流星姫は平凡騎士をご所望です

agapē【アガペー】

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48、その部屋がもたらすもの

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結婚して三ヶ月が経った頃、バージルは本格的に王配としての執務を行う為、第二騎士団からは退団の予定だった。

軌跡のラブストーリーが巷で大人気になっていて、小説も出版、ついには演劇化もされた。

席は置いたままでなんの支障もないというテオドールと、おもしろいからそのままにしておこうというトーマスの意見により、この国の王配は第二騎士団所属の一般騎士であるという奇妙な状態となった。

テオドールとトーマスにより、第二騎士団の詰所で使用していなかった一階の一番奥の部屋に、バージル専用の執務室が置かれた。部屋は二間続きになっていて、入ってすぐの部屋はバージル専用の机と、応接セットのソファが置かれただけのシンプルな装いだ。

他国との争いや、秘密裏の調査、厳命案件で動く際に使用するなど、王配のバージルが持つ黒紫星と呼ばれる者達の拠点として使用されている。この者達をまとめているのは、10年もの間バージルに気付かれずに密偵役をこなしていたトーマス。

執務をしている旦那様に差し入れという妻の夢を叶える目的で、部屋で仕事をしているフリをしているバージルの姿が度々見受けられた。フリというのも、疲れた旦那様に差し入れをしたいとミーティアが言い出したからだ。

結果それだけですむはずもなく、いちゃいちゃするままに毎回行為に及ぶ流れになり、続き間の奥の部屋が活躍する。

奥の部屋には内鍵がかかるようになっている。カーテンを閉めれば外から中の様子は見えないが、一番奥の角部屋である為、第二騎士団の稽古場に隣接していた。稽古中の騎士の声や、通り過ぎる騎士の話し声が聞こえ、見られてしまうかも気付かれてしまうかもというミーティアの視姦想像が豊かになってしまったのは言うまでもない。


「騎士たちが目の前を通っているな、声がする。壁の向こうにいるな」

「ティアの喘ぎ声に気付いた騎士が覗いているかもしれない」

「こんな乱れた姿、騎士達に見られたら大変だな?どうする、ティア?」

「部下が報告に来る。もうすでにあのドアの向こうにいるかもな?」


バージルの言葉責めは、ミーティアの脳内をしっかりと犯していく。騎士団員達には気付かれることはなく風紀は乱していないはず・・・一人を除いて。


「本当にお熱い事だねぇ・・・はぁ、僕もエリサが欲しくなっちゃった。今夜は激しく求めちゃいそうだなぁ」


トーマスの飼っているオオカミさんを刺激していたことは・・・あるかもしれない。


第二騎士団の英雄的存在になってしまったバージルが使うこの部屋は、密かに星の間と呼ばれていた。のちに時が経って使用しなくなったこの部屋は、意外な活用方法がなされる事になった。第二騎士団に所属する騎士の家庭の小さな子どもを預かったり、片親の騎士の子や、亡くなった騎士の子を預かる仕組みを作った。

孤児になる未来しか見えなかったこども達も、身近に感じるものに必然と憧れを抱くようになる。のちに騎士として活躍する者、黒紫星の王配の影として秘密裏に動く者、侍女や侍従となり活躍するなど、明るい未来が切り開けるようになった。


いろいろ変化が起こった第二騎士団であったが、良い変化であり、バージルが王配になり騎士団の職務を行わなくなってからも、第二騎士団への入団希望は他の騎士団を差し置いて軍を抜くほど人気であった。

ほとんどが低位貴族の次男や三男、平民で構成されている第二騎士団は、市井では身近な憧れの職場と化していた。年頃の女性には奇跡のラブストーリーが、男性には王配への成り上がりストーリーが人気となり、王配は元第二の平凡騎士と呼ばれ、バージルは後世も名前を残す事となった。




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次回


出会った庭園で

ティア!大丈夫か!!


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