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【ルシアンside】お義姉様が来た!

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昨日兄上が夜会から帰宅して夜が明けると、すぐに何やら屋敷が騒がしくなった。使用人達が右に左にと忙しなく走り回っている。兄上が指揮をとって、内扉で繋がる隣の部屋を整えさせているそうだ。




「ねぇベル、兄上はどうして部屋を整えさせているの?しかも、随分と急いでいるようだけど?」




僕はメイドのベルに疑問を投げかけた。すると、驚く答えが返ってきた。




「ウィルフレッド様が、ついにご令嬢を奥様にと迎えられることが決まったようですよ?私めも昨晩お戻りになった際に聞かされたばかりで驚いております」

「奥様・・・兄上、結婚しないとあれだけ言っていたのに、お眼鏡に叶う方がいたんだね」

「えぇ、とても美しく、他の男性からの視線をたくさん集めてしまうような方なのだそうです」

「そうか、兄上は、綺麗な女性が好きだったのだな」

「そうでもないかもしれませんよ?芯のあるご令嬢だからとおっしゃっておりましたから」

「・・・へぇ・・・お義姉様か・・・どんな方なんだろうな・・・」




そしてその翌日。

来た!馬車がとまった。僕が一番にお迎え・・・うわぁ・・・綺麗な方だな・・・こんな方がお義姉様になってくれるなんて!!

嬉しい!!!




「えっ!?」

「お会いしたかったです!お義姉様!僕、ルシアンです」




嬉しさのあまり、公爵令息だという事を一切忘れお義姉様となる方に飛びついてしまった。少々子どもぽかっただろうか・・・

だが、咎められることもなく、にこりと微笑んで僕を見つめている。




「きゃー!可愛い!!」




うっ・・・母上、苦しい・・・
母上まで同じ事するなんて・・・





「ちょっと、何してるんですか!俺のシアなんですよ!離れてください、ルシアンも離れろっ!羨ましい事するな、俺もまだなのに!」




兄上が嫉妬している・・・
こんな兄上初めて見た。兄上もこんな感情を持っていたんだな・・・
女性には興味がないとばかりの兄上だったのに




「ウィル、何が羨ましいの?」




そうだ、兄上は何が羨ましいんだ?
兄上だって今お義姉様を抱きしめているし・・・
羨ましい?




「えっ・・・えっと・・・その、む、胸に・・・」




胸・・・兄上・・・結構破廉恥な事を考えてらしたのか・・・意外だな・・・




応接室に案内するも、兄上はお義姉様を離さない
まさか、お膝に座らせるなんて思う?
あの兄上が・・・?
そうだ、お義姉様をお茶に誘おう




「お義姉様、あとで一緒にお茶しましょう!庭に綺麗な花が咲いているんです、僕が案内します!」

「あら、ルシアン様ありがとうございます。楽しみですわ」

「ちょっと待て!ルシアン、それは俺の役目だ、とるんじゃない!」

「兄上、少しぐらいいいじゃないですか!僕だって、お義姉様が欲しかったんですから」

「シアはダメだ!お姉様も俺がしてやる」

「ウィル、さすがにそれは無理よ・・・」




兄上がお姉様・・・気持ち悪いよ・・・
お茶ぐらいいいじゃないか・・・
でも、母上がお茶会に連れていくと言うと、ご夫人方に気に入られては息子を薦められても困ると言い出し、父上が真似してお膝に乗せてみたいというと、他の男が触れるのは許さないとばかりに猛抗議している。
これまでの兄上はどこへ行ったのだろうか。今日は驚かされてばっかりだ・・・





「シア、このまま屋敷に住んでくれないか?」




兄上、それはいい考えです!




「そうです、お義姉様、兄上と結婚するんでしょう?もう住んでください!」

「そうよ、レティシアちゃん、もうここはあなたのおうちよ?」

「レティシア嬢、君がよければこのままどうかな?」




家族は皆、レティシアお義姉様に留まって欲しいと望んでいる。僕はただ嬉しいだけだが、父上と母上は、やっと兄上に来てくれるお嫁さんを逃したくないのかもしれない
いや、母上は単に娘ができるという事を喜んでいるだけか・・・
父上は・・・うぅぅん





「レティシア、ここまで言われて帰るのも気が引ける・・・いいんじゃないか?」




辺境伯が味方をしてくれた
お義姉様は何と言うのだろうか





「お義父上!ありがとうございます!」

「だから、なんでウィルが返事するのよ・・・」





確かに、何故兄上が返事を・・・
でも、断らないところを見ると、嫌ではないのかな
嬉しいな
お義姉様が屋敷にいてくれるなんて
兄上が騎士団に行って外出している時は、僕が相手をするから心配しなくてもいいからね
もし、兄上に飽きたら僕のお嫁さんに・・・
いや、少し子どもすぎるかな・・・
でも、そう思ってしまいそうなほどお義姉様は綺麗だし優しい




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次回

そっちには息子しか・・・いないけど?



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