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18、リシェリアのお願い

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リシェリアは向かいの部屋をノックする。

コンコンコン。

ガチャ。

「・・・リシェリア嬢?・・・どうしたんだ?」
「あの・・・」
「何かあったのか?」
「・・・いえ」
「?」
「・・・」
「・・・入るか?」
「いいんですか?」
「あぁ、かまわんが・・・」

アリエルは自室にリシェリアを招き入れると、ソファにリシェリアを座らせ自身も横に座る。

「足はどうだ?」
「だいぶいいです。歩くのに問題はないみたいです」
「そうか・・・もしかして、眠れないのか?」
「はい・・・1人でいるのが怖いのです」
「狼に襲われたのが怖かったか?それとも男どもが怖かったか?」
「違うのです」
「違うとは?」

リシェリアは言葉に詰まり黙り込む。
アリエルはゆっくりでいいと、リシェリアが話し出すのを待っている。
「私、家を飛び出してきました。王都にはいられない事情があって」
「家出した・・・という事か?」
「そうなりますね。でも、両親にはきちんと別れを言いました」
「両親は止めなかったのか?」
「いいえ、引き止めてくれました。でも、私の意思が強かったのです」
「それだけの事情があったという事か」
「はい、両親は安全な宿屋を利用しなさいと、お金まで持たせてくれました。もちろんいつでも帰っておいでと。どんな形であろうと私達の娘だと」
「両親はさぞかし心配であろうな。辺境まで来るとは言ってあるのか?」
「いえ・・・誰にも言ってません」
「家は・・・どこの家だ?」
「・・・」

リシェリアは俯いて答えない。

「帰そうと思っているのではない。言えない事情があるのだな。気のすむまでここにいればいい」
「ありがとうございます」

アリエルは、家名も言わないぐらいだ、家を飛び出した理由も無理には聞かない方がいいだろうと何も聞かずにおくことにした。

「あの・・・お願いがあるのです」
「なんだ?俺にできる事は聞いてやる」
「一緒に寝て欲しいです」
「そのくらいなら・・・はぁっ!?なっ、何を言ってるんだ!」
「ダメ・・・ですか?」
「ダメに決まってるだろう!未婚の男女が一緒の部屋で寝るなんて、醜聞にしかならんぞ?」
「そうですね・・・ご迷惑をかけるところでした。お話聞いてもらってありがとうございました」

リシェリアは、アリエルに迷惑をかけるのは本意ではないと、部屋を出るために立ち上がった。アリエルは咄嗟にリシェリアの腕を掴む。

「泣いているのか?」
「・・・っ」

アリエルは腕をぐっと引っ張り、膝の上にリシェリアを座らせると流れる涙を指で拭う。

「よほど辛いことがあったのだな」

リシェリアはゆっくりとアリエルの胸に顔を埋める。アリエルはそっと頭を撫でていた。




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次回

アリエルside

むしろずっといればいいのに

俺って男として見られてないのか?
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