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それぞれのその後

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「ミシェリア王女殿下がアルテールに・・・」

「あぁ、あの薔薇が役に立ったみたいだ」

「そうなの、無駄にならなくてよかったわ」


ミシェリアを妃として迎えるために、セドリックは自国のアルテールに戻って行った。妃を迎える事になった報告と、ミシェリアを迎えるための準備に入る為に。


「それとイザベラ嬢だが・・・」

「確か貴族牢に入れられていたままだったわよね?」

「あぁ、イザベラ嬢を娶りたいという方が現れてな」

「そうなの?」

「あぁ、なんでも15年ほど想いを寄せていたと言われて俺も驚いた」

「15年って・・・イザベラ様まだ4、5歳くらいの子どもだった時に?そんな頃から?」

「そんな頃かららしい。しかもその相手は今、42だ」

「親子ほど歳が離れているのね・・・」

「あぁ・・・だが、42とは思えないパワフルで若々しい方だ。俺が騎士団長になる前の、前任の騎士団長だったお方だ」

「まさか、それって・・・ゲオルグ様!?」

「あぁ、そうだ。端と端で離れてはいるが、辺境同士交流があるんだったな」

「えぇ、だとしたら、ゲオルグ様って、27ほどの頃に、4、5歳のイザベラ様に恋をしたって事になるわ?」

「そうなんだ・・・幼女趣味かと思ったがそうではないらしく、一安心した。ヴィンセント殿下やアルバート殿下の婚約者候補として見られることの多かったイザベラ嬢は、二人の殿下と幼馴染でありながらも、のちの妃になるに恥じないようにと幼少の頃から何にでも一生懸命取り組んでいたらしい。その姿を、成長を近くで見守ってきた師匠は、ずっとイザベラ嬢に惹かれていたらしいんだ。だから、いい歳になっても婚約者もつくらず、結婚もしなかった。イザベラ嬢がこの気持ちを受け入れてくれるなんて思ってはいなかったが、他の女は選べなかったとおっしゃったんだ。成長するにつれて、イザベラ嬢の瞳が一人の男を捉えている事に気付いてからは、辛くて見ていられなかったとね」

「もしかして、それで辺境に?」

「それもあるみたいだ。まぁ、元はといえば、師匠は伯爵家の三男だったからな・・・継ぐ爵位もなかった。だから、騎士団長まで上り詰めたはいいものの、その後どうするかなんて考えてなかったらしい。後継のいない辺境伯が困っている事を耳にしていた師匠は、騎士団長を俺に譲るとともに辺境に移った。美しく成長していくイザベラ嬢が、ヴィンセント殿下を目で追っているのを見ていられなかったとね」

「そうなのね・・・じゃあ、念願叶ったという事ね?」

「あぁ、だが、イザベラ嬢の気持ちはここには一切聞き入れられてはいない。結婚するなら牢から出していいという陛下からの言葉があったからな。まぁ、王都で事件を起こしてしまったイザベラ嬢にとっては、遠く離れた辺境の方が生きやすいだろうとの事だった」


話をするウィルフレッドの顔は、嬉しそうでもあり、何かを考えているようでもあり、複雑な表情に見えた。




公爵令嬢のイザベラが歳の離れた辺境伯夫人になって幸せになる未来は・・・そう遠くないのだが、それはまだ誰にもわからない未来の話だ。







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次回

明日、結婚式だって言うのに・・・





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