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忘れられない日に

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王女ミシェリアの今後の事、公爵令嬢イザベラの行く先、第一王子ヴィンセントと隣国の王女エリスティアの婚約。ここ数日で一気にいろんな事が起き、慌ただしい日々を送っていた。


「なぁ、シア。明日は俺達の結婚式だ。誰にも負けない、いい結婚式にしよう」

「えぇ、そうね」


二人はこれからの幸せな日々を思い微笑みあった。食事も済ませ、湯あみをし、明日に備えて休もうとしている時だった。


「なんだか下が騒がしくない?」

「あぁ、ちょっと見てくる」


いつものように、ウィルフレッドの部屋で寝る支度をしていると、階下が騒がしいことに気付いた。こんな遅い時間に来客が?とレティシアも不審に思っていた。妙な胸騒ぎがする。ウィルフレッドが様子を見に行き、しばらくすると部屋に戻ってきた。


「シア」

「ウィル、何かあったの?」

「・・・急ぎ、王宮へと行く事になった」

「王宮に?」

「あぁ、王宮に侵入した者がいるらしい。陛下の寝所に忍び込み、命を狙った者がいるようなんだ」

「そんな!」


屋敷の階下が騒がしくなったのは、王宮からの早馬で報告に来た騎士達だった。ウィルフレッドは、瞬時に騎士団長の顔に戻る。


「捕まえたのは一人らしいのだが、協力者がいるかもしれないし、侵入に手助けをした者や警備が手薄になっている箇所があるのかもしれない」

「・・・そうね」

「明日、結婚式だって言うのに・・・とにかく早く片付けて戻ってくる」


ウィルフレッドの瞳は決意に満ちていた。この結婚式を誰よりも楽しみにしているのは他ならぬウィルフレッドなのだ。レティシアを誰にもとられたくない。早く自分だけのものにしたい。その気持ちを、今日のこの日まで募らせてきたのだ。


「ウィル、気をつけて」

「あぁ、明日、綺麗な花嫁姿、楽しみにしてる」

「えぇ、忘れられない日にしましょうね」


ウィルフレッドは、レティシアの額に軽くキスを落とすと、部屋を後にした。騎士達が話す声、公爵と夫人が話す声、さまざまな音も、次第に静かになっていく。その静けさが不安を募らせていった。眠ろうとしても、なかなか寝付けないままだった。


「ウィル、大丈夫かしら・・・」


その問いに答えてくれる者はいない。


「レティシアちゃん・・・」

「お義母様」


ウィルフレッドの突然の呼び出しに、公爵夫人のクラウディアが心配してレティシアのもとを訪れた。


「こんな事になるなんて・・・悔やんでも悔やみきれないわ」


公爵夫人、クラウディアは、不安を少しでも和らげようと、しっかりとレティシアの体を抱きしめた。




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次回

まさかこんな所で君と話をする日が来ようとはな・・・



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