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デートと下見
しおりを挟む「ねぇ、馬車に乗る時は膝の上じゃなくてもいいんじゃないの?」
「・・・シア・・・俺の事嫌いになったのか?」
ウィルフレッドが懇願するような目でじっと見つめてくる。
「そうじゃなくて、私、最近普通に座った記憶がないんだけど?」
レティシアがそう言うのも頷ける。あの夜会の後から数日が経ったが、ウィルフレッドの過保護がさらに増した。屋敷に滞在している時は、基本ベッタリと一緒にいて離れない。ウィルフレッドが騎士団に行く時も、何度も後ろを振り返っては戻ってきては抱きしめる、そしてグズる。
「別にいいだろう?こうしてないと落ち着かない」
結局何を言っても状況は変わらず、降ろしては貰えないようだ。ウィルフレッドとレティシアは二人で王都の街に出ていた。ウィルフレッドにとってはデート。レティシアにとっては下見の外出だ。
「ここが式を上げる教会だ」
「大きな教会・・・凄いわ」
「高位貴族は殆どがここで式を上げる。俺達も例外ではないからな」
何でもないような事と言うような素振りで言葉を発したウィルフレッドだったが、チラチラとレティシアを盗み見ていた。だが、レティシアは、大聖堂の荘厳さに見入っていてそんな事には気付いてはいなかった。
「・・・シア・・・」
斜め後ろに立っていたウィルフレッドが、そっとレティシアの身体を抱き締める。
「今でも夢でも見てるのかと信じられない時があるんだ。シアが俺の嫁になる・・・これからもずっと側にいられるって・・・」
「夢のほうがよかったの?」
「そんな事あるはずないだろう?」
「私はここにいるわ。ウィルが私に興味を無くさない限りはずっと一緒にいる。約束するわ」
「あぁ、そうしてくれ。俺がシアに興味を無くすなんて絶対にない。だから、シアが嫌だと言ってもずっと一緒だ」
「ふふっ、確かにそう思うわ」
二人は教会の見学をし、花屋に寄り、どんなブーケにしたいかなどを話した。ウィルフレッドが花は絶対青だと譲らなかった。レティシアとしては、アクセサリーや花飾りなどもきっとそうなるだろうと予測していたので、花くらいはと思っていたが、ウィルフレッドが頑なに譲らず、結局根負けした結果、真っ青なブーケにする事に決まってしまった。結婚式まであと一週間。二人はただただ幸せを感じていた。しかし、そう安心してはいられない。神様は悪戯が好きなのである。
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次回
【ウィルフレッドside】
二人きりだというのに、こうしてないと落ち着かない
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