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それはダメ、いやそれもダメだ!

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「早くお帰り願えますか!!」

「・・・っ!!」


冷たいを通り越し、怒気を含んだウィルフレッドの声が応接室に響き渡った。


「なっ、何なのよ!私は王族よ、そんな態度不敬だわ」

「えぇ、何とでも言ってください」

「公爵からも何か言ってやって!こんな態度をとるのはおかしいわ!」

「ふふっ・・・」

「何がおかしいのよ」

「いやね、私も息子に同意です」

「私に早く帰れと言いたいの!?」

「そうは申しておりませんが・・・折角可愛い義娘ができたものでしてね。それを逃すのは・・・私としても困ります。まだ、お膝に乗せて愛でていないものでして」

「父上!それはダメだと言ったでしょう!?俺だけです、俺だけの特権なんです!」

「えぇ?一回ぐらいいいだろう?」

「ダメですよ!シアが座るのは俺の膝の上だけです!父上でもダメです!」

「そうか・・・残念だ。しかし・・・今は何だったかな?ルシアンがお茶に誘うと部屋を訪ねると言っていたぞ?」

「何ですって!?早く言ってくださいよ!父上もダメです、だがルシアンもダメです!こんな事している場合じゃない、もう、我慢なりません!父上、王女殿下、失礼します!!」


ウィルフレッドはソファから勢いよく立ち上がると、足速に応接室から出て行った。その様子を唖然として見ていたミシェリア。


「な・・・何なのよ・・・アレ」

「見ての通りです。息子はレティシア一筋、家族である私達にまで嫉妬する始末ですよ。一年もの間、熱心に毎日、毎日手紙を書いて、振り向いて貰おうと必死でした。あんな息子初めて見ましたよ。なので・・・レティシア・ベルモンド辺境伯令嬢を嫁として迎えたい。それは、今すぐにでも。これはアバンス公爵家の総意です。この意味わかって頂けますかな?」


穏やかに話す公爵であったが、その目は笑みはない。ミシェリアに付け入る隙はないと牽制する意志を見せた。そう、アバンス公爵家は王女であるミシェリアではなく、レティシアを選んだと言ったのだ。王家との繋がりなど欲してはおらず、ウィルフレッド本人が望んだ花嫁を公爵家総意で望んでいるのだと。


「し、失礼するわ!!」


ミシェリアは公爵の態度にも腹を立て、不機嫌さを隠しもせず公爵家をあとにした。


「・・・ふっ、ウィルフレッド・・・モテるのも大変だな?今頃ルシアンに嫉妬してレティシア嬢を捕まえたところか・・・あぁ、私もお膝に乗せてみたいなぁ・・・」


親子である。ウィルフレッドもだが、公爵も諦めが悪いのだ。





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次回

王子殿下を敵にまわしてでも、私を追いかけまわせる自信はある?


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