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王太子アルフレッドの新たな婚約者

母である王妃

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もう後がないと感じたアルフレッドは、母である王妃の元へと訪れた。


「母上、恥を承知でお願いがあって参りました」

「何かしら?」


王妃であり、母でもあるヴィクトリアは感情を消し去った表情でアルフレッドを見ていた。


「エリアナには・・・今、何が必要でしょうか、教えていただきたく・・・」

「はぁ・・・今頃・・・遅いわよ!!」

「っ!!」


普段は穏やかなヴィクトリアが声を荒げて怒りを露わにした。


「・・・叱責は甘んじて受け入れます」

「あなたは・・・一度ならず二度までも・・・エリアナに一度くらい謝ったのかしら?」

「取り合って貰えず・・・」

「取り合って貰えない?そうしたのはあなたでしょう!!」

「・・・・・」

「あの子がなぜ嫁いできたのか、もちろんわかっているわよね?」

「王命で・・・」

「そうよ、元はと言えば全てあなたのせい」

「・・・はい」

「アルフレッド、エリアナが王宮に来て、あなたはエリアナに何と言った?何と声をかけた?」

「・・・え・・・?」

「覚えてもいないのね」

「・・・すみません」

「・・・エリアナは突然連れてこられて、知らない者ばかりの所へ放り込まれたの。生活環境が変わり、王太子妃教育で勉強づけの日々・・・どれだけ大変だと・・・それがわからないの?」

「それは申し訳なかったと・・・」

「あなたは何もわかっていないわ。辛く大変だった、一杯一杯のエリアナにあなたは、茶をしよう、菓子を食べよう、庭園に行こう・・・そう言ったのよ。毎回自分の願望を押し付けていただけ。一回でも辛くないか?困ってないかと聞いたかしら?聞いていないわよね?そんな自分の願望ばかり押し付けてくるだけの男に誰が喜びますか!彼女は王太子妃教育、人脈作りのためのお茶会、政務を行うための勉強、慣れない環境での生活・・・そこにあなたからの押し付けを断るという面倒が増えたのよ。せめて気遣いの言葉であれば、こんなに心を閉ざすことはなかったわ」

「・・・」

「アルフレッド。あなたのせいで、彼女は思い描いていた未来を失ったわ。涙ながらに話してくれた。エリアナにはね、想っていた人がいたの。いずれ婚約して一緒になる事を夢見ていた。爵位の家格が合わず難航したかもしれないけど、何もできないうちにあなたとの婚約という横槍が入ったのよ。彼女の教育に関わって話を聞いて知った時は、私は申し訳なくて・・・結婚式を終えた後の彼女の憔悴しきった様子に・・・私は我慢できなかったわ。私の娘になったエリアナをこれ以上傷つけるなんて許さない。だから私が隔離するように、サファイア宮へ移したの。ワルシャワ公爵令嬢と同じようにはさせないわ」


王妃は思いのたけを吐き出すかのように話した。自身が可愛がっている令嬢を、一度ならず二度までも傷付けられるのは許せなかった。自身も他家から王家へ嫁いてきた身。大変さは自身が一番わかっていた。


「アルフレッド、それに、あなた達初夜を迎えていないわね?」

「それは・・・」

「結婚式までにあなたがした事でエリアナは心を閉ざした」

「・・・」

「このままだと、貴族達が側妃を娶れと騒ぎ出すわ。私が一番よく分かっている」

「そんな・・・」

「私はあなた一人しか産めなかった・・・随分と周りからも心にもない事を言われたわ。世継ぎに何かあればいけない、スペアは必要だ、側妃を娶るべきだ・・・何度も陛下に進言されたわ」

「そんな事が・・・」

「それが今また起きようとしている。私の時は、陛下が側妃は娶らぬと皆の前で宣言され、きちんと守ってくださった。あなたしか産まれなかったのは結果に過ぎないわ。でも、エリアナとは閨も共にしていないのよ?白い結婚だなんて貴族に伝わったらそれこそおしまいね。エリアナを蹴落とそうとする者、自分が取って代わろうとする者。男爵令嬢の件であなたは経験したでしょう?そんな女に王妃が務まると思って?無理だわ。貴族達の反発に耐えられなくなって側妃など娶ってごらんなさい?エリアナは二度とあなたに気持ちを向けることはないわ」


言葉が出なかった。自分はなんて事をしてしまったのかと。結婚式から半年近く経った今、妊娠の兆しもなければ、王太子妃は離宮にこもっているという話が出回り、不仲説さえ噂されるようになった。王妃の言葉は正しかった事がすぐにわかる事になる。貴族達が騒ぎ出し、もしもの話が現実のものへとなってしまったのだった。






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次回

最優先事項として行いましょう!






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