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31、国王アルフレッドの罪
しおりを挟む「わしには昔、エリアナではない婚約者がおったのだ。ナディア、今は宰相の奥方だ」
「宰相の!?」
「ああ、ナディアはワルシャワ公爵家の長女であった。ワルシャワ公爵家といえば、近衛のレオニード、第一のクリスフォード、その下に双子がおったな」
「ええ、双子の姉妹とは同学年で学園でも一緒でした。レオニード団長とは一年だけ」
「世は狭いの・・・まあ、婚約者がそのナディアで、学園に通いながらも、わしは国王になる為の教育と執務、ナディアは王妃教育にと忙しい時間を過ごしておった。
在学中にな、わしはある男爵令嬢に熱を上げてしまった。ナディアや王妃エリアナとは違って、貴族然としない所に惹かれてな、いわゆる不貞を働いたのだ」
(国王がそんなことを・・・)
「それでナディアとは婚約破棄をし、その男爵令嬢を正妃として迎えようとしたが、反対にあい、先代国王、つまり私の父上が条件をつけてきた。父上は、男爵令嬢を王宮で預かり、王妃教育をし一年様子を見ると言った。
しかし、その男爵令嬢の王妃教育は全く進まず、1ヶ月もしないうちに根を上げて逃げたのだ。
真実の愛だ、彼女しかおらんと言い、若さゆえの過ちを犯した。自分の犯した罪の大きさを知ったよ。
未来の国母となるべく、時間をかけてくれた婚約者のナディアを蔑ろにした。それからは次期国王となるべく、城に半ば監禁され勉強漬けの毎日だった。
17歳になった時、王命で妃を迎えることになった。それがエリアナだ」
(王命とはそういう事だったのか・・・)
「まさか想いあっている相手がいる令嬢を、王命で無理矢理連れてきたとはその時は知らず、エリアナは中々心を開いてくれんだった」
「そんな事もありましたね・・・」
「全て打ち明けてくれた時に知った。エリアナにはハリーという、長年互いに想いあっていた相手がおった事を」
「・・・父上と王妃様が・・・」
「私達はね、領地が近い事もあって幼い頃は互いの家を行き来する仲だったのよ。大きくなったらこのまま婚約して、結婚するものだと信じて疑わなかったわ」
「その幸せを奪ってしまったのは、このわしだ。ユリシール子爵、エリアナ、本当に申し訳ない事をした」
「陛下もうよいのです、当時はそれは恨みました。しかし王命は覆りません。しかし、まさか何の因果か、バージルがミーティア王女殿下に見初められたと聞いた時は驚きました」
「私もバージルの家名を聞いた時は驚きましたわ」
「わしはミーティアから、少し前に聞かされたばかりで驚きはしたが、相手を聞いて納得したよ。惹かれ合う運命だったのだと。反対できるはずがなかった」
「あら、私とユリシール子爵は10年前から知ってましたわよ。」
「なに!?」
「陛下には黙っていましたもの。ちょっとした仕返しですわ」
王妃がしたり顔をして国王を見ている。
「なんだと?知らぬはわしだけか・・・」
「いや、陛下、俺もです・・・」
「バージル・・・そうか」
陛下と仲間なのか。しかしバージルは同情は出来なかった。
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