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1、二人の王子と婚約者

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ここはアルタイル王国。自然豊かな国で花と水の都とも呼ばれている。

銀の髪に青い瞳を持つ、甘さを含んだ雰囲気の好青年。この国第一王子、アイスフォード。

彼の婚約者はリシェリア・ブルスト侯爵令嬢。輝く金の髪に、よく晴れた空のような水色の瞳を持っている美少女だ。

学園を卒業し、現在18歳。アイスフォードとの結婚まであと1か月と迫っていた。

アイスフォードが18歳、リシェリアが16歳の時に二人は婚約者となった。表向きは、アイスフォードが学園在学中に見初めたとなっているが、実際のところはブルスト侯爵家の力の影響力を取り込み、アイスフォードの後ろ盾とする為の政略結婚だった。

アイスフォードは、穏やかで誰にでも優しく接し、もちろんリシェリアにも同様にそうしていた。

リシェリアは優しいアイスフォードに、少しずつ惹かれ、この人なら支え合いながら、共に将来を歩めるかもしれないと思っていた。

リシェリアは王子妃教育の為王宮に通っている。



「やぁ、リシェリア嬢、今帰りかい?」


声をかけてきたのは、黒い髪に緑の瞳を持つ、この国第二王子フラムウェル。


「ええ、そうですわ」

「今からお茶でもどう?」

「えっ・・・でも・・・」

「あぁ、侯爵家の馬車はかえしたよ。あとでこちらで送るから」

「どうして・・・」

「いいから、行こう!」


フラムウェルは、リシェリアの腕を強引に引っ張り歩いて行く。


「あ、あの、どちらへ?」

「着いてからのお楽しみ」


ずんずんと進んで強引に連れてこられたのは、フラムウェルの私室であった。


「あの!ここは殿下の私室では?二人だけですか?未婚の男女が二人きりなのは良くないです、それに殿下の婚約者のアイリス様に誤解を受けますので」

「大丈夫だよ、心配いらない」


手を引こうとするが、力強く掴まれている為びくともしない。リシェリアはそのまま部屋に引き入れられてしまった。部屋にはフラムウェルの側近であるリアンと、護衛騎士のアシュトスが控えていた。


「見張っとけ」

「はい」「はい」


返事をすると二人は部屋の外へ出ていった。二人が出ていったのを確認し、フラムウェルはリシェリアの腕を引き、寝台に押し倒した。


「きゃぁ!」

リシェリアが目を開くと、目の前にフラムウェルが覆いかぶさってきていた。


「殿下、何をするのです!」

「お楽しみの時間だ。あぁ・・・やっと俺のモノにできる。君が欲しくてたまらなかったんだよ。学園で初めて君を見た時一目惚れしたんだ。なのに兄上に盗られてね・・・そう、ただ返してもらうだけ。元々俺のモノにするつもりだったんだからね」


フラムウェルは嬉しそうに、熱のこもった目でリシェリアを見つめていた。


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