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【アリエルside】一緒じゃないと眠れないのは俺の方だ
しおりを挟むリシェは今何をしているだろうか?この時間だしお茶でもしてるんだろうか・・・なんだか騒がしいな?どうしたんだ・・・
「旦那様!」
フローラ・・・どうしたんだ?リシェと一緒じゃないのか?
「リシェリア様が!リシェリア様が!」
「リシェがどうした!」
「さ、攫われました!庭にお茶の準備をしようと屋敷に戻った際に、ローブを来た男が敷地内に侵入したようで、リシェリア様を馬車に押し込むところまでしか確認できず。私がついていながら申し訳ありません!」
「フローラ、落ち着け。馬車はどっちに向かった?」
「東の街の方角です」
「わかった。戻った時に休めるように準備をしていてくれ。リシェは俺が必ず連れ戻す!」
リシェ・・・無事でいてくれ!!相手が一人とは限らんな・・・誰か連れて行くか。
「おい、お前達稽古代わりに実践だ!」
「実践!?どうされたんです?」
「リシェが攫われた!馬でついてこい!」
「なんですと!?はい、わかりました!」
「はい!!」
くそ・・・リシェ・・・無事でいろよ。フローラは東の街の方角と言っていたな。あの街はリシェと初めてデートした場所だ。リシェはそれからもフローラと何度か一緒にでかけているから、街の者もリシェの顔は知っているはず。領民がリシェを狙う?そんな事するか?だったらもっと早くに起こっていたはずだ。隣国から間者がいたか・・・。
馬車に押し込んだと言っていたな。とにかく不審な馬車が通っていないか、金の髪の女性を連れている者の見かけていないかなど聞き込みだ。
家紋のついていない馬車を見た?怪しいな、間違いない。
「お前達、家紋のない馬車を見かけたそうだ!とにかく馬車を手当り次第探せ!」
「はい!」「はい!」
見慣れない馬車はいないな・・・騎士達もくまなく探したが家紋のない馬車はいないと報告にきた。
「団長、街を抜けた可能性は?」
「あぁ、考えられるな・・・行くぞ」
「はい」「はい」
この街を抜けたら、リシェと出会った森だ。そこを抜けひたすら走れば隣国への国境だ・・・。
ん?何か光って・・・あれは!!リシェにプレゼントしたイヤリングじゃないか!ここで、何かあったのか?リシェは無事なのか?とにかく森だ。
「リシェのイヤリングが落ちてた!」
「えっ!?そうなんですか?これがリシェリア嬢のものだとなぜおわかりに?」
「お、俺がプレゼントした・・・」
「おぉ・・・って、感心してる場合じゃありませんね!」
「あぁ、森に向かう。遅れるな、ついてこい!!」
「はい!」「はい!」
リシェ、リシェ・・・リシェ!!!今の俺はお前を失うなど死ぬのも同然だ。絶対助ける。絶対この腕にもう一度リシェを抱きしめる。お前を取り戻す!リシェ、無事でいてくれ!また俺に笑いかけてくれ。お前だけが呼ぶアル様がもう一度聞きたい。夜に一緒じゃないと眠れないのはお前じゃない・・・俺の方だ!!
アリエルという言葉には、神の獅子という意味がある。全力で馬で疾走する姿は、まさしく獅子のようであった。
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次回
私は王都には戻りません
フラムとはできて私とはできないなどと言わないよな?
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