離宮に隠されるお妃様

agapē【アガペー】

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価値と提案

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「殿下、ご冗談を・・・」

「冗談なんかではない。俺は本気だ」


サディアンは、目の前のローゼリアを真剣な瞳でじっと見つめている。普通に王子に憧れる令嬢ならば、頬を染め、本気にしていたところだろう。サディアンが国に連れ帰ると言うのなら、王子の婚約者となり、王子妃となる。第一王子であるサディアン。ゆくゆくは王妃となるのだ。


「それはもっと困ります」

「何故だ?俺では不満か?」

「不満などはございません。ただ・・・」

「なんだ?」


ローゼリアは一瞬戸惑うも、口を開く。


「このような私を殿下の国の民の皆様が受け入れるでしょうか?婚約破棄をされた女など、価値などございませんわ」

「価値があるかないかは俺が決める。ローゼリア嬢、君にはちゃんと価値がある。これまでの努力も無駄にはしたくない」


価値。


今のローゼリアには、その言葉が、利用価値があると言われているようにしか聞こえなかった。


「それでも・・・お断りします」

「そうか・・・だが、これで終わりとは、俺も諦めがつかないな・・・まぁ、いい。聞かせてくれないか」

「・・・何でしょうか」

「君とライモンド王子の婚約は破談となった。だが、何故ここにいる?」

「・・・領地に行く途中で立ち寄ったまでです」

「領地?なんだ、領地で静養か?」

「そのようなものです」

「それは誰かの指示なのか?」

「いえ・・・指示などではありませんわ。・・・王都にいるのに・・・少し疲れてしまっただけです」

「疲れた・・・か。では尚の事、俺の国に来ないか?」

「それは先ほどお断りをし」

「俺の妃候補としてではなく、ただの友人としてだ。俺の国はきっと楽しいぞ?こちらの国より民との距離も近い。王族だって、民と同じ食事をするし、祭にだって参加する」


サディアンの提案はローゼリアにとって魅力的な提案でもあった。この国とは違う風土、民との距離。きっといい刺激になるだろう。だが、今は、そのような心躍ることに惹かれてはいけないのだと、自分に言い聞かせる。


「・・・殿下、お話はとてもうれしく思います・・・ですが、私は領地へと向かおうと思います」

「そんなに引きこもっていたいのか?」

「そういうわけでは・・・」

「・・・うむ、では、領地に向かうとよい。それで、俺の国に興味がわけばその時は遊びに来るといいさ」

「ありがとうございます。ではそのように・・・」


社交辞令ともとれるやり取りで、それではと席を立とうとしたローゼリアに、サディアンは思いもよらぬ提案をしてきた。





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