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緊張と安心
しおりを挟む「ミリア、膝枕ってね、やってみると案外いいものよ?男が可愛く見えるの。こんな風に甘えてくるのは私にだけって嬉しくもなるわ」
「・・・アースも・・・して欲しいんですか?」
ミリアは不安気な表情でアイオロスを見上げる。
「勿論です。先程は膝枕が羨ましいと言いましたが、ミリィに・・・されたいです」
ミリアはアイオロスが寂しげに笑うものだがら、少しだけ言いすぎたかと反省をした。そして。
「す、少しだけですからね?」
「え?・・・いい、のですか?」
「気分が変わらないうちにどうぞ」
「で、では・・・」
アイオロスは静かに身体を倒していくと、ゆっくりとミリアの膝に頭を預けた。女性の膝に頭を乗せるなど、そんな事をしたことがないアイオロスはどうするのが正解なのかわからず緊張していた。
「どうですか?」
「・・・ドキドキしています」
「・・・そう、ですか」
「・・・」
「アース?」
何も言わなくなったかと思えば、アイオロスは本気で眠ってしまったようだ。
「あら、副騎士団長様、眠ってしまわれたわね」
「そんなに疲れていたのかしら・・・」
「それは違うな。好きな女の膝に頭を乗せると、安心するのかすぐに眠気が来るんだ。嬉しくて暖かくて、男と違った柔らかい身体の感触に癒されるし安心する。こうやって頭を乗せている限りは、動けないだろう?俺も、シアを独り占めしたい時はこうしているんだ。こうしてる間は、シアはどこにも行かないし、俺の事だけを見ていてくれる」
レティシアはウィルフレッドの髪を梳く。
「こうされると気持ちよくてな。また・・・眠ってしまいそうだ・・・」
ウィルフレッドは寝返りを打つように体勢を変えた。そのままレティシアの腰に抱きつくように甘えてみせる。
「ずっとこのままがいい」
「ずっとは困るわ。キスできないもの」
「そうだな・・・それは困る・・・」
そう言って、ウィルフレッドはまた寝息を立て始めた。ミリアは自身の膝に緊張しながらも頭を預け、気付けば眠ってしまったアイオロスをじっと見ていた。そっとアイオロスの髪に触れる。手櫛で髪を梳くと、自分の細くて柔らかい髪とは違う感触があった。撫でられる感触に、アイオロスは身じろぎしながらふにゃりと笑った。その表情がなんとも言えず、ミリアは可愛いと悶絶していた。寝息を立てながらも、自身の太ももに頬を擦り寄せるアイオロスは、さながら黒い毛並みの大型犬のようであった。
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