魔力を持たない僕は魔法を使いたい!

まったりー

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2章 魔法

30話 長期休暇を使って

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お城に戻って来て、ザッシュと騎士訓練場に来たボクは、アルサ君の訓練と比較する為、ザッシュに振り向いた。


「どうだいザッシュ」
「はい、気功術と言うのは本当に凄い、今では皆の動きが止まって見えます」
「それは凄いね、これは学園の体育教師が負けるわけだね」


凄い戦いだったと誰もが噂をするその試合は、ボクたちが駆け付けた時には終わっていて、そこにいたアルサ君たちの迫力が以前より増してたから、何かあったのかが分かったんだ。
その時聞いたのだけど、訓練をしてきたというだけで教えて貰えなかった。


「気功術の訓練はそれだけの結果を出すのでしょう、これからが楽しみです」
「そうだね、最近きな臭い話も聞くし、強くなってもらわないとね」
「確かに、近々戦争が起きそうな噂がありますからね」
「ダメだよザッシュ、それはまだ公表されてない情報だからね」


噂とは言えボクたちが口にしたら、それは噂の領域を超えてしまうので止めました。
騎士たちにも気功術を覚えてほしいけど、それはまだアルサ君から許可が貰えず、戦争に間に合うか不安が生まれたよ。


「ボクらの国はまだ中規模だからね、大きな国が攻めてきたらおしまいだよ」
「ザリハ様、幸い魔道具は間に合います、それだけでも十分ですよ」
「ザッシュ、大きな国との戦争は甘くない、打てる手はあればあっただけ良いんだよ」


歴史がそれを教えてくれていて、数に勝つにはそんな新技術が必要だった。
ボクの作戦もそれなりに有効ではあったけど、それは同じくらいの数が相手の場合で、一桁違ったら無いに等しかった。


「だからねザッシュ、気功術は騎士たちだけでなく、兵士にも覚えさせないといけない、まだ始まってもいないんだよ」
「確かに、兵士は貴族ではありませんから、実力を上げるには一番ですね」
「まぁそっちは魔法を使えるようになるから、魔道具で何とかなるけどね」


だから今お城に戻ってきていて、ボクは陛下に謁見する為に訓練場を離れました。
数日前に通達していたからそのまま謁見できたけど、本当に報告する内容以外に伝える事が増え、朗報が増える事を喜ばしいと、扉を通り玉座の前の階段の下に跪いたんだ。


「良く戻ったなザリハ、学園は楽しいか」
「はい父上、友人と楽しくしています」
「それは良かった・・・それで、建前はその辺にして何か問題があったのだろう?」
「はい陛下、実は天才が現れたのです」


とても簡易的な言葉だったので、天才ならボクもそうだと陛下に言われた。
彼と会うまではそうだと思っていたけど、今では恥ずかしくて言えないから、アルサ君の事を話す為に人払いをお願いした。


「ふむ、そこまでの話なのだな、わかった皆席をはずせ」
「「「「「はっ」」」」」


騎士や大臣たちは、反対もしないで出ていき、父上の威厳はいまだに下がってないことを確認できた。
これなら戦争が始まっても勝てると思い、ボクはそのままアルサ君の事をお話して、支援を要請したよ。


「ふむ、支援とな?」
「本来は保護した方が良いのですが、彼はそれを望みませんし、やりたいことをそのまましてもらっていた方が良いのです父上」
「なるほど、他の誰でもないザリハのいう事だ、そうすることにしよう」
「ありがとうございます、つきましてはまず学園の改革をお願いします」


学園が良くなることが何よりも優先するべき事で、アルサ君たちが変えようとしている事もお話した。
貴族の力は見せつけたり押し付けるモノではないと父上も納得してくれて、由々しき事態として大臣たちに伝えるよう言ってくれた。


「ありがとうございます陛下」
「うむ、今から動けば戦争にも間に合うだろう、さすが智将と呼ばれた天才ザリハだな」
「その戦いは勝って当たり前でしたよ父上」


2年前の話で、ボクは幼いながらも勝利を収めたから二つ名を授かったけど、それもアルサ君と比較したら小さなことだった。
魔道具を量産する為、ボクは退出して宮廷魔法士の元に足を運んだけど、そこでは魔道具よりも魔法の研究が進められていたよ。


「前なら、それが普通と思っていたんだけど、今ではなんとも勿体ない時間と思ってしまうね」


費用も掛かり無駄以外何者でもないと思い、宮廷魔法士のリーダーでラディッシュの父親【ラーズ】に声を掛けました。
いつもの様に跪いて、ラディッシュは力になっているかと問われたので、頑張っていると答えておいたよ。


「それは良かった、あれもなかなか魔法士として優れていますからな」
「将来が楽しみだけど、ラーズ分かっているよね」
「はい、戦争が近いのですな、お任せください、自分の最強魔法【ファイアーエレメンタル】で敵を滅殺して見せます」


ラーズが得意げで、ボクもそれは出来るとは思っていたけど、魔力の消費を考えると数百が限界と思っていました。
大国が相手の場合、怯ませる切っ掛け程度にしかならず、アルサ君が作った論文を渡して読むように伝えた。


「これは珍しい、魔道具に関する論文ですな」
「それだけじゃなく、ただの魔道具じゃないよラーズ」
「ほう、いったいどのような魔道具なのですかな」


驚かないぞっという感じに笑顔を見せてきたラーズは、火魔法が撃てる魔道具と聞いて目をこれでもかと見開いて驚いてきた。
魔道具は生活に使える物しかなく、消費も最小限になるように作られていて、戦いには不向きとラーズは答えてくれた。


「出力を上げるにも、魔法陣の改造と構築が必要であり、それは研究されなくなって久しいのですよ」
「そうだね、でも出来るんだよ」
「信じられない、現物は無いのですか、ぜひ見てみたいです」


かなりの好印象で、魔法にしか興味がなかったラーズがすごく食いついてきて、これはいけるとボクは安心したよ。
今はないから論文を読んでもらったけど、とても良くできていると賞賛してもらい、さすがアルサ君だと思ったね。


「これはどこの貴族が作ったんです?」
「それがね、平民の学生だよラーズ」
「ほう、それは凄い・・・平民では魔法を使えないから、論文にして貴族に渡すのですな」
「そうじゃないよラーズ、これは平民でも使えるんだ」


それがどれだけ凄いのか、ラーズの驚いた表情を見て納得し、一般兵に配布することを伝えたらもっと驚かれた。
魔道具を使って、一般兵初の魔法団を作るのだから驚かれても仕方ないけど、それはかなりの戦力になるとラーズも納得したよ。


「しかし、魔道具の魔力はどうするのです、それに作るにしてもコストも掛かりましょう」
「そこはアルサ君も心配していたけど、試作段階でこれだからね、きっと解決してくれるよ」
「ほう、智将のザリハがそれだけ信用するとは、その平民は相当ですな」


誰もが見れば分かる事で、会ってみたいとラーズが呟き、ラディッシュが友達になっていた事を話したら、家に招く事を検討している顔で悩んでいた。
平民を呼ぶ口実が欲しいのだろうけど、そんなモノがある訳もなく、ボクとは違うと笑ってしまった。


「ザリハ様、笑わないでください」
「ごめんごめん、それだけ悩む事じゃないよ、そのうちお城に指導に来る事になるさ」
「それは・・・それだけ本気なのですねザリハ様、分かりました」


戦争はまだ先だろうけど、準備するのは早い方が良いのは言うまでもなく、ボクは相手が誰でも負けない気がしてきた。
人数も集めたいし、これから忙しくなりそうで、学園に行けないことも増えそうで寂しく感じたよ。
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