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三人の今後
しおりを挟むウィルフレッドとレティシアを、王族しか立ち入る事ができない王宮の奥へと呼び出した国王。そこには第一王子ヴィンセント、アルバート、宰相の面々もいた。そして国王はレイバンとマクシミリオンの今後について話していく。
「出立は三日後だ」
「三日後ですか」
「あぁ、二人にはもうすでに荷造りや準備を始めて貰っている。コルテオもそうだ」
「そう、ですか」
「北の辺境伯であるクレイドルにはこちらから三人の件は任せる旨、連絡はしてある。レイバンには一度北の辺境に滞在してもらうが、すぐにイズヴァンドの地に移って貰う手筈だ」
「シアと彼の地を訪れましたが、だいぶ疲弊しておりました。あのままレイバンが滞在するにも、さすがに復興はすぐにとはいかないでしょう」
「あぁ、すぐに復興は難しいだろう。そこは追々だな」
「そうですね。まずは・・・残っていた身内との再会と、待っていた人達がいたという事をレイバンには知っておいて欲しいところですね」
ウィルフレッドは左手を伸ばしていたレティシアの腰をぐっと自身に近付けるように力をいれる。その手を、大丈夫よと言わんばかりに優しくさすっていく。その優しさに触れ、ウィルフレッドの緊張も少しほぐれたようだった。
「いろいろと難しい事もあるだろう。クレイドルが力になってくれる。そして、私も力を貸すつもりだ。彼の地には遺恨が残っている。必ずとも幸せが溢れる土地にしたい。民が増え、笑顔が増え、笑い声が聞こえてくるような土地になるよう願っている。その為にもレイバンには頑張って貰いたいものだ」
国王は少しだけさみしげな表情を見せた。
「レイバンならきっとできます。彼は騎士団でも人望の厚い人間でした。領主として表立って活躍するのもそう遠い未来ではないと思いますよ」
「お前がそう言うのならそうだろう」
国王は深く頷く。
「それから、マクシミリオンとコルテオは北の辺境伯邸に滞在となる。一旦クレイドル預かりとするが、その後の動き次第では住む場所や活動拠点を変更することもあるだろう。それも追々考える所だ。まずは北の辺境に慣れて貰うところからだと思っておる」
「承知しました」
「三日後には出立の上、今のうちに話などはしておいてくれ」
「特に深く話す事はありませんよ。強いて言うなら、ソハナスの動きをしっかり見ておいてくれという事だけでしょう」
ウィルフレッドは緩めていた手に再度力を入れた。母であるレイリア元王女の色を濃く残すレティシアを手にかける可能性がある。ウィルフレッドは何があっても必ず守り通すと心に誓った。
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