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真面目な話の最中でも甘えたい
しおりを挟む事件が起きてから3日経ち、ウィルフレッドが目覚めたという報告を聞き、近衛騎士の副騎士団長であるレイバンが公爵邸に見舞いと報告に訪れた。
「団長・・・以前から大変驚いてはおりましたが・・・さらに悪化しているようですね?」
「悪化?傷は悪化はしてないぞ?」
「傷の話ではありませんよ」
「じゃあ、何が悪化していると言うんだ?」
「・・・無自覚ですか・・・」
レイバンが呆れるのも無理はない。見舞いと報告に訪れたのだが、寝台に安静に寝ているのだろうと思っていた。しかし、目の前の光景はなんだろうか。レティシアの腰に抱きつき、足に頬を擦り寄せて甘えているウィルフレッドがいる。しかも、こちらを見ようともせず、甘え続けている。
「副団長様、申し訳ありません」
「いえ、レティシア嬢が謝られる事ではないですよ。事件の事は、市井の警備の騎士達から聞いております。今、団長は、ご令嬢から片時も離れたくはないという事なのでしょう」
「あぁ、そうだ。だから気にするな」
「・・・ウィル・・・せめて顔ぐらいあげましょうか?」
「嫌だ」
「・・・はははっ、団長が女性に甘えるようになるなんて思いもしませんでしたよ。そのままで結構です。ご報告を致します」
副騎士団長レイバンの口から事件に関わった人物の尋問等で明らかになった事、現状などが語られていく。
「現在、ランドルスト公爵令嬢イザベラ様は、貴族牢に捕らえられております。罪状は、刃物による刺傷、殺人未遂、恐喝、強姦教唆ですね」
「強姦教唆だと!?」
レイバンの言葉に反応し、眉間に皺を寄せて険しい表情で顔を上げたウィルフレッド。
「えぇ、捕らえた男達にレティシア嬢の純潔を奪わせるようにと指示をしたとのことです」
「・・・許せんな」
「彼女は現在、貴族牢に捕らえられておりますが、精神が異常な様子も伺えます。牢番の騎士達に様子を探らせていますが、仕切りにあの女さえいなければと口にしているようです」
「あの女?」
「えぇ、恐らくはレティシア嬢の事かと」
「何故シアの事を恨むような事を言うんだ?・・・もしや、あの兄絡みか?」
「兄?ランドルスト公爵令息の事ですか?」
「あぁ、マクシミリオンが、先日の夜会でシアを手篭めにしようと襲ったんだ」
「なんと・・・」
「まぁ、未遂に終わったがな。これは緘口令を敷いていて、その場にいた者しか知らない事だ」
「そうでしたか」
レティシアは神妙な面持ちで、ウィルフレッドとレイバンの話を聞いていた。
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次回
そうか・・・全く厄介な兄妹だな・・・
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