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王太子アルフレッドの新たな婚約者
毎日聞こえる叫び声
しおりを挟む何度かお茶の時間を過ごした二人。しばらく経ち、アルフレッドの執務室にマルクスが慌てた様子で駆け込んできた。
「殿下!妃殿下が!」
「エリアナに何かあったのか!?」
「妃殿下が・・・倒れられました」
「!?」
アルフレッドは勢いよく執務室を飛び出すと、サファイア宮へと向かっていた。
「エリアナっ、エリアナ!エリアナー!!!」
無心で駆けていた。エリアナに何があったのか、なぜ倒れたのか。毎日のように手紙を届けていたサファイア宮がこの時ばかりは永遠に遠い場所のように感じた。
「エリアナは!?」
「今は寝室で休んでおられます、お静かに願います」
「頼む、エリアナに会わせてくれ!」
アルフレッドは対応したメイドに必死に詰め寄る。
「今は眠っておられますので・・・」
「医者は!医者は呼んだのか!?」
「はい、もう診て頂きました」
「一目見たら帰る、お願いだ、エリアナに・・・会わせてくれ」
「今は安静が必要だと言われております、お通しできません」
「・・・エリアナ・・・」
そこへマルクスが追いつく。
「殿下、今は無理を言ってはいけません。妃殿下の体調が第一です」
「しかし、ついていてやりたいのだ!」
アルフレッドは顔を歪ませボロボロと泣いた。
「妃殿下のお体に障ります。お目覚めになられてからにしましょう」
「エリアナ・・・」
「さぁ、殿下、執務室に戻りますよ。優先順位第一位の仕事があるでしょう」
「今はエリアナ以上に大事なものなどない!」
「そのエリアナ様に関する事です!!」
「・・・なんだ」
「手紙です。毎日書いておいででしょう?最近は届けておられませんでしたが、本日も優先事項第一位です。さぁ、執務室に戻って書きますよ。エリアナ様が、体調を崩されている間も毎日来たとお伝えしたいでしょう?」
「・・・」
マルクスによってアルフレッドは引きずられて行った。いや、回収されて行った。その後執務室に戻ると、ボロボロ泣きながら手紙を書いた。しばらく届けていなかった分も一緒にメイドに預け、エリアナの枕元へと届けてもらった。毎日手紙を書いて毎日サファイア宮へ足を運ぶ。そして・・・エリアナへ少しでも伝わればと、サファイア宮の前で人目も気にせず叫ぶようになった。
「エリアナ!体調はどうだ?心配だ!早く顔が見たい!また来る!」
「エリアナ!今日は雨だ!寒くはないか?温かくするんだぞ!」
「エリアナ!また一緒に茶が飲みたい!おいしい菓子を準備しておく!」
「エリアナ!今日は天気がいい!元気になったら一緒に散歩をしたい!楽しみにしている!」
サファイア宮の中へ声が聞こえればと、必死に叫んだ。
「エリアナ・・・聞こえているか?早く・・・会いたい・・・エリアナ・・・」
毎日必死に叫んで、小一時間うろうろして、エリアナの姿が見えないかキョロキョロして・・・マルクスが回収にくるの繰り返し。
会えなくても、そこにエリアナがいる。それだけがアルフレッドの支えであった。また振り出しに戻ったのだろうか。不安と焦燥感でアルフレッドは落ち込んでいたが、何かに突き動かされるようにサファイア宮へと毎日足を運んでいた。
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次回
犬か・・・犬の方がいいかもしれんな
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