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休暇四日目⑦この地の現状と子ども達

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「その・・・レイバンは・・・」

「今は、王宮の牢に捉えられている。王族を襲うなど、極刑もしくは死刑でもおかしくない。だが・・・事情が事情だ。陛下が、レイバンの処遇は全て俺に一任くださった。しばらく牢にいてもらう。近衛の任務には戻れないだろう・・・だが、悪いようにはしない。あいつは、俺の大事な部下だからな」


ウィルフレッドは優しい笑みを浮かべると、レティシアの腰に回していた手で身体をぐっと引き寄せた。力が入った事に、ウィルフレッドがまた辛い気持ちを思い出してしまったのだろうとレティシアは気がついた。ウィルフレッドの足にそっと手を置いた。


「神父様、一つお伺いしても?」

「えぇ、何なりと」

「この教会には、神父様とシスター、それに数人の子ども達しか見かけません。それに、先ほど街を通ってきたのですが・・・静かすぎるというか、人に全く会わなかったのですが」

「・・・この町には・・・領地には、私どもと、ここにいる子ども達以外の人はおりません」

「誰も・・・?」

「えぇ、あれからの20年・・・ここは、見放された地として、誰も寄り付かなくなっていきました。食べるのにも困るようになると、小さな子ども達が足枷になってしまい、捨て置くように大人達が一人、また一人といなくなっていきました。今や我々以外はこの地には誰もおりません」

「そうでしたの・・・」

「この教会にいる子ども達の親は、皆この教会で過ごした孤児達です。大きくなり、教会にいたもの同士で子を成し・・・出稼ぎにと領地を出ていきました。中には泣く泣く置いて行った者もおります。この教会で育った子ども達は、皆あの争いで親を無くした孤児達でした」


眉間に皺を寄せながら、神父は静かに語っていった。ウィルフレッドと、レティシアは、そんな神父の様子を、レイバンに何もしてやれなかったと悔やむ祖父として、まるで償うかのように子ども達の面倒を見るのが自分の役目だと言い聞かせているように思えていた。


コンコンコン


「失礼します」


ノックの後、子ども達と食事の準備をすると出て行ったシスターが戻ってきた。


「お茶をお持ちしました」


3人の前に、湯気のたつ茶が置かれていく。


「彼女はレイラ・・・20年前からこの教会で過ごしている子です。彼女もあの争いで親を亡くした子です」

「私は・・・この教会に引き取られたのが2歳でしたから、両親の事はさほど覚えておりません・・・神父様が親代わり・・・レイバン様の事は兄と慕っておりました」

「兄か・・・それだけの気持ちだったか?」

「・・・神父様にはお見通しでしたのね?」

「ん?どういう事だ?」

「ウィル、神父様は、レイラさんがレイバン様の事、兄としてではなく、一人の男性として慕っていたのだろうとおっしゃっているの」

「・・・そうなのか?」

「はい・・・お慕い・・・しておりましたわ」


レイラの澄んだ新緑色の瞳には、うっすらと涙が滲んでいた。




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次回

だからこれからも、信じ続けてあげて。そして、彼が誰かを必要とする時、あなたが味方になってあげて

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