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大笑いする二人
しおりを挟む「しかし驚きました。まさかミリアがアイオロス君に恋をしていたとは」
「俺も知らなかったんです。シアだけが知っていたみたいで」
ついさっき、自身の娘のミリアが第一隊隊長であるアイオロスに恋をしているのだと知った宰相。平民出身の者だと聞いた時、何処かの養子にでも入れ、婿として迎えればなどと考えを巡らせていたが、案外近くにいて、しかも次期騎士団長として有望な若者である事を知り、この縁談がうまく纏まればとソワソワしていた。その裏、ウィルフレッドはアイオロスに想い人がいるのを知っている。その相手が誰なのかは分かってはいないが、つい最近、北の辺境で叶わぬ恋をしている騎士を見た。ミリアとの縁談で、引き裂く事になってしまったらと、宰相に待ったをかけたのだった。
「まぁ、とりあえずアイオロスの現状と縁談に対する気持ちなどを確認する事からだね」
「はい、さっそくこの後にでも」
「わ、私も一緒に話をさせてください!」
二人が席を立とうとしている事に気付き、宰相は慌てて声をかける。
「宰相、なんだか暴走しそうだから、結果を大人しく待っててくれる?」
「えっ・・・でも」
「後ほど報告に参りますので
「うむ・・・わかりました。必ずですよ!」
アルバートとウィルフレッドは連れ立って執務室を出ると扉を閉めた途端、全速力で走り出し、中庭にたどり着くと、どちらともなく大笑いし始めた。
「あはははははは!!」
「く、くくくっ」
通り過ぎる使用人や騎士達は何事かと振り向く。しばらくすると落ち着いてきたアルバートが声をかけた。
「見たか、宰相のあの様子」
「えぇ、随分と慌てていましたね」
「あぁ、あんなに感情をあらわにする宰相は初めて見たな」
アルバートは本当に面白かったようで、またも思い出し笑いをしている。
「殿下、早速ですがアイオロスを呼んで話をしましょう」
「失敬、そうだな。まずは副騎士団長に就く事を話さなければな」
二人は近衛騎士団の執務室へと向かった。その後、業務の申し送りと呼び出されたアイオロスだったが、まさかの内容に慌てふためいたのは言うまでもない。
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