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帰る場所
しおりを挟む「おかえり、シア」
「えぇ、ただいま」
「おかえりのキスは?」
そんなやり取りをしていた二人の元に、ルシアンが駆け寄ってきた。
「兄上、お義姉様!おかえりなさい!」
屈託のない笑顔を見せてキラキラとした瞳でルシアンはレティシアを見上げる。
「へっ!?」
「ただいま、ルシアン」
「シア!?」
ウィルフレッドは慌ててレティシアを抱き寄せる。レティシアはルシアンの頬に触れるだけの軽いキスをしたのだ。
「・・・ルシアンだけズルい・・・」
ウィルフレッドはレティシアを抱えると、自室へと向かった。部屋に着くと、そのままソファに座り、膝にレティシアを乗せて、首や肩にグリグリと頭を押し付けて甘えた。
「もう・・・弟に嫉妬しないでくれる?」
「だって・・・俺もして貰ってないのに・・・ルシアンだけ・・・ズルい・・・シア・・・俺だけのものなのに・・・そう・・・だよな?」
いつもと何か違う感じがして、不思議に思ったレティシア。
「ウィル?どうしたの?」
「シアは・・・俺のものだ」
「・・・何当たり前の事言っているの?」
「シア、どこにも行かないよな?」
「帰る家はあるけど、帰すつもりもないのでしょう?」
「シアの帰る家はここ。帰る場所は俺の腕の中だ」
「そうね・・・ウィル?」
「何・・・」
尚もウィルフレッドはレティシアの肩に頭を乗せたままぐずぐず甘えている。
「何を不安に思っているの?」
「・・・不安・・・シアは・・・他の男が言い寄ってきたらどう」
「どうもしないわよ」
ウィルフレッドが言い終わらないうちにレティシアが言葉を遮る。
「・・・シア」
「ウィル、私がウィルを選んだの。もちろん幸せにしてくれるんでしょう?」
ウィルフレッドは勢いよく顔を上げると、レティシアの瞳を見つめる。
「もちろんだ」
「ウィル、聞いて」
「なんだ?」
「私ね・・・ウィルにしかときめかないわ」
レティシアがちゅっと軽く触れるだけの優しいキスをする。
「こんな事、ウィルにしかしない。もちろんされて嬉しいのもウィルだけよ?」
「シア!」
ウィルフレッドはソファにレティシアを押し倒した。そのまま深いキスを何度も繰り返す。
「シア・・・大好きだ、愛している」
「私も愛しているわ・・・でもね、女性のお茶会に水をさしてはダメ、わかった?」
「・・・善処する」
意地でもはいとは言わないウィルフレッドだった。
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次回
ダメだ!それだけは絶対にダメだ!
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