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処遇と役割
しおりを挟む自信満々に、自分はレティシアに選ばれたのだと嬉しそうに語ったウィルフレッド。国王は自身の過去の事もあり、ただただ羨ましかった。愛した女は悲劇にあい、愛を与えたかった娘は本物ではなくまがいもの。自身の人生はどこで間違ったのだろう。どこで踏み外してしまったのだろうなどと考えていた。
「父上、とにかく、エルサ嬢の事は辺境でしっかりと守れる体制を整えましょう」
「・・・はぁ・・・仕方ない」
「陛下、一つ提案があるのですが」
ウィルフレッドが声をかけると国王レオナルドは今度は何だ?という顔で見上げた。
「ソハナスの動向も気になるところです。なので、牢に捉えていたランドルスト公爵令息のマクシミリオンを辺境へと送るのはどうでしょうか?」
「何!マクシミリオンをだと!?ならん!罪を犯したような男をエルサに近づけさせるか!」
「父上、気持ちはわかりますがウィルフレッドにも考えあっての事。最後まで聞いてからにしましょう」
「・・・わかった」
「恐れ入ります。陛下、送るのは一人ではありません。ソハナスの動向を監視し、情報を得る為にコルテオを辺境へ配置しようと思っております」
「コルテオ・ハッサルか」
「はい、コルテオには通信で情報、マクシミリオンには参謀の役割を担って貰おうと考えております」
「確かにマクシミリオンは、ヴィンセントの側近として、これから力を発揮していくだろうと期待してはいた」
「では」
ウィルフレッドは国王の目をじっと見据えていた。
「わかった・・・ただし、マクシミリオンの事はコルテオに監視させておけ。エルサに不埒な真似をするようなら命はない」
「その役割も追加だとコルテオには伝えておきます」
ウィルフレッドは深く礼をする。
「それはそうと、ソハナスの動きは気になりますね。国王の考えもわかりませんが、王子がそのようであればいつ争いになってもおかしくない」
アルバートが神妙な顔つきで話す。
「全くだ。昔から余計な事ばかりしてくれる」
「シアにも危険が及びますから気になるところです」
「なんだ、レティシアをとられるとでも思ってるのか?向こうの王子はエルサに気があるのだろう?」
「そちらではないのですよ」
「ウィルフレッド、そちらではないとはどういう事だい?」
「陛下はご存知ですよね?シアがソハナスの王女だったレイリア王女殿下の娘である事を」
「なんだって!?」
ウィルフレッドが口にした事で、レオナルドは顔が強張り、アルバートは信じられないとばかりの表情だ。
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