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19、三度目になればもうわかる
しおりを挟むアリエルの胸に体を預け、しばらく泣いていたリシェリアは落ち着きを取り戻していく。アリエルはリシェリアを抱え寝台に運んだ。
「お前はここで寝ろ。俺はソファで寝る」
リシェリアの頭をポンポンと撫でて、ソファで寝るために毛布か何かと考えながら寝台を離れようとした。
「ん?」
リシェリアはアリエルのガウンを引っ張っていた。3回目ともなればもうわかる。そう、リシェリアの無言の行かないでだ。
「リ、リシェリア嬢!?」
「一緒に・・・」
「はぁっ!?一緒の寝台に入れと言うのか?」
リシェリアはコクンと頷いた。
「い、いや、同じ寝台には入らんほうがいい。同じ部屋にはいるから心配するな」
リシェリアはふるふると首を横にふる。
「ま、まいったな・・・」
アリエルはガシガシと頭を掻いて考える。キョロキョロしていたが、ある場所に目がとまった。
「わかった。だが条件がある」
「?」
「リシェリアは何?という感じで首を傾げた」
「一緒に寝てやる。しかし・・・これで俺の両腕を縛れ」
アリエルは、湯あみ後にフローラがリシェリアの髪にゆるく編んでいたリボンをしゅるっとといた。リボンをほどかれたリシェリアの髪ははらりと落ちていくと、月夜に照らされきらきらと輝いていた。
「お、俺が何するかわからん。これで腕を縛って自由を奪え。それなら同じ寝台で寝てもいい」
アリエルからそう言われ、おずおずとリボンを受け取る。アリエルはそっとリシェリアの横に横たわると両腕を突き出す。
「ほら、縛れ」
リシェリアは一瞬戸惑ったが、申し訳なさそうにアリエルの両腕にリボンを絡めて縛っていく。
「何かあればすぐ逃げるんだぞ?俺だって男だ、若い女が近くにいると何するかわからん。危ないと思えばすぐ逃げる。わかったか?」
リシェリアはコクンと頷き、少しだけ距離をとってアリエルの隣に横たわった。アリエルはふっと微笑む。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
リシェリアは静かに瞼を閉じた。しばらくすると、リシェリアの寝息が聞こえてきた。安心して眠れたようだなと、アリエルはリシェリアの寝顔を見つめていた。しばらくすると自身もウトウトし始め静かに眠った。リシェリアは寝たはずだった。いや、ずっと起きていて、アリエルが寝るのを待っていた。髪を整えて、少しだけ空いていた距離を縮め、寄り添うように眠りについた。
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次回
【アリエルside】
ずっと見ていられる
会って数時間で惚れてしまった
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