、何処でそんな事を」
「そんなの、父からに決まってるでしょう、だから父の気持ちも分かりますし恨んでいました」
そんな気持ちでいたのに、結局装備は父頼りだったと知って笑ってしまったと、ここで大笑いをして見せたんだ。
ざまあみろという感じに笑ったので、ミケーナは凄く悔しそうだったけど、もう一押しする為に笑いを止めて最後の言葉を伝え様とイースズを睨んだんだ。
「勇者イースズ、その態度を改めない限り、俺は手伝わない」
「ほう、世界がどうなっても良いのか?」
「その時は、父さんを探して戦うさ、何せ勇者が求めた装備を作れるんだからね」
自分では作れない事をここで強調し、それが嫌なら謝れと命令した。
謝まりさえすれば、修理の費用も1000分の1にしてやると提案した。
「1万枚が10枚になるんだ、悪い話じゃないだろう?」
「お、俺に頭を下げろというのかガキ」
「そんな態度で相手を見下してるから、あなたは今困ってるんだ、それくらいは必要だと思いますけどね」
俺を信じず、横にいる女子たちですら夜の相手程度にしか思ってない今のイースズに比べたら、権力を使って無理難題を言って来る貴族が見下して来るのが子供に見えると言ってやった。
だからこそ、謝って改めろと言ったんだが、答えは剣を向ける事だったよ。
「ゆ、勇者様いけません!」
「止めるなグラフィ、このガキは許せない」
「では、魔王討伐は諦めるんですか、勇者としての使命ですよ」
「ぐっ・・・くそっ!!」
剣を机に叩きつけ、机に手を付いたイースズは頭を下げて来た。
しかし、謝るわけではなく、装備の修復を頼むとお願いしてきた。
「謝罪が抜けてますよ」
「ぐっ!」
「このガキ、いい加減にしろよ」
イースズが抵抗していたら、横に立っていたギャルトが拳を構え、攻撃の体勢を取って来た。
俺の命令している内容は別に怒るほどの事ではなく、正当な権利だろうと言ったら、遂に拳を繰り出して来たが、その拳は俺には届かなかった。
「にゃはは、そうはいかないのにゃ」
「こ、このネコ、あたしの拳を受け止めやがった」
「そんなに驚く事じゃないにゃ、お前の拳にゃんて、ゴールデンメタルスライムに比べたら止まって見えるにゃ」
「な、何言ってやがる」
「これが答えですか勇者イースズ」
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嫌そうだったが、ギャルトは拳を下げて引き下がり、イースズは謝罪の言葉を口にしたよ。
「やっと聞けたけどさ、君の仲間は頭を下げてないよ」
さっきの事も謝ってほしいと、ちょっと子供っぽく伝えると、イースズは歯を食いしばりながらギャルトたちに指示した。
全員から謝罪の言葉を貰い、やっと話が終わったとミニャルたちに臨戦態勢を解いてもらったんだ。
「とても良い気分だから、代金はベールド金貨1枚で良いよ」
「そ、それは助かる」
「うんうん、じゃあ後日装備を持ってきてね」
「あ、ああ・・・よろしく頼む」
眉間に血管を浮き上がらせ、怒りを抑えてるイースズの顔は、俺にとって忘れられない顔になり笑みが絶えなかった。
だがしかし、それ以外で会いたくはないので、装備は他の者に運ばせる様に命令した。
「ここにいる全員、二度と顔を見せないでね」
「「「「「なっ!!」」」」」
「じゃあ、永遠にさようなら」
手をひらひらとさせて、俺たちは部屋を出たんだが、爽快過ぎて笑顔が戻らなかった。
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「さて、迷惑な奴らとの交渉は終わった、これからだねみんな」
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