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呼び出し

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「早く帰りたかったのに・・・」

「仕方ないじゃない?無視するわけにもいかないのだもの」


レティシアに引きずられるように王宮の奥へと手を引かれて歩いているウィルフレッド。アイオロスとミリアの二人と別れ、職務も終わり帰宅の途につこうとしていた。そこへお呼びがかかったのだ。


コンコンコン


「失礼します」


ノックをして入った部屋の先には国王がいた。そして第一王子ヴィンセント、第二王子アルバート、宰相の面々だ。


「国王陛下にご挨拶を」

「そういう堅苦しいのはいらない。まぁ、かけなさい」

「・・・はい」


ウィルフレッドは渋々といった様子でソファに腰を下ろす。レティシアも横にならう。


「ウィルフレッド呼びつけてすまなかったな」

「えぇ、早く帰りたかったですね」

「ちょっと、ウィル?」

「・・・」

「ふはっ!」


ウィルフレッドの様子を見ていたアルバートが耐えきれず笑う。


「全く・・・はははっ、ウィルフレッドは感情豊かになったな。くくっ、夫人と出会うまでは、冷静で誰にでも同じように接していたというのに。今や国王である父上にまでそのような口の利き方をするようになるとはね」


笑い混じりにアルバートが言う。


「仕方ないじゃないですか。早く帰ってシアと二人きりの時間を過ごしたいというのに」

「毎日一緒にいるんだから少しはいいのではないか?」


何を言い出したんだとばかりにヴィンセントが口を挟む。


「殿下、毎日一緒にいても、アバンス公爵邸ではみんながシアをかまいたがり、取り合いが起きるんです。早く部屋に引き込まないと、自分の順番なんて回ってこないんですから」

「それほどまでか」

「はい・・・殿下もどうです?エリスティア王女を陛下がしょっちゅうお茶に誘い、庭園に散歩に誘い、視察に誘い、はたまたお忍びで買い物に街にと連れ出されたら」

「なっ!?ダメだ、そんな事をしていたら、私との時間がなくなるではないか!」

「言ったでしょう?そういう事なんです。俺は実際屋敷でそうされているんですから」


ムスッとした表情を見せ、チラリとレティシアを見るウィルフレッド。


「そんな顔しないのよ」


レティシアの指に頬をつつかれ、ウィルフレッドは少しだけ機嫌を良くした。そしてレティシアが切り出す。


「陛下、それはそうと、何かおっしゃりたい事があったのでは?」

「あぁ、レイバンとマクシミリオンりおんの出立の日が決まった」


国王の一言に、場はしんと鎮まりかえった。





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