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休暇一日目④準備も一悶着

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「ウィル、さすがにそれは持っていけないわ」

「しかし、これは外せない」


ウィルフレッドが手にしているのは、いつかのマダムマノアが来ていた時に試着したまま買い取った青いドレス。


「ウィル、夜会やパーティに行くわけじゃないのよ?」

「・・・じゃあ、仕方ないか・・・だったら、これならいいか?」


そう言っていつ準備したのか、ウィルフレッドの手には、青いワンピースがいくつも見える。


「どうしてそんなに青いワンピースがたくさんあるのよ・・・」

「着て欲しくてたくさん準備した」

「そうなのね・・・でもそんなにたくさんは持っていけないから、一着だけね?」

「・・・馬車なら全部持って行けるのに」

「ダメよ、ブルーノに乗って行くんでしょう?」

「そうだがな・・・まぁ、仕方ない。帰ってきたら毎日着れるぐらいあるからな」

「え?・・・まさかその他にも?」

「もちろん。全部で20着作った。デザインが全部違う」


レティシアは額に手をあてて天井を仰いだ。


「どうしたんだ?ワンピースはこんなにいらなかったか?ドレスにした方がよかったのか・・・」

「まさかドレスもなんて・・・言わないわよね?」

「ん?ドレスは、まだ出来上がっていない」

「まだって・・・」

「今、マダムマノアが取り掛かってくれている。12着は頼んでいる」

「じゅ、12!?」

「足りなかったか?」

「そ、そんなにいらないわよ!ドレスにはその時の流行りもあるの。それに、毎日青いドレスばかり着ていたら特別感が薄れるじゃない・・・」

「他のものを着なければいいんだ。青しか着ない。それでいい」

「よくない・・・」


レティシアはもう言い返す気も無くなって、真顔になってしまった。


「ウィルの分は準備終わったの?」

「あぁ、俺はこれだけあれば十分だ」


そう言ってウィルフレッドが手にしていたのは小さな旅行カバンひとつほどの荷物。


「ウィル、さすがにそれはないわ。それに、辺境に行ったら動いて汗かくでしょう?着替えをあと数枚は準備して」

「動く?運動でもするのか?」

「ウィルが辺境に来るのは滅多にない事なの。ベルモンドでもそうだったけど、辺境の騎士達がきっと稽古をお願いしてくるわ。だから着替えは必要」

「稽古をつけてやる気はないぞ?シアから離れるつもりはないからな」


自信たっぷりに言うウィルフレッドだったが、すぐに思い直す事になる。


「あら、稽古中のウィルって、とっても格好いいのに見れないのは残念だわ」

「着替え、準備する!!」


ウィルフレッドは、急いで自分の私室に戻ると、旅行カバンのサイズが一回り大きくなって戻ってきた。主の一言にすぐ影響される忠臣のようだ。






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次回

シア、なんか物凄く見られている気がする





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