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10、今日はこのままサボろうか

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バージルとテオドールは国王と別れた後、第二騎士団の詰所の執務室に向かい、副騎士団のトーマスがいない事を確認する。

一旦ソファにぐったりと体を預けるバージル。

「はぁぁぁ・・・」

二人の間に沈黙が走る。

「バージル、今日はこの後稽古を抜けよう、少し話さないか?」

「ああ、今は稽古できる心境ではないな」

「だろうな・・・」

国王から内密にと言われている事を考え、二人は厩舎に向かい、馬に乗り少し遠出する事にした。

王宮から少し離れた、王都のはずれの小高い丘の上につくと、馬を休ませ二人は地面に座りしばらく王都を眺めていた。

少しの沈黙の後、テオドールが話し始めた。

「お前が、ミーティア王女殿下にロックオンされていたのを知ったのが3日前、王女殿下が2度目の突撃、今日は陛下から婚約者候補宣言され・・・濃い3日だったな」

「ああ、とりあえず死は免れた・・・」

「お前の今後の人生が、3日で決まるなんて思わなかったよ」

テオドールは笑いを必死に堪えている。

「笑い事じゃねーよ、どうすんだよこれ・・・」

「何が嫌なの?」

「嫌とかじゃなくてさ、俺に務まるのかって話!」

「そこは、陛下は求めてない」

「しかし、俺は何の取り柄もなければ、何も持ってないんだぞ・・・」

「でも陛下は、ミーティア王女殿下が望むものを与えたい」

「いや俺、しがない子爵家の次男だぞ?釣り合ってなさすぎるだろ・・・」

「でも王女殿下は君を選んだ、10年想い続けて」

「・・・」

「お前が不安に思う事や納得いかない事は、当人同士で話し合わないといけないな」

「そうだよな・・・」

「まぁ、まだ時間はあるんだしっかり考えて答えを出せよ」

「・・・ああ」

バージルは、この数日の急展開に心が追いついてない感じであったが、今すぐ答えを出すのは無理だと結論づけた。

「なぁ、久々に王都で飯食ってくか?」

「そうだな」

それから、王都にある食堂に寄って遅めの昼食にした。








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