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純情令息とお転婆公爵令嬢
焦りが童貞を大胆にさせる
しおりを挟むエミリアを抱えたまま足早に連れてきたのは、セシルの自室であった。エミリアを寝台に下ろすと、どこかへ向かったかと思えばすぐに戻ってきた。引き裂かれた服を抑えていたエミリアの手を無理矢理剥がすと、無言で服を脱がせた。
「セシル様!?」
エミリアはこのまま事に及ぶのかと、緊張していた。セシルは無言のまま、自身の服も脱ぐと、エミリアを再度抱きかかえて運ぶ。連れてこられたのはバスルームだった。そのまま湯に浸かり、セシルはエミリアを後ろから抱きしめた。
(これは・・・どういう・・・?)
「セシル様?」
「震えていた・・・」
「えっ・・・?」
「君は抱いてほしいと言いながら・・・震えていた・・・」
(私・・・震えて・・・怖かったの?)
「このまま君を抱くことはできない。さらに怖がらせるだけだ」
「で、でも・・・気持ち悪いの」
「何がだ?」
「触られたところが気持ち悪いの」
「どこをどう触られた?」
セシルは前屈みになって、エミリアを後ろから覗き込んでくる。
「ひゃっ!ち、近いです!」
「俺はもっと近づきたい」
「これ以上ですか!?」
「あぁ、もう、離れたくない」
「・・・セシル様」
後ろから抱きしめていたセシルの腕に力が入る。エミリアの肩にセシルが額を擦り付けている。
(ひゃっ・・・何・・・この状況・・・セシル様・・・甘えてる・・・)
「なんで・・・なんで帰るなんて言うんだ・・・」
「それは」
「俺の事、嫌いになったのか?」
「嫌いになるはずありません」
「じゃあ、なんで・・・」
「正式な婚約者になる手続きをとる為と、こちらに荷物を運ぶために整理などが必要だからです」
「はっ・・・!?」
セシルは間抜けな声を出して顔を上げた。
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次回
う、嘘じゃない、でも、合ってない、でも、間違ってもいない・・・
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