99 / 131
【アリエルside】想像が捗りすぎる
しおりを挟む「先に王宮に行ってるぞ?明日待ってるからな」
「明日、準備が整い次第向かいますわ」
俺は一足先に王宮へと向かっている。それはこれからの生活の為に確認する事があるからだ。
「離宮の改装は終わったか?」
「はい、滞りなく」
俺の問いに答えるのは宰相シグルドだ。俺とリシェの部屋は王宮内ではなく、離宮に準備をさせた。シグルドは、最初こそ離宮に住まう事に難色を示していたが、事件を知る人物でもあり、リシェの事を気遣っての事だと知ると、それには賛同してくれた。
王宮に住まうことで、リシェは嫌でも思い出すだろうし、そんな辛い思いはさせたくない・・・まぁ、それは建前なのだが・・・実のところ、リシェとの時間を邪魔されないために離宮を選んだのだ。執務室もリシェと一緒にいられるように、離宮の二間を一部屋にし広めに改装させた。もちろん二人分の机も入れた。
そうだ、人の行き来の少ない離宮で、リシェを構いたい放題なのだ。なんて幸せな生活・・・今までは騎士団の執務室が俺の仕事場だった。だが、ここには王妃になるリシェが一緒に執務をしていくことになる。いつも一緒にリシェがいる。
離宮は、俺が王都から出るまで住んでいた場所でもある。この離宮は、王宮から見える位置にあるが、周りは木々に囲まれていて、人目にはつきにくい。なんとなく、辺境の屋敷にも雰囲気や、環境が似ているから気に入っている。
離宮のすぐそばに新たな使用人棟を建てた。これはハイドとフローラ夫婦のものだ。あの二人には、リシェのすぐ近くにいて欲しい。俺が最も信頼する使用人だ。
「リシェ、離宮はどうだ?好みがわからんだったから、とりあえずシンプルな内装にしてある。後からいくらでも好きに変えればいい」
「とても素敵ですわ。私の旦那様には負けますけれど」
うっ・・・リシェ、ズルいぞ。不意打ちは心臓に悪い・・・しかし、嬉しいな。リシェはいつも俺を喜ばせるのがうまい。幼い妻にいつもドキドキさせられっぱなしだ・・・俺も、俺ももっとリシェをドキドキさせたいのに
「アル様をドキドキさせたいので、突然言わないと効果がありませんもの」
「・・・俺の嫁が可愛すぎる・・・」
くぅぅぅ・・・可愛い、可愛いな、おい!俺の嫁は本当に可愛すぎる
「アル様、こちらは?」
「そ、それはだな・・・」
リシェ、そのドアは・・・その先は・・・あれだ、夫婦の・・・寝室ってやつだ。
「?」
「あの、あれだ、その・・・って、リシェ!?」
ま、待て!開けるな!想像してしまうではないか・・・リシェが一糸纏わぬ姿で・・・って、今はそんな事考えてる場合ではない!
「夫婦の寝室でしょう?」
ん?・・・気にしているのは俺だけか?なんだ・・・俺のほうが経験がないみたいで恥ずかしいな・・・って、そうだな、ないんだった。リシェはどう思うだろうか?リシェとが初めてだなんて、慣れてなさすぎて引かれるんではないだろうか・・・俺はフラムウェルや側近達より・・・いや、あれはリシェは望んでいなかった事だ。いや、でも・・・10代と比べるとな・・・その勢いもな・・・元気もな・・・うぅ・・・歳の差が悔やまれる・・・
「今日からここで寝ますの?」
「えっ!?あ、いや、どう、しようか・・・」
えっと・・・この場合、何が正解なんだ?どうせすぐ夫婦になるのだ、もう使っても良いのではないか?
「うーん、初夜までは互いの部屋を行き来しましょう」
「そ、そうだな、それがいい、それがいいのか?わからんが、そうしよう」
・・・そうだよな。それが正しい。まだ夫婦ではないからな。変な噂がたって、リシェが気にするのといけない。俺は・・・がっかりなんかしてないぞ?だって、行き来するって事は、これまで通り、一緒に寝てはくれるって事だよな?それに・・・夫婦の寝室なんて使ったら・・・否応なしにでも想像してしまって、俺の俺がヤバいことになりそうだ。それでよかったのかもしれん・・・ん?なんか・・・リシェの顔が暗くなったな・・・不安に思っていたのかもしれんな。それにあの事件を無かった事にはできんのだ。きっと気に病んでいるのかもしれないな
「リシェ・・・俺は急がない。リシェがいいと思うまでいくらでも待てるぞ?」
「アル様・・・結婚式が待ち遠しいですね!」
ちょっ・・・と・・・リシェ、それは結婚式が楽しみだとそのままの意味でいいんだよな?まさか、その後の話をしているのか!?お、俺はリシェを満足させられるだろうか・・・い、いや、その前に結婚式だ!絶対、リシェを世界一の花嫁にしてやる。俺を選んでよかったと思えるように幸せにする。
結婚式は三カ月後だ。そこまでくれば、誰の子かわからんなんて事はないからな。まだ不安だろう。もし妊娠がわかればリシェは辛い思いをする事になる。誰の子かわからん子を産むのも辛ければ、意図的に流すのも辛かろう。子に罪はないのだ。
リシェに子が宿っていない事が証明できれば、心も少し軽くなるのではないかと思う。まずは、貴族たちの批判や噂からリシェを守るために、結婚までの期間を設けることにした。これだけ間があけば、俺の子で間違いがないからだ。文句は言わせない。
しかし、不安だ・・・リシェの全てを俺のものにできる喜びと、経験のなさに自信が持てない不安で、複雑だ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
どこに行くんだ!?俺も一緒に・・・
1
あなたにおすすめの小説
王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
この人が私の夫……政略結婚だけど、一目惚れです!
12歳にして、戦争回避のために隣国の王弟に嫁ぐことになった末っ子姫アンジェル。15歳も年上の夫に会うなり、一目惚れした。彼のすべてが大好きなのに、私は年の離れた妹のように甘やかされるばかり。溺愛もいいけれど、妻として愛してほしいわ。
両片思いの擦れ違い夫婦が、本物の愛に届くまで。ハッピーエンド確定です♪
ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/07/06……完結
2024/06/29……本編完結
2024/04/02……エブリスタ、トレンド恋愛 76位
2024/04/02……アルファポリス、女性向けHOT 77位
2024/04/01……連載開始
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる