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6、親として
しおりを挟むリシェリアが姿を消した、事の顛末を聞き国王は口を開く。
「なぜ引き止めんだったのだ!」
国王の言葉の真意は、リシェリアの心配をしての事だったのか。いや、王家の醜聞が知られる事への危惧の方が大きいだろう。
「引き止めましたよ!しかし、娘は王都にいるのが怖い、場所を知られるのが怖いと出ていったのですよ!陛下、それよりも・・・まずは人の親として謝罪する気はないのですか」
「・・・それは・・・すまない事をした」
国王は静かに頭を下げた。
「侯爵、すまないが当人に事実確認したい」
国王は、応接間の外に待機していた侍従にフラムウェルを呼ぶように指示をし戻ってきた。応接間はしばらく沈黙で、これ以上にないほど重苦しい雰囲気だった。
「父上、お呼びとの事で・・・侯爵・・・」
「その反応だと何故呼ばれたのかわかっているな」
フラムウェルは気まずそうに視線を彷徨わせる。
「リシェリア嬢が行方不明だ」
「なっ!父上、どういう事ですか!リシェリア嬢がいなくなったと言うのに、侯爵は探しもせず、何故こんな所にいるのです!」
「黙れフラムウェル!これを招いたのは貴様だろうが!」
国王は立ち上がり、憤りを露わにフラムウェルを睨みつける。
「侯爵から全て聞いておる。フラムウェル、貴様、リシェリア嬢になんて事をしてくれたのだ!」
「それは・・・彼女が好きだったんですよ・・・学園ではじめて見て、一目惚れでした。目の前で兄上に盗られて・・・政略結婚なら俺でもよかったじゃないですか!なぜ兄上なのですか!なぜ俺にはアイリス嬢なのです!兄上には公爵家の娘の方がよかったんじゃないですか?俺はリシェリア嬢が良かったんだ!!」
「お前は何もわかっとらん。リシェリア嬢は、アイスフォードが国王として国を統治するために、侯爵家の後ろ盾をと考えての政略結婚だ。お前の相手にアイリス嬢が選ばれたのは、お前が婿に入るという事を鑑みての事。そんな事もわからんのか・・・とにかくそれとやった事は別の話だ。まずは侯爵に謝罪しなさい」
「謝罪?なぜ謝罪など・・・リシェリア嬢と俺が結婚すれば何の問題もないですよね?いなくなったのなら俺が探します。俺が見つけて、俺が貰います。二度と兄上には渡さない!」
「はぁ・・・侯爵私は息子の育て方を間違えたようだ・・・すまない事をした」
国王は再度頭を下げ謝罪をすると、近衛騎士を呼んだ。
「フラムウェルを拘束しておけ!」
「父上!俺にリシェリア嬢を捜索させてください!必ず見つけます!離せ!離せっ!」
暴れるフラムウェルを、数人の近衛騎士が抑えながら連行していった。
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