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【ウィルフレッドside】こんなはずでは
しおりを挟む「えっ!近衛騎士の団長様と手合わせできるんですか?ぜひ、お願いします!」
「あぁ、こちらこそよろしく頼む」
ーあなた辺境の騎士に勝てる?きっと無理だと思うわ。一度手合わせしてみるといい。彼らが命を懸けて戦っている事がきっとわかるわよー
レティシア嬢に促され辺境の騎士達の稽古場に立ち寄った。俺と手合わせするというだけでそんなに喜んでもらえるとは、騎士冥利に尽きるな。俺だって騎士になって10年以上経つ。騎士団長の座は実力で勝ち取ったと自負している。負けるはずはないが、実力はどれほどだろうか。
カンッ、カンッ
「さすが近衛の団長様だ・・・動きが早いな」
「あぁ、剣さばきが早い」
「いやぁ・・・格好いい、様になるな。力任せの俺達とは格が違うな」
ギャラリーが集まってきたな・・・確かに動きでは負けていないし、剣の技術は劣っていない
「しかし、力ではジンの方が上だな?」
「反応は早いんだが、正面からの素直な攻撃には防戦一方だな・・・」
そうだ・・・この力強さだ。俺の剣には力がない。さっきからずっと相手の正面からの攻撃を交わすことしかできていない。正面からぶつかれば力負けする・・・こんなはずじゃなかった・・・しかし、これでしか勝てる方法がない。毎日鍛錬を欠かしたこともなければ、力に驕ったこともない・・・こんなはずでは・・・
「今日はここまでにしよう。君の剣は力強い。しっかり鍛えられている」
「ありがとうございます!」
「また、手合わせを願う。それでは」
負けてはいない。だが、勝つこともできなかった・・・もうこれは・・・負けなのかも知れない・・・
「・・・剣では負けていなかった・・・でも、俺には力が足りない・・・悔しいが、レティシア嬢の言う通りだな・・・まだ・・・足りない・・・」
汗を流していたシャワーの湯が、俺の自信までも流してしまっているようだ・・・俺には何がある?殿下に勝てるものが・・・何も・・・ない・・・
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次回
今から街に行くぞ
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