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深夜の王宮
しおりを挟むウィルフレッドは王宮に着くと、急いで近衛騎士の騎士団長に与えられる執務室に向かった。
「団長!」
「レイバン、待たせた。それで、陛下は?」
「怪我もありませんし、ご無事です」
「何よりだ。侵入者を一人捕まえていると聞いているが?」
「えぇ・・・」
ウィルフレッドの問いに答えるも、歯切れの悪い副騎士団長のレイバン。そんなレイバンの様子を見て、ウィルフレッドは何かに気付く。
「・・・知った相手だったのか?」
「はい・・・それが・・・ランドルスト公爵令息様でした」
「何だと!?アイツは今、公爵の監視の下屋敷で謹慎しているんじゃなかったのか?」
「えぇ、そうなのですが、見張りの騎士達を撒いて逃げ出していたようなのです。それも本日の事ではなく、数日前に」
「数日前から行方をくらましていたという事か?」
「えぇ、どこかに潜伏していたようなのです。公爵も気付いていて報告をしていなかったようでして、先ほどそれが明るみになったばかりです」
「何という事だ・・・それで?単独犯なのか?」
「今のところは何も手がかりがなく、単独の可能性が高いです。まだ何も見つかっていないというだけかもしれません。王宮内の騎士の数を増やして、厳重に警戒はしております」
「そうか・・・とにかくランドルスト公爵令息に会ってみるか。単独なのか、仲間がいるのか、まずはそこからだな」
「はい」
ウィルフレッドとレイバンは、マクシミリオンが捕らえられているという牢へと向かった。公爵令息であれば、貴族牢へと入れられるのが普通であるが、今回ばかりは狙った相手が相手である為、罪人扱いとして牢に捕らえられた。王宮の地下に続く階段を進んでいく。外の景色は伺うことはできず、昼なのか夜なのかも知ることができない空間だ。鉄格子で作られた牢がいくつも並んでいる。奥へ奥へと進んでいき、行き止まりになった。その一番奥の牢に、黒いローブを纏ったマクシミリオンがいた。牢に備え付けられている簡易的な寝台に、仰向けになっていた。
「ランドルスト公爵令息・・・」
「・・・ん?・・・あぁ、お偉い騎士団長様のおでましか」
顔を上げ、チラッとウィルフレッドの顔を見たかと思うと、すぐにまた天井を仰ぎ見る格好へと戻った。
「まさかこんな所で君と話をする日が来ようとはな・・・何故、陛下の寝所に忍び込むような真似をしたんだ」
マクシミリオンは静かに語り出した。
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次回
いい女だもんな・・・俺も、同じ事してたかもしれないな
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