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宰相からの助言
しおりを挟む宰相ロドルフォは軽くため息をつきながら、椅子から立ち上がるとレイドルートに問う。
「まず、ローゼリア嬢に花を贈りたいと思ったのはお詫びだけが理由ですか?」
「いや・・・しかし、まずは詫びだろう?」
「お詫びをしたいだけなら何の花を贈るかなど悩まなくてもよいのではないですか?」
「うっ・・・そう、だな」
「他に理由がおありだから悩まれておられるのでしょう」
「あぁ・・・それは・・・」
「好きになってもらえればと?」
レイドルートの身体がビクッと反応する。
「では、ただ花を贈るだけではいけませんな」
「何故だ?」
レイドルートは怪訝な表情をロドルフォに向ける。
「花には花言葉と言うものがあるのです。愛を乞うのにも、さまざまな意味を持たせることが出きるのです」
「さまざまな意味・・・」
「えぇ、例えばあなただけを愛する、あなただけを見つめる。燃える恋、純愛など。さまざまな意味があるのですよ。表向きは詫びだと渡しても、密かに意味を込めるというものおつなものです。物言わぬラブレターとでも言いましょうか」
「き、気持ち悪いなどと思われないか?」
「過度に思いを込めすぎてはいけません。そうですね・・・陛下の場合ですと、秘めた恋、あなたといると癒されるとか、その他にも唯一という言葉を持つ花もありますな」
「色々と難しいのだな・・・私の場合は何が一番いいのだろうか・・・」
そう思案したレイドルートの脳裏に一つの言葉が思い浮かばれる。
初恋。
「・・・いや、さすがにな」
「何を思っていらしたのです?」
「・・・オジサンの初恋はさすがにと」
「いえ、いいんじゃないでしょうか」
「そ、そうか?」
「それでしたらライラックの花などいかがでしょう?」
「ライラック?どんな花だ?」
「小花をたくさんつける花で、花自体も可憐で可愛らしいのですが、この花良いところはそれだけではありません」
「と言うと?」
「葉がハートの形をしているのです。そして花言葉は初恋、恋の芽生えなどですね。もしその意図にローゼリア嬢が気付くとあれば、語らずとも意識されるのではないかと思われますぞ」
「それは良いな!もし、その・・・意図に気付いて意識してくれたなら、勝算はあるだろうか・・・」
「全くないとは言えませんからな。まぁ、先日の事もありますから、焦らず、陛下が寄り添って傷を癒して差し上げれば、可能性も広がると思いますよ」
ロドルフォは、いい提案ができたなと満足気だ。だがその穏やかな表情が一気に驚愕のものへと変わる。
「私はその可能性をすでに潰したかもしれん・・・」
「はい?どういう事です?」
「・・・ついな・・・つい、私の妃になればいいと言ってしまったのだ」
「何て事を・・・」
ロドルフォは開いた口が塞がらないというのを初めて体現することになった。
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