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9、純情すぎる熊さん
しおりを挟む騎士達が詰所に運ぼうと手を差し伸べるも、リシェリアは拒否の反応を示す。困り果てたアリエルは、詰所から女性騎士呼ぼうと考えていた時だった。不意に違和感を覚えて振り向くと、リシェリアから騎士服を掴まれていた。
リシェリアは騎士服を掴んでいた手から顔を上げると、そこには怖いと恐れられているアリエルが、真っ赤な顔をして小刻みに震えていた。
「団長、その位で照れないでくれます?免疫なさすぎでしょう」
「そうですよ団長。顔真っ赤になってたら、怒ってるみたいで余計怖いですよ?」
「団長、震えてる。初めて見た!レア!」
騎士達はここぞとばかりにアリエルをからかう。
「う、う、うるさい!仕方ないだろう、女性に触れた事がないのだから・・・」
「でも、団長、彼女が団長がいいって意思表示してますから、団長の馬に乗せましょう?」
「い、いや!し、しかし!」
「いや、ここから女性騎士を呼びに行って戻ってくるまで結構時間かかりますよ?早く手当しないとかわいそうですけど」
目の前で繰り広げられる言い合いが続く中、リシェリアの手はまだ騎士服を掴んだまま。
「ほら、彼女も離してくれませんから、団長、覚悟を決めましょう!」
「なっ!?」
アリエルは、服を掴んでいる手とリシェリアの顔を、真っ赤な顔で何度も見返し視線を往復させている。
「団長、挙動不審すぎますよ・・・」
「早く行きますよ!」
「あ、あぁ・・・」
若い騎士達に促され、アリエルはおずおずとリシェリアの方を向く。
「あ、あぁ・・・馬に乗せるが・・・抱えても?」
「あ、えっと・・・お願いします・・・」
正面から見て、身長差のせいで上目遣いになってしまったリシェリアを見たアリエルの顔が、ボンっとまたさらに赤くなった。
「団長、茹でダコみたいっすよ・・、」
「お湯沸かせそうなレベルで熱を発しているね」
「し、し、失礼する・・・」
アリエルは、そっとリシェリアの背中と膝の裏に手を差し入れ抱き上げた。アリエルが抱き上げる事に慣れていない為、グラつき思わずリシェリアはアリエルの首に手を回し、しがみつくような姿勢になってしまった。
「うおっっ!?」
「あ、すみません、グラついて怖かったので咄嗟に・・・」
アリエルは、まともにリシェリアの顔が見れず天を仰いだ。リシェリアは申し訳ない事をしたと腕をとこうとしたが、そのままでいいとぼそっと頭の上から声が聞こえた。
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