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恋の行方

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「それにウィルフレッド、早く話してやらないと宰相が痺れを切らしてしまいそうだよ?」


宰相は二人の会話の間も、娘ミリアの想い人が気になっている様子だった。


「あぁ、すみません。ミリア嬢が想いを寄せているのは、近衛騎士、第一隊隊長であるアイオロスです」

「へぇ」「そうなのですか!」


アルバートは成る程と興味深そうに頷く。そして宰相は平民と聞いて一体どこの誰なのかと思いを巡らせていたが、近くにいた者だと驚いていた。そして思ったより大物だった事にじわじわと喜びが勝った。


「彼なら文句はありませんよ!真面目で堅実で実に好青年だ。今すぐにでも婚約打診を!」

「宰相殿、待ってください」

「どうしてですか!娘が気が変わらないうちに囲っておかなければ!」

「アイオロスの気持ちはどうなります?せめて想い人がいないかだけでも確認させて頂けませんか」

「しかし!」

「まぁ、落ち着け宰相。いくら近衛騎士で有望な者でも、平民出身であるのにいきなり伯爵家の婿にと打診がきても正直困ると思うぞ?ウィルフレッドの考えを最後まで聞いてくれ」

「わ、わかりました・・・」

「宰相殿、殿下が仰ったように、アイオロスもいきなり婚約打診など来れば、自身が平民出身である事に気が引けるでしょう。アイオロスには次期騎士団長として後を継いでもらうつもりです。その為にまずは空いたままの副騎士団長の座に就かせます。さすれば自身にも箔が付き自信も出てくるはずです。伯爵令嬢の婚約者としても申し分ない肩書きでしょう。なので宰相、もしアイオロスがミリア嬢を望んだら、その時は許しを願えますか?」


ウィルフレッドは真剣な顔つきで宰相の返事を待つ。


「えぇ、その時には是非に」

「それを聞いて安心しました。アイオロスには色々とこちらも探りを入れます。折角ですし、ミリア嬢には恋を叶えてもらいたいものです。妻もそう望んでおりますから」

「夫人が・・・」

「叶わぬ恋、されど諦めきれぬ恋・・・なんだそうです」


それを聞いて宰相は、伯爵家の為だけに動いていた事に気付いた。どんな相手を見繕っても首を縦に降らない娘。最後は一緒になりさえすれば情が湧き、それなりに家族となっていくものだと思っていた。その考えで娘の恋を断ち切る事になるかも知れなかった。そんな事にならずに済んだ事に少しホッとしていた。






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